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2019年のモバイルアプリマーケティングの5つのトップトレンド

Avatar Shani Rosenfelder Dec 11, 2019

モバイルアプリ業界の成長は止まる所を知りません。2019年に消費者による利用額は、アプリストアだけで900億ドルになると予想されています。また、成長率は、App Annie社によると、前年比20%で堅調な増加を維持します。

アプリの高まる需要に答え、競合で溢れる業界で注目を得るために、ユーザー獲得とリエンゲージメントの両方で、アプリのマーケティングに予算が投じられています。実際、AppsFlyerの予測によると、アプリインストール広告費だけで、2019年には500億ドルを超え、 2018年と比較して30%の増加となります。

モバイルアトリビューションとマーケティング分析のグローバルリーディングカンパニーであるAppsFlyerは、市場で最大のデータセットを持ち、2019年には数百億回のインストールを測定しています 。この市場最大規模のデータだからこそ読み取ることができるアプリマーケティングの現在の傾向について考察します。

各トピックをクリックすると詳細をお読みいただけます。リストに戻るにはブラウザの[戻る]ボタンを使用してください。

1)非オーガニックインストール:アプリの成長は、マーケティングにますます依存

2)リターゲティング:コンバージョンが占める割合は、非ゲームで35%増、ゲームで30%減

3)マネタイゼーション:アプリ内広告がエコシステム全体で主流に

4)不正(フラウド):表向きはガードが固いゲームアプリは、裏口を狙われる

5)プログラマティック広告:アプリインストール市場の成長は、非プログラマティック市場よりも30%増

【ボーナストピック】サブスクリプションの増加が続き、次の段階に移行するゲーム業界

 

1)非オーガニックインストール:アプリの成長は、マーケティングにますます依存

過去5年間、マーケティングが誘因となったインストール(非オーガニックインストール、またはNOIと呼びます)が増加し、アプリインストール全体の中で大きな割合を占めていく様子を、AppsFlyerは見てきました。この非オーガニックインストール数の増加は、マーケティング活動なしに、ユーザーにアプリを見つけてもらうこと(オーガニックインストール)に期待できなくなった(英語)ことと、データ分析によりスマートなメディアの買い付けが自信をもって行われるようになったことに大きく起因します。

AppsFlyerのデータによると、小規模アプリほど、この現象の影響を大きく受けています。結局のところ、小規模アプリは、アプリストアでユーザーに見つけてもらう可能性がゼロに近く、知られないままになっています。そのため、小規模アプリはマーケティングに頼らざるを得なくなっています。

しかし、大規模アプリにとっても、非オーガニックインストールは不可欠であり、平均でインストールの40%以上が、何らかのマーケティング活動の成果によって生成されています。中規模アプリにおいてもマーケティングに投じられる額が増加しており、2019年のインストールのほぼ50%は非オーガニックでした。

ゲームと非ゲームを比較した分析では、大規模ゲームアプリを除き、同様の傾向が示されています。ゲームにおいては、2019年に、全体のインストールで非オーガニックが占める割合が25%増加しました。これは、非ゲームの大規模アプリと比較して3倍の増加です。この調査結果を裏付けるように、2019年のゲームアプリの上位10%(非オーガニック数において)に入るには、20%の成長、あるいは80万回近くのインストールが必要であることがわかりました。ゲームアプリは数が非常に多いため、上位10%グループでもその数は大きくなり、2019年の非オーガニックインストール数のしきい値を180万回としても、上位5%のグループの数は大きくなりました。

非オーガニックインストールは、アプリあたりの平均値だけでなく、業界全体の総数においても、増加を続けています。実際、2019年の全アプリにおいて非オーガニックインストールが占める割合は35%となりました。この値は、2017年より65%、2018年より20%近い値です。

トップ市場での非オーガニックインストールの傾向

マーケティングが誘因となったアクティビティの割合が最も高いアプリ市場を地域ごとに分けて分析すると、インドが増加を示しています。この市場での接続デバイス数の劇的な増加により需要も高まったことで非オーガニックインストールが大きく増加しています。International Data Corporation(IDC)社のAsia / Pacific Quarterly Mobile Phone Tracker(アジア太平洋地域での四半期ごとの携帯電話追跡)によると、2019年の第2四半期だけで、インドへのスマートフォンの出荷台数は、前四半期の3,200万台から3,700万台に増加しました。

一方、成熟市場である米国では、今年はアプリあたりの平均広告費はわずかに増加したものの、世界全体の非オーガニックインストールで占める割合は12%低下しました。

中国でも、興味深いことが起こっています。非オーガニックインストールで、中国は8位となっていますが、実際のランキングでははるかに高いところに位置しています。Google Playが参入していない中国国内にはサードパーティのAndroidアプリストアが数百店舗存在しているため、収集するデータが極端に断片的になり測定が困難です。ですが、中国が8位に位置し、全体の非オーガニックインストールで占める割合が20%増加し、アプリあたりの平均NOI値(非オーガニックインストール数の平均値)も16%増加しているという事実は、AppsFlyerによる継続的な市場測定技術の改善により、この課題が解決に向かっていることを示しています。

その他の主要な調査結果(地域):

  • ロシア – 世界全体の非オーガニックインストールでロシアが占める割合は大きく増加(21%増)していますが、アプリあたりの平均NOI値には変化がありませんでした。これは、ロシアで2019年にキャンペーンを実施したアプリの数が、2018年に比べてはるかに多かったことを示しています。
  • 東南アジア – 上位10位に入ったインドネシア、ベトナム、タイの3国では、2019年にマイナス成長がみられました。世界全体の非オーガニックインストールで3国が占める割合と、アプリあたりの平均NOI値の両方で減少が見られます。これは、1)不正に苦しんでいる地域において、2019年に不正インストールが大幅にブロックされたこと、2)既に巨大なユーザーベースを持っている東南アジアの大規模アプリが、ユーザー獲得からリエンゲージメントに予算をシフトしたことに起因します。
  • ブラジル – 2017年の急成長(英語)後の2018年にさらなる成長を見せた後、市場と同じ速度で成長しています。

業界ごとにみる2019年の非オーガニックインストール

2019年は、フィンテック業界において、明らかな成長が確認されました。非オーガニックインストール全体で金融アプリが占める割合は、2019年にほぼ60%増加し、アプリあたりの平均NOI値も15%増加しました。

トラベル業界においても大きな成長が見られ、特にアプリあたりの平均NOI値が大きく増加(51%増)しました。

サブスクリプションモデルへの移行の波に乗って、エンターテインメントアプリもマーケティング活動を強化し、全体に占める割合とアプリあたりの平均値の両方で20%増加しました(これについては、後述のサブスクリプションの項で詳しく説明します)。

ユーティリティアプリとヘルス&フィットネスアプリでは、全体に占める割合とアプリあたりの平均値の両方で2019年の間に減少しました。

アプリ経済の原動力であるゲーム業界が、そのパワーを再び発揮しました。非オーガニックインストール市場の3分の1以上を占めるゲーム業界は、2019年にも成長(10%増)を続けました。しかし、2番目に大きなシェアを占めるショッピングアプリは、全体に占める割合で16%以上の減少を見せ、アプリあたりの平均値では変化を見せず維持しています。

2)リターゲティング:コンバージョンが占める割合は、非ゲームで35%増、ゲームで30%減

モバイルエコシステムにおいて何年前から実施されていたにも行われていたにも関わらず、アプリ業界でリターゲティングが広く採用され始めたのは2018年になってからです。

リターゲティングの増加の要因には、次のようなことがあります。

  • 高い離脱率。30日目の平均リテンション率が5%〜10%。
  • アプリレベルでの確実な測定とアトリビューションが可能になったことで、より包括的なキャンペーンのパフォーマンスデータを使用して、LTV(顧客生涯価値)に応じた予算配分が可能に。
  • アプリ内環境での入札技術の向上。
  • はるかに安価なリターゲティングコスト(ユーザー獲得と比較して)と、マーケティングによる有料ユーザーあたりの平均収益の増加(下記のグラフを参照)。

2019年、アプリのリターゲティングは、さらに勢いを増しました。

リターゲティングキャンペーンを実施しているアプリでのリターゲティングコンバージョンの平均は、マーケティングコンバージョン全体(リターゲティングコンバージョンと非オーガニックインストール)の50%を上回りました。

年末までに、アプリの30%以上でリターゲティングキャンペーンが実施されると考えられます。これは前年比16%の増加です。

ゲームと非ゲームで大きな差

全体として前向きな傾向が見られますが、業界ごとに見てみるとさまざまな結果が得られました。

ある一面では、リターゲティングの採用と、コンバージョンにおいてリターゲティングが占める割合の両方で、ゲーム業界が大きく遅れをとっています。これは少々驚くべき結果です。以前頻繁にプレイしていたプレイヤーにゲームのことを思い出してもらう、または、何度も試して諦められる前に難しいレベルをクリアできるボーナス特典をユーザーに進呈するなど、リターゲティングの利用はゲーム業界にとって有益だからです。

ゲームのマーケターからよく耳にするのは、LTV(顧客生涯価値)測定についての懸念です。そこで、実績のあるインクリメンタリティ(増分)を利用したリターゲティングキャンペーンの測定方法(英語)があることを明言しておきたいと思います。また、ゲームアプリでのリターゲティング(英語)についてのヒントを紹介したビデオもご覧ください。

リターゲティングの採用率が低いにも関わらず、ARPPU(有料ユーザーあたりの平均収益)で最も良いパフォーマンスを出しているのが、実はゲームユーザーです。リターゲティングキャンペーンの対象となったユーザーによるARPPUは50%以上増加しています。

2020年には、経験豊富でクリエイティブなゲームデベロッパーがリターゲティングを推進していくと予測しています。リターゲティングをさらに最適化できる新しいツールや方法が多く登場することが期待されています。ゲーム業界の性質を考えると、そのツールや方式を使って多くのマーケターがリターゲティングを行うようになります。

 

3)マネタイゼーション:アプリ内広告がエコシステム全体で主流に

マネタイゼーション戦略は複雑です。アプリ内購入(IAP)は最大かつ最も一般的な収益源でしたが、アプリのデベロッパーは、アプリ内に広告を掲載することに消極的でした。広告を掲載することでユーザーエクスペリエンスが犠牲になり、アプリ内購入のコンバージョン率の減少を懸念していたからです。

有料ユーザーの増加および購入の最適化と同時に、大きな額を支払う有料ユーザーを見つけて育てることが、確かに有益であることが証明されています。しかし、アプリ内購入による収益があげられるのはユーザーベースのわずか5%〜10%です。平均的なユーザーから利益を上げられるようにするには多くの場合、数か月、さらには1年かかることもあります。

そこで2019年に、無料ユーザーから合法的にマネタイゼーションを行う手段として、アプリ内広告が広く利用されるようになりました。この1年半で、アプリ内広告はハイパーカジュアルゲームによって大規模に導入され、成功を納めています。これはモバイルゲームエコシステム(英語)全体に広がり、非ゲームにも徐々に浸透しています。

AppsFlyerのデータによると、マネタイゼーションに広告を組み込んでいる非ゲームアプリの数が2019年で127%増加しました。広告による収益全体で非ゲームアプリが占める割合も47%増加しています。

広告が大規模に取り入れられているゲームアプリでは、フローにアプリ内広告を組み込んでいるアプリ数が75%増加し、収益全体で広告が占める割合も前年比14%の増加となりました。 

さらに、AppsFlyerのゲームアプリマーケティングの調査レポート 2019年版によると、アプリ内広告による収益は、ミッドコアゲームとハードコアゲームでにおいて最も大きく増加しました。2018年と比較して34%増加し、収益全体の30%以上となりました。

アプリ内購入だけでも堅実なビジネスを維持できるアプリデベロッパーは多くいます。しかし、アプリのフローとユーザーエクスペリエンスを維持しながら広告をアプリのフローに組み込むことは可能ですし、むしろ推奨されています。

 

4)不正(フラウド):表向きはガードが固いゲームアプリは、裏口を狙われる

モバイルアプリのインストール不正は、2019年もデータ汚染の大きな原因となりました。不正がプログラムにより自動化されたボットベースに移行しているなか、アプリ内不正や購入不正といった新しい形のモバイル不正も生まれています。

このような攻撃方法が急激に数を伸ばしていることから、モバイルエコシステムでの不正手口が巧妙になっていることがわかります。ポストインストールイベント(インストール後のイベント)は多種多様で複雑なため、不正行為のつけ入る隙となり、ますます検出されにくい方法でデベロッパーを欺こうとします。

アプリ内不正は、いくつかのレベルで発生します。

1)ポストインストールイベントおよび購入でのユーザーエンゲージメントに対し広告主からCPA(アクションあたりのコスト)ベースで支払われる報酬を受け取る

2)アプリを利用する熱心なユーザーを装い、偽のユーザーの不正インストールを正当なインストールであるかのように見せかける

不正が巧妙化するにつれて大きくなる金銭的リスクへの危機感は、マーケティング予算にも大きく影響しています。2019年にアプリの不正インストールによる脅威に晒された金額は48億ドルにのぼるとAppsFlyerでは推定しています。

当然ながら不正行為の標的となりやすいのは「大量」と「高額」の組み合わせです。常に不正行為の最大の標的とされる金融アプリとショッピングアプリは、業界平均よりもそれぞれ550%、225%も上回るリスクに晒されています。

2020年も、インストールハイジャックの巧妙化や、新しいタイプのボットの出現などの新たな不正行為に、モバイルエコシステムは脅かされることになります。

測定するアプリ内イベントの増加と、CPA(アクションあたりのコスト)モデルの採用が大きく進むつれて、アプリ内不正も広がる可能性があります。アプリ内イベントに紐づけたCPAベースの報酬を狙い、不正行為が行われます。

 

5)プログラマティック広告:アプリインストール市場の成長は、非プログラマティック市場よりも30%増

10年以上にわたり利用されてきたプログラマティック広告は、ウェブ広告(デスクトップおよびモバイル)の世界において重要な役割を担ってきました。 2020年には、プログラマティック広告に米国だけで700億ドル(英語)の広告費が投じられると予測されています。

2019年、アプリ内アクションへの関心が高まり、アプリ内入札が話題になりました。これは、アプリ内環境での需要と供給の取引をより適切に管理するためのプログラマティック広告ソリューションの開発が求められていることを示しています。実際、モバイルデマンドサイドプラットフォーム(モバイルDSP)とモバイルアドネットワークは、アプリ内の規模、ウェブとアプリでのリアルタイム入札プロトコルの違いなどの問題を解消するため早々に調整を行い、高度なソリューションを追求する必要がありました。

特にアプリインストールキャンペーンにおいてプログラマティック広告が担う役割でいうと、主要なモバイルDSPにおいてアトリビューションが行われたインストール数が60%近く増加し、非プログラマティック広告市場よりも30%高い値となったことがわかりました。とはいえ、プログラマティック広告がアプリインストール市場全体で占める割合は、依然としてごくわずかです。

アプリ内入札はゲームデベロッパーにとって重要な機能になりました。そしてトップアプリを獲得しようとするゲームプラットフォームにとっては「必須」になりつつあります。結果として、2019年には買収や開発によってアプリ内入札の機能向上が行われています(例えば、Applovinによるアプリ入札マネタイゼーションソリューションMAX(英語)と、ironSource(英語)によるLevelPlayの開始)。

仲介技術の研究開発の必要性が高まっています。そして、このような大手企業による多額の投資が、プログラマティック広告がトレンド以上のものであることを明確に示しており、近い将来、継続的な成長と進歩が期待されています。

 

【ボーナストピック】サブスクリプションの増加が続き、次の段階に移行するゲーム業界

2018年に、サブスクリプションモデルが多く導入され、サブスクリプションを採用しているアプリが占める割合が5倍に増加しました。2019年の間に、この数はさらに2倍近く増加しました。さらに、サブスクリプションで収益を得ている同じアプリの2018年と2019年を比較したところ、サブスクリプションによる収益が150%増加しました。

サブスクリプションは、ストリーミングアプリや出会い系、ヘルス&フィットネスアプリで広く採用され、収益の向上に利用されています。しかし、2020年にサブスクリプションによる収益が最も大きく増加することが見込まれているのは、Google StadiaおよびApple Arcadeが導入されたゲーム業界です。正当な収益源としての広告マネタイゼーションが(ハードコアゲームやミッドコアゲームでさえも)増加した後に、もう一つの収入源を得ることでゲームアプリ業界はさら大きく成長すると予想されます。

 

レポート作成協力:

モバイルインサイトスペシャリスト Igal Frid(LinkedInTwitter

フラウドエキスパート Michel Hotoveli (LinkedInTwitter