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[初期調査] ATTのオプトイン率は全体の41%と予想をはるかに上回る

Avatar Shani Rosenfelder Apr 13, 2021

[4月22日更新]約550個のアプリを対象にさらなる調査を続けた結果、オプトイン率の統計に変動がありました(4月21日時点)。最新の統計は英語版をご確認ください。下記内容は4月8日までに約300個のアプリを調査対象として書かれた記事です。

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昨年AppleがiOS 14以降、IDFA取得のオプトイン化とAppTrackingTransparencyフレームワーク(以下、ATT)の義務化を発表したことによって、アプリ市場は予測不能な変化への対応を求められることになりました。

ATTの導入でIDFAを活用した広告計測やターゲティング型広告など、トラッキングの許可をユーザーから得る必要があります。

ios 14 ATT dialogue prompt当初は、iOSアプリの広告キャンペーンの計測・最適化は不可能になるのではないかと懸念されましたが、時間が経つにつれて業界内でもプライバシー保護に対する理解が深まり、​ プライバシーに配慮した計測方法に歩み寄る姿勢へとシフトしていきました。

そんな中で、「IDFAは使えなくなるのではないか?」という疑問だけぬぐい切れないまま、オプトイン率(トラッキングを許可)がどれぐらいになるのか、さまざまな予測を引き出し、ほとんどの場合が1ケタ台になるとの見解を示しました。 

高まるプライバシーの意識や、Apple特有の言い回しで書かれたATTポップアップはオプトアウト率(トラッキングを拒否)を促進するだろうと、IDFAの将来性が不安視されました。

では、実際のオプトイン率はどうなのか?いま業界でもっとも注目されているこの疑問を解消すべく、AppsFlyerは300個のアプリと数百万を超えるオプトインの有無を分析し、独自に答えを導き出しました。 

 

IDFAにはまだ将来性あり

2021年4月現在、ATTの正式導入がすぐそこまで近づいていますが、早期にATTを実装したアプリを調べたところ、IDFA共有のオプトイン率に興味深い傾向がみられました。実際のオプトイン率はこれまでの予想を大きく上回り、全体に占める割合は41%(加重平均)、アプリ1個あたりの平均は28%(外れ値は除外、アプリの規模に関係なく比重は同じ)という結果になりました。 

これはマーケターにとっても、ユーザーにとっても良い兆候と言えるでしょう。IDFAを取得できれば、マーケターはユーザーレベルの細かな情報を活用して広告効果を計測ができます。ユーザーもトラッキングを許可することでパーソナライズされたアプリ体験を期待できます。

今回の調査はあくまでATTを早期に実装した約300個のアプリを対象とした初期調査であることを明記しておきます。ATTが正式導入されれば、オプトイン率もまた変動するはずです。

ただし、十分なサンプルデータをもとに有意な結論を得られたことは確かで、過去3週間のうちにATTポップアップが許可された回数は5,495,084回拒否された回数は7,765,740回でした(※ATTポップアップだけに起因するものではない。詳細は下記を参照)。 

アプリジャンルごとの内訳は下のグラフをご覧ください。

特に驚いたのは、全体のオプトイン率の高さはさることながら、非ゲームとゲームのオプトイン率に開きが見られたことです(42% vs. 30%)。ゲームアプリの場合、ブランドに対する愛着や親近感が低いとオプトイン率も低い傾向になることがわかりました。ゲーム業界のブランド価値は高まっているものの、それは大手のゲームに限って言えることのようです。

ゲームの世界では、ユーザーはブランドにはこだわりを見せず次々とタイトルを試すことが多いため、ブランドロイヤルティは皆無に等しいです。ブランドに対する忠誠心がないからこそ、個人データを提供することに警戒心を抱きやすくなりがちです。

それに対して非ゲームアプリの場合、ブランドの認知度も高く、ブランドに対する愛着も強い傾向に。ユーザーからの信頼が高いほど、オプトイン率も良好になります。非ゲームは商品の購入や注文、趣味の予約や登録など、アプリの利用目的がはっきりしていることもオプトイン率につながっているようです。

 

LATはどう扱われるか?

今回の調査では「制限あり(Restricted)」のステータスを対象外としているため、ユーザーによってIDFA共有が許可された割合ではなく、アプリ単位で取得できたIDFAのオプトイン率を示しています。「制限あり」とは、対象年齢未満でオプトインできなかったり、使用制限がかかっている端末を指します。いま現在「制限あり」に分類されている端末は13%ほどあり、中にはトラッキングを許可したくてもできないユーザーがいたかもしれないと言うことです。

さらに、追跡型広告の制限(LAT)がなければオプトイン率はもっと高かった可能性があります。今回の調査で使用したオプトイン率の計算式は[許可 ÷ (許可 + 拒否)]ですが、「拒否」には旧iOSバージョンでLATの設定をONにしていたユーザーが含まれています。旧バージョンでLATをONに設定していた場合、最新バージョンのiOSにアップデートしてもATTポップアップは表示されず、自動的に「拒否」または「制限あり」に分類されます。 

けれど、ATTはこの2つのステータスを区別しません。

つまり、今回おこなったATT正式導入前の初期調査に限って言えば「41%」というオプトイン率はもっとも少ない数であり、LATを加味しなければそれ以上のオプトイン率があった可能性があると言えます(ATT正式導入後は予測不能)。下図のとおり、計算式からLATを除けば、分母も減るので全体に占める割合が増えます。Opt-in rate with LAT and without LAT

 

アプリごとの平均

アプリ1個あたりの平均は加重平均よりも低くなりましたが、それでも28%のオプトイン率と予想を超える結果となりました。

加重平均のオプトイン率が高い理由は、アプリの規模が大きいほうがオプトイン率が高いからです。事実、ダウンロード数が多い上位10%のアプリは下位10%のアプリと比べて、オプトイン率が50%高い傾向に。また、上位50%のアプリは下位50%のアプリよりも、オプトイン率が23%高い結果になりました。 

 

半数がオプトイン率32%超え

今回調査の対象となった全アプリのオプトイン率は下のグラフのとおりです。 

データの中央値は32%、つまり、アプリの半数が32%以上のオプトイン率を取得できていたことになります。この数字は決して少なくありません。多くのユーザーがアプリ体験をパーソナライズするためにトラッキングを許可することに前向きな姿勢であることを裏付けており、アプリ側もオプトインするようユーザーを説得することができます。 

 

オプトイン率をアップする方法

先ほども述べたとおり、今回調査したアプリは早い段階からATTを実装しており、オプトイン率をあげるためにさまざまな工夫を凝らしています。ここで具体的な実践方法を4つご紹介します。

1) ATTポップアップを表示するタイミング:どのタイミングでユーザーにメッセージを見せるかよく検討しましょう。たとえば、アプリ初回起動後すぐにATTポップアップを見せてしまうと、ユーザーの警戒心をあおることになりかねません。まずはユーザーに親近感を感じてもらい、アプリのサービスを理解してもらってからポップアップを表示したほうがオプトイン率は高まります。

2) [Purpose String](目的説明の文字列)をカスタマイズ:下図の黒枠で囲った細文字の文字列は編集可能です。IDFAを取得する目的を自分たちの言葉で説明することができます。
iOS 14 ATT prompt
実例:
ATT ios 14 prompt dialogue examples

3) ATTポップアップの前に自社ポップアップを表示:AppsFlyerではATTポップアップの前に自社ポップアップを表示して、オプトインするメリットをより詳しく丁寧に伝えることをおすすめしています。メッセージの内容、デザイン、表示するタイミングなど、すべて自分たちのニーズにあわせて決められるのが利点です。ユーザーに対しては以下のポイントをアピールすると良いでしょう。
・サービスを無料で提供し続けられること
・関連性の高いコンテンツを提供できること
・パーソナライズした体験を届ける以外の目的で個人データを利用しないこと

 

例)下図はFacebookがiOS 14ユーザーを対象にテストしている自社ポップアップです。
facebook opt in prompt ATT ios 14 example
【注意】自社ポップアップを作成するときの注意点は、割引や特典といったインセンティブを利用してオプトインを促さないこと。これはAppleのガイドラインに違反するので気を付けましょう。


4) ブランディングに力を入れる:
ブランドの価値を高めて、ユーザーの心をつかむことが大切です。ブランド力が高ければ高いほど、オプトイン率につながる可能性もアップします。

 

今後考えられるシナリオ

ATT正式導入後にどういったことが起こり得るか、いくつかのシナリオが考えられます。

  1. EU一般データ保護規則(GDPR)やカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)のケース同様に、ユーザーもはじめのうちはポップアップをじっくり読んでどうするか決めるが、その後アプリをインストールするたびに同じようなメッセージが繰り返し表示されることで迷わずオプトインするようになる。
  2. ポップアップが逐一表示されることに疎ましさを感じたユーザーは、端末の設定でポップアップを完全にOFFにする。
  3. 大半のアプリがオプトイン率の最適化をはかることなく、デフォルト設定のままATTポップアップを使用。よってトラッキングの許可を得られる可能性が減る。

 

まとめ

結果的にどのシナリオになったとしても、オプトイン率は高いほうがアプリにとって好都合であることは言うまでもありません。細かいレベルで広告の効果計測ができるうえ、トラッキングを許可したユーザーに対してはリマーケティング広告を展開できます。また、広告からの収益を得たり、関連性の高いコンテンツを届けることでより良いアプリ体験を提供できます。

オプトイン率を高める手法やテクニックが今後さらに増えていくでしょう。

今回の調査からもわかるとおり、少しの工夫や配慮でオプトイン率をあげることは可能で、iOSアプリにとっても非常に有益な効果をもたらします。

この機会に上記で紹介したオプトイン率をアップする方法をぜひ実践してみてください。AppsFlyerでは引き続きATTのオプトイン率を調査してまいります。次回の投稿をお楽しみに!