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2020年はゲームアプリ市場にとっての転換期?

Avatar Shani Rosenfelder Dec 24, 2020

2020年はモバイルアプリ業界を取り巻く環境が一変した年になりましたが、とりわけ影響が大きかったのがモバイルゲームです。ロックダウンやソーシャルディスタンスで行動規制が続き、家で過ごす時間が長くなったことで、気分転換にスマホを手に取る人が増えました。

ゲームのニーズはかつてないほど高まり、ゲームアプリのインストール数は2019年と比較して45%急増。また、アプリ内課金(IAP)の収益もロックダウン中~ロックダウン後で25%増加。コロナ禍でモバイル業界の流れが一気に変わったことがわかります。

けれどこの勢いはこのまま長期的に続くのか、それともKPIの設定がコロナ感染拡大前(2020年2月以前)にほど近い水準に修正されるなどして一時的なブームとして終わってしまうのでしょうか?

その点については「2020年版ゲームアプリマーケティング市場レポート」でインストール92億回分のデータをもとに詳しく解説しています。このブログではインストール数と収益のトレンドやグローバル市場の成長機会についてご紹介します。

 

ジャンルごとの伸び率:一部ジャンルのひとり勝ち!

コロナ禍でもアプリのインストール数が45%も急増していることから、一見するとゲーム業界全体が大きく急伸しているように思えます。しかし詳しく見ていくと、急成長が見られたジャンルはほんのひと握りで、そのほかではさほど大きな変動は見られません。

圧倒的な伸びを見せたのが、”ソフト”ジャンルに分類されるハイパーカジュアルやカジュアルといった誰でも気軽に遊べるゲームで、ハイパーカジュアルにいたっては伸び率が90%という結果に。

ハイパーカジュアルゲームの開発者にとってさらにうれしいのが、非オーガニックインストールが増加したこと。2020年は前年比250%増という驚異的な数字を達成しています。これはハイパーカジュアルゲームのマーケターがコロナ禍の巣ごもり需要にあわせて積極的にキャンペーン活動をおこなった結果でしょう。

世界各国で次々にロックダウンが実施されたことにより、シンプルで満足感を得やすいジャンルのゲームユーザーがまたたく間に増えました。主にハイパーカジュアルやカジュアルゲームが当てはまるのですが、ゲーム初心者でもはじめやすいことが特徴です。

けれども流行にはリスクがつきもので、これらカジュアル系のゲームがこのまま流れに乗ってニューノーマル時代に定着することができるのか、という不安要素が残ります。

 

マーケティングの力を信じて進むのみ

モバイルゲームの需要増により、開発者やマーケターの多くは新規ユーザー獲得に向けて多額の予算を投入し続けた結果、前年比70%増に。突然の外出禁止令を受け、時間を持て余す人が増えたところでこの戦略に出たのは得策だったと言えるでしょう。

今年はオーガニック経由のニーズが前年より57%増加しました。それに対し非オーガニックインストール(NOI)はそこまで伸びなかったものの、2倍以上の伸び率を記録しました。

非オーガニックインストールが急伸した背景には、パンデミックによってチャンスがもたらされたこと以外に2つの理由があげられます。

  1. 一般的なアプリがオーガニック経由でユーザーを獲得することは相変わらず困難で、年々難しくなっている。
  2. ゲームアプリ業界はデータをうまく活用して収益性が高いマーケティング投資をすることに自信がある。

それとあわせてこの期間は特にハイパーカジュアルとカジュアルのCPI(インストール単価)の価格が低下しました。AppsFlyerのサンプルデータによると、CPIの価格低下に気づいた開発者たちが、ユーザー獲得予算を第1四半期後半あるいは第2四半期初めに繰りあげています。結果、すべてのジャンルにおいて新規ユーザー数が3月と4月に急増(2月と比べて4月は35%増)、その後は低迷していきます。

しかし、ロックダウン後にニーズがあがったことでCPIの価格が上昇。アメリカは35%上昇、APAC全体では3月以降iOSのCPIが45%上昇しました。不安定な状況下でブランド力のある大手企業がマーケティング活動を控えていましたが、その活動が再開されると、ジャンル・地域全体でCPIの入札額が跳ねあがりました。

 

ゲームアプリのアプリ内購入(IAP)収益は、ロックダウン後も好調

ゲームアプリのインストール数は3月にロックダウンが施行されてから急増。アプリ内課金が伸びはじめたのは4月からで、5月に1度目のピークに達し(2月と比べて25%増)、7月に2度目のピークに達しました。ここからわかることは、ロックダウン中にアプリをインストールした大勢のユーザーが、その後もアプリを使い続けたということです。

この現象もまた2020年と2019年の違いをあらわしています。昨年は第1四半期の収益がもっとも高く、次の第2四半期には大きく下落。しかし今年は逆の現象が起きています。そのわけはカジュアルゲームアプリの台頭にあり、3月~5月にかけて55%増、その後も勢いを持続しています。

世界各地で感染拡大防止の措置が強化されはじめると、大半のユーザーはアプリ内課金(IAP)で「巣ごもり消費」に傾倒します。気分転換のためにお金を費やす消費者行動に変化がありました。

ところがアプリ内広告(IAA)の収益は真逆の動きを見せます。アプリ内課金の収益が2月~8月にかけて67%増えたのに対して、アプリ内広告の収益は一年を通して徐々に減。今年はゲームプレイヤーの広告に対する許容度が低くかったことがわかります。また、外出自粛で行動を制限されたことによって、いままで旅行、レストラン、スポーツイベント、カルチャー体験などに費やされていたお金がアプリに使われるようになりました。

 

高成長市場:どうやって多様化していくか?

2020年は、ブラジル、ベトナム、ロシアなどの著しい発展を遂げている市場において新規ユーザー獲得費用の伸びが高くなっています。これらの国は人口が多いだけでなく、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の打撃を強く受けた市場でもあります。

前述の国はコロナ自粛にかかわらず、2020年に市場が拡大することが期待されていました。ニューノーマルの波に乗ったと言うよりも、ただ成長するタイミングが訪れたと言ったほうが正しいかもしれません。

では、ユーザー獲得はどこで広がりを見せられるか?トップ10市場を除いて、全ジャンルで急成長している市場としては、コロンビア、ペルー、モロッコ、エジプト、中東およびアフリカの一部が挙げられます。オーストラリア、マレーシア、南アフリカはハイパーカジュアルとカジュアルで著しい成長を見せています。

競争の過熱に伴いCPIが上昇している今だからこそ、開発者たちはユーザー獲得に向けた新たな試みにチャレンジしてみるべきです。急成長している市場に投資するにしても、TikTokやSnapなどの新しいプラットフォームを活用するにしても、2021年を見据えた対策を講じることが重要です。

ここまではゲームアプリの成長率と継続率(リテンション)について解説してました。最後に、2020年のマネタイズの傾向を見てみましょう。

 

モバイルゲームはニューノーマル時代に浸透するのか?

モバイルゲームに少しでも興味があれば、2020年がゲーム業界にとって絶好調の年であったことは明らかでしょう。前例のない状況下で、娯楽やエンタメに楽しみを求める人がいかに多かったがうかがえます。

けれどもこの世界的なゲームブームは長期的な成長を支えることができるのでしょうか?実際、この瞬間的なブームの恩恵を受けたことは事実で、この勢いはまだ持続する可能性があることもデータで示唆されています。

しかしながら、感染拡大の影響のみならず、iOS 14対応の一環として導入されるATT(AppTrackingTransparency)フレームワークやCPIの価格上昇など、外的要因もあって先を見通すことは難しいです。

いずれにしても、これからもアプリの動向や数字をしっかりと把握して、あらゆる可能性に俊敏に対応できる体制を整えておくことがカギとなります。私たちも、2021年のレポートを通じてみなさまに最新の情報をお届けしてまいります。

世界トップ16市場の地域別パフォーマンスベンチマークなどについては「2020年版ゲームアプリマーケティング市場レポート」で詳しく解説しています。ご興味のある方は下の「レポートを読む」ボタンをクリックしてください。

2020年版ゲームアプリマーケティング調査レポート