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ゲームアプリの2022年までのユーザー獲得費は485億ドルに

Avatar Igal Frid Mar 16, 2020

モバイルアプリを牽引しているゲーム業界の大きな成長の要因には、経験豊富なマーケティングチームの存在と、高度なデータの収集と利用を積極的に行ってきた点があります。そして、業界内の競争は激しくなる一方です。

AppsFlyerの分析によると、2019年にゲームのアプリインストール広告費*は合計220億ドルに達しました。2022年までにアプリインストール広告費は2倍以上になり、ゲームアプリマーケティングではユーザー獲得(UA)に485億ドルの予算が世界で投じられるようになると予測されています。

AppsFlyerが最近発表した世界のアプリインストール広告費予測では、モバイルアプリ業界の全ての分野でユーザー獲得にかけられる予算が増加し、2022年には1,180億ドルに達すると見込まれています。これは、モバイル広告費全体(アプリ内広告、ディスプレイやビデオなどのモバイルウェブ広告を含む)の3分の1に近い値です。

モバイルアプリ市場全体の中でもゲーム業界は突出しており、2022年までに前年比30%増の成長を続け、ユーザー獲得予算はアプリインストール獲得予算全体の40%を占めることになると予測されています。

次の図に示すように、全ての地域において、2019年から2022年までの健全な成長が見込まれます。

 

主な調査結果

APAC(アジア太平洋地域):中国、日本、韓国などの巨大なゲーム市場に牽引され、この地域でのゲーム業界に投じられるユーザー獲得費は世界最多となりました。2022年には、2019年の128億ドルから倍増し、258億ドルに達すると予想されます。

中国は「費用」という点で1位のアプリ市場ではあるものの、サードパーティのAndroidアプリストアが何百店舗も存在するため、Google Play(中国では利用不可)の1店舗に比べて、測定が特に困難です。

とはいうものの、市場の測定技術は進歩しており、AppsFlyerの広告費予測において初めて中国を含めることができました。そして、中国におけるゲームでのユーザー獲得費は、2019年に少なくとも50億ドルに達していると見られています。

日本と韓国はゲーム大国であり、ユーザーLTV(顧客生涯価値)が世界で最も高い値を記録しています。その結果、メディアコストが世界で最も高く、ゲームの1回のインストールあたり、日本で2.8ドル、韓国では3ドルとなっています。これにより、2019年の日本でのゲームのユーザー獲得費は8億ドルを超え、韓国でも合計で約7億ドルの予算が投じられました。

日本と韓国の市場では、ハードコアゲームの人気が非常に高く、ゲーム全体の非オーガニックインストールの25%をハードコアゲームが占めています。ハードコアゲームのユーザー獲得には、ユーザーあたり10ドル近くかかっており、日本と韓国での費用総額が非常に高くなるのは当然のことです。

北米:北米でのゲームのユーザー獲得費の総額は世界で2位ではあるものの、1位のAPACから大きく離されています。しかし、2022年には、2019年の53億ドルから135%増の124億ドルに達すると見られ、成長速度の点ではAPACを上回ると予想しています。

大規模なユーザーベースを持ち、メディアコストが高い(ゲームのインストールあたり約2.2ドル、高い顧客生涯価値に起因)ことから、北米は世界のゲームデベロッパーから最も注力すべき市場(ティア1)とみなされています(中国、日本、韓国がティア1の市場とみなされないのは、ローカライゼーションという難題があるためです。ローカライゼーションが必要なければ、同市場の広告費はさらに高い値になっていたと考えられます)。

米国で最も多くインストールされているゲームジャンルはカジュアルゲームで、非オーガニックインストールの半数以上がカジュアルゲームで占められています。米国でのカジュアルゲームのユーザー獲得コストは、ユーザーあたり1.5ドルを超え、これは世界で最も高い値です。

米国でハードコアゲームのユーザー獲得コストは2019年に約5ドルと高かったものの、ハードコアゲームが米国の非オーガニックインストールに占める割合はわずか7%です。米国は世界最大のソーシャルカジノゲーム市場でもあり、CPI(インストールあたりのコスト)が4ドルを超えているため、ソーシャルカジノゲームの広告費も大きくなっています。 

EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ):この市場は、2022年のゲームでのアプリインストール広告費が、2019年の37億ドルから156%増の95億ドルに達し、大きく成長します。

西ヨーロッパでは、イギリスとドイツが先駆けて、非オーガニックインストールが数億回に達し、CPIも約1.4ドルになりました。2019年のゲームのユーザー獲得予算の総額は、イギリスで5億6,000万ドル、ドイツで5億3,000万ドルにのぼりました。

ロシアはEMEAで最大の市場であり、2019年のゲームの非オーガニックインストールは5億回に近づきましたが、市場のメディアコストはインストールあたり約0.45ドルと低くなっています。その結果、2019年のゲームでのユーザー獲得費は、全体でわずか2億2000万ドルでした。

LATAM(南米):この2年間で、LATAM全体、特にブラジルは、巨大市場へと大きく成長しましたが、LATAMでのゲームインストールコストは非常に低い(インストールあたり約0.25ドル)ため、総広告費も比較的小さくなります。ですが、2022年には広告費が、2019年の3億ドルから165%増の8億ドルまで達し、他のどの地域よりも大きな成長を見せると予想されます。

 

ゲームのアプリインストール広告費の増加は当然の結果

爆発的に成長するモバイルゲーム業界では、競争も熾烈。App Annie社(英語)によると、2019年に800億ドル以上に急増したモバイルゲーム(スマートフォンとタブレット)の消費者支出は、2020年には1,000億ドルを超えると予想されています。

現在、数十億人のユーザーが手元でゲームをプレイできるモバイルデバイスを持っています。ゲームアプリへのアクセスと利用が増加し、ユーザーベースも拡大しています。そして、この需要を満たすための重圧がマーケターの肩にのしかかっています。

しかし、数十万ものゲームアプリがある中から、自社のゲームアプリをユーザーに見つけてもらうのは至難なことであるため、ユーザーの注意を引くためのユーザー獲得戦略に予算を投じる選択しかマーケターには残されませんでした。結果として、最小限のマーケティング予算しか使用しないゲームアプリのインストールの57%以上が非オーガニックとなりました。

データドリブン一色に。ゲームアプリマーケティングでは、ユーザー獲得予算を増やしアプリを成長させながら、インストールを勝ち取らなければなりません。しかし、利益を高めることも忘れてはいけません。優れたデータツール、優秀なデータアナリスト、的確な戦略を揃えることで、ゲームマーケティングは(他のどの業界よりも)自信を持って予算を投じ、広告費の回収率を高めることが可能になります。

その自信を得ることで、マーケターは広告自体にもっと集中できるようになります。クリエイティブの向上、広告掲載場所の選定に注力することで、質の高いユーザーを大規模かつ最適な価格で獲得できるベストな戦略を構築できるようになります。

オーガニックの成長に翳り。どのジャンルでも新しいゲームが毎日リリースされているなか、アプリストアで使い古された一般的なキーワードを使い、新しいユーザーにリーチしようとすることは非常に困難です。競合するアプリが無限にあるので、トップチャートに入らない限り、ゲームアプリがユーザーのデバイスにインストールされる可能性はゼロに近いでしょう。

対照的な2つのゲームジャンルの成長。 ハードコアゲーム(戦略ゲームやロールプレイングゲームなど)の人気が高まっています。これはデバイスの進歩により、セッション時間を長くし、より濃い内容を提供できるようになったからです。その結果、App Annie社によると、ゲーム全体での消費者支出の76%以上が、ハードコアゲームによるものでした。

ユーザーLTV(顧客生涯価値)が高いハードコアゲームでは、メディアコストが高く、ゲームアプリインストール広告費の中でもメディアコストが占める割合が最も大きくなっています(世界の予算の37%、対してカジュアルゲームでは32%)。

一方、簡単に開発できて、簡単にプレイできるハイパーカジュアル(英語)は、収益を広告に依存しています。数百万人のユーザーを集めており、そのユーザーの多くは、以前はゲームをプレイしていなかった人たちです。

ハイパーカジュアルゲームはマージン(利鞘)が少ないため、収益を得るにはユーザー数を稼ぐ必要があり、積極的なユーザー獲得戦略を採用しています。とはいえ、ユーザー獲得費が比較的低いので、ハイパーカジュアルゲームがゲーム全体の広告費に及ぼす影響は、ハードコアゲームよりも小さくなります。

アプリ内広告、特に動画リワード広告の増加。ゲームフローで賢く広告が利用されるようになったことと、アプリ内購入を利用するのはプレイヤーの約5%しかいないことから、広告はゲームアプリの大きな収入源になっています。

最近のIDC社のレポートによると、アプリ内広告による収益は、アプリ内購入による収益の4倍以上の速さ(英語)で成長しています(アプリ内購入の収益と比較し年間26%、有料モバイルゲームの収益と比較し年間6.2%の成長)。収益化(マネタイゼーション)を改善すれば、銀行に預けている資金も増え、ユーザー獲得に多くの予算を使うことができるようになります。

 

モバイルゲーム業界の新時代

これから数年のうちに、テクノロジーの進歩が、モバイルゲームに大きな変革をもたらすかもしれません。

5Gネットワークが開始。 これまで諸々の問題があり、ユビキタスとはほど遠い現在ではありますが、5Gネットワークが稼働し、ユーザーが5G対応の携帯電話を利用し始めると、モバイルゲーム業界は一変します。5Gが及ぼすゲーム業界への影響は、専門家にもはっきり予測できていませんが、SpotifyやNetflixがもたらしたような変革がゲーム業界でも起こると考えられています。無料で利用できたゲームの世界でも、サブスクリプションモデルによるマネタイゼーションへの移行が進むと予測されます。

もちろん5Gにより、コンテンツの品質が上がり、配信速度も速くなり、ソーシャル(グループ)ゲームが増えることが期待できます。さらに、ハードコアゲームなどの高度なコンテンツを提供するアプリは、「どこでもプレイできる」容量を得られるようになります。またコンテンツの多様化もさらに進み、幅広いプレイヤーを集めることになります。

クラウドゲームも登場。5Gにより、モバイルでのクラウドゲーム利用が始まり、ゲームの新しい時代が到来します。クラウドでビデオゲームを提供できるようになると、ゲームの実行を支えるデータ処理は、デバイス(コンソールまたはゲーム用PC)自体ではなく、リモートサーバーで行われるようになります。インターネットにアクセスできるデバイスを持っているユーザーであれば誰でもクラウドゲームを利用できるようになります。

 

調査方法

ご注意:本レポートで使用した予測モデルは、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の発生以前のものです。現在の不安定な経済状況のもと、新型コロナウィルス感染症によりどのような影響が及ぼされるかを判断するには、まだ時間が必要であると考えられます。2020年3月15日現在、前年に比べ、今年のゲームアプリ広告費における大きな変化は確認されておりません。予測モデルの更新については、AppsFlyerで検討する予定です。

AppsFlyerの予測モデルは、2017年から2019年までの300億回の非オーガニックインストール、480億ドルの広告費、7.2万個のアプリについてのデータを含むAppsFlyer所有のデータを主なベースとしています。

また、サードパーティのモバイルアトリビューション市場シェアデータ、地域別CPI予測、アプリストア内のアプリ数、インストール数などの他のパラメータも使用しています。

データセットは、非オーガニックインストールのアトリビューション市場シェア(FirebaseとFacebookのアプリ分析を除く)および非アトリビューション市場(モバイルアトリビューションプロバイダによって測定されなかったマーケティングが起因となったインストール)の2つのカテゴリに分割しました。この分割は、上述のレポートには表示されていませんが、1つの要素として全体的な手法に組み込まれています。

 * アプリインストール広告費とは、ユーザーをアプリストアに誘導してアプリをダウンロードさせることを目的としたダイレクトレスポンス広告キャンペーンに投じられた金額のことです。モバイル広告費(主に検索、ブランド、およびビデオディスプレイの予算で構成)の一部であり、非オーガニックアプリインストールの促進を目的としています。

使用された引用元:

https://www.gsma.com/mobilefordevelopment/resources/the-state-of-mobile-internet-connectivity-report-2019/

https://www.appannie.com/en/insights/market-data/app-annie-2017-2022-forecast/

https://www.appannie.com/en/insights/market-data/state-of-mobile-2020-infographic/

https://forecasts-na1.emarketer.com/5ab41471a2835e0fe88f6068/5a384357e0cb1d0dd489d35e 

https://forecasts-na1.emarketer.com/5a4e4662d8690c0c28d1f233/58a32412bad7b702a0802ec2 

https://www.appannie.com/en/go/state-of-mobile-2019/