アプリマーケティングの状況 ― 2015年下半期
モバイルアプリの利用は2015年下半期に劇的な増大に示しました。しかし、アプリ・エコシステムが巨大な成功を収めたことで、ユーザー獲得コストが上昇して市場の競争が激化し、ユーザー獲得率とチャーンレート(乗り換え率)とに悩まされる状況が生まれています。このような状況では、アプリ・マーケターは、質の良い非オーガニック(広告経由)のアプリインストールを大きく生み出すことを目標とすることが重要になってきます。この目標を効果的に実現するには、意思決定をピンポイントに行うためにデータとその分析に頼るしか方法はありません。
AppsFlyerの最新のデータ調査レポート「The State of App Marketing – H2 2015(アプリマーケティングの現況―2015年下半期)はまさにこの点を狙ったものです。この調査では11億回の非オーガニック・インストールと50億回のアプリの起動回数を分析し、明らかになった貴重な統計数値を6つの対話式チャートで示しています。最初のパートには、ユーザーがいつインストールを実行し、いつアプリを使用したかを(OS別よび地域別に)示す2つのチャートが含まれています。次のパートでは、ユーザーが広告をどのように扱い、アプリをどの程度の頻度で使用したかを(業種別とチャネル別に)示しています。
チャート1: 地域別インストール状況(別データを表示するには該当ボタンをクリック)
グローバル
曜日
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重要なポイント
週末のワールドワイドの活動は全体的にプラットフォームによらず高いポイントを示しています。とは言え、iOSとAndroidではパターンがかなり異なります。Androidのインストール数は、相変わらず週全体を通じてほぼ一貫しています。一方、iOSのほうは週全体ではかなりの落ち込みを示し、唯一、週末に近づくにつれて上昇しています。
北米
曜日
アクション・アイテム
iOS: 週末のインストール数が平日に比べて25%も多いため、ここにフォーカスします。週中はアプリのダウンロードが少ないため活動を抑えます。
Android: 週末にフォーカスし、さらにインストール数の需要の比較的強い週中にも力を緩めません(週末と週中の差異はわずか6%)。
時間帯
アクション・アイテム
iOS: ダウンロード率が平均よりもほぼ40%上昇する17:00~22:00にフォーカスします。
Android: インストール数が平均よりも25%高くなる18:00~23:00にキャンペーンをかけます。
アジア
曜日
アクション・アイテム
iOS: 週前半よりもインストール数が27%上昇する木曜日と金曜日にフォーカスします。アプリのダウンロード数がほぼ20%も低下する月曜日と火曜日への資金投入は抑えましょう。
Android: ユーザーのアプリのダウンロード数はほぼ一貫しているので(月曜日と火曜日の最大差が5%)、キャンペーンは週全般を通して実施します。
時間帯
アクション・アイテム
iOS: インストール数が平均よりも17%多い夜間の時間帯(20:00~23:00)にフォーカスします。
Android: アプリのダウンロード数が平均よりも15%近く多くなる12:00~14:00と、20:00~22:00の2つのピーク時間帯をターゲットにしましょう。
欧州
曜日
アクション・アイテム
iOS: 平日(毎日の平均)よりもインストール数が25%高い週末にフォーカスします。ダウンロード数が少ない週中の活動は控えめにしてください。
Android: 週末、特に日曜日はインストール数が週の平均を8%上回っていますので、ここにフォーカスします。ダウンロード活動がまだ活発な週の初めにも引き続き注力してください。
時間帯
アクション・アイテム
iOS: インストール活動が平均よりも63%高い夜間(1900~21:00)にフォーカスします。午後の15:00~19:00の時間帯もアプリのダウンロード率は平均よりも32%高いので引き続き力を入れるとよいでしょう。23:00以降にキャンペーンをはるのは、ダウンロード率が平均より40%も急降下するので控えてください。
Android: ダウンロード率が平均より21%高い18:00~22:00の夜間の時間帯にキャンペーンを実施します。日中のダウンロード率はほぼ一貫しているため、午前10:00からキャンペーンを実施してもよいでしょう。23:00以降は平均より40%も急激に活動が鈍るため控えてください。
中南米
曜日
アクション・アイテム
iOS: 木曜日と週末にフォーカスします。これらの曜日は他の曜日に比べ(毎日の平均)インストール数が30%上昇します。月曜日のインストール数は週末から一気に40%減少してしまうので回避し、ユーザーのダウンロード活動が活発でない週の初めもキャンペーンは控えめにしてください。
Android: インストール活動は活発で一貫しているため、週全体をとおしてキャンペーンを継続します。特に火曜日は週平均よりダウンロード数が4%高くなっているので、狙い目です。
時間帯
アクション・アイテム
iOS: インストール数が27%多い12:00~14:00の時間帯、そして20%近く多い夜間の22:00~00:00の時間帯にキャンペーンを実行しましょう。逆に、午前中の時間帯は35%も減少するため回避してください。
Android: 13:00~15:00および22:00~00:00の2つのピーク時間帯にフォーカスします。これらの時間帯でのインストール数は平均よりも20%多くなっています。午前中は40%も低下するため、キャンペーン活動は控えたほうがよいでしょう。
以下のキーポイントに留意してください。
- データは非オーガニックのみで、マーケティング活動の結果としてのインストールと、インストールしたユーザーによるアプリ内の行動の両方を考慮します。
- 本調査には当社のデータベースの代表的なデータを使用しています。これらには以下が含まれます。
- 2015年6月1日~12月15日までの期間に収集された6,000種以上のアプリの11億回以上の(広告による)インストール
- 50億回以上のアプリ実行をアプリ内エンゲージメントの測定に使用
- 時刻別データは、XX:00~XX:59の1時間の間に発生したインストールと起動の総数を表します。
- ユーザーの獲得コストや再エンゲージメントのコストを常に考慮することが不可欠です。需要が高いときの入札(または価格設定)は競争がいつも以上に集中しコストも高騰するからです(メディアのコストがいつもより低く、リスクが最小限で済むときも同様です)。
チャート2:地域別のアプリ内エンゲージメント
グローバル
曜日
重要なポイント
iOSユーザーとAndroidユーザーのエンゲージメントのパターンは異なっています。Androidユーザーの活動の一週間を通してピークが続き(特に後半)、週末中の活動が低下します。一方、iOSユーザーは週末と週の前半がもっとも活動的で、週の後半に向かって低下していきます。
北米
曜日
アクション・アイテム
iOS: 週末のインストール数が平日に比べて25%も多いため、ここにフォーカスします。週中はアプリのダウンロードが少ないため活動を抑えます。
Android: 週末にフォーカスし、さらにインストール数の需要の比較的強い週中にも力を緩めません(週末と週中の差異はわずか6%)。
時間帯
アクション・アイテム
iOS: ダウンロード率が平均よりもほぼ40%上昇する17:00~22:00にフォーカスします。
Android: インストール数が平均よりも25%高くなる18:00~23:00にキャンペーンをかけます。
アジア
曜日
アクション・アイテム
iOS: ユーザーのエンゲージメントは他の曜日に比べ金曜日と土曜日が7%ほど高いのでここにフォーカスします。水曜日と木曜日は、一週間の中でユーザー活動が少ないため、キャンペーンに投入する資金は抑えましょう。
Android: 月曜日から木曜日までは週末の平均よりも7%ほどユーザーの活動が活発なのでこの曜日にフォーカスします。週末(金曜日~日曜日)はアプリへのエンゲージメントが少ないので、キャンペーンは控えめにしてください。
時間帯
アクション・アイテム
iOS: 18:00~22:00の時間帯は、エンゲージメントが平均よりも25%高いので、ここに集中してください。日中の11:00以降も活動が安定し始めるためキャンペーンを張ってもよいでしょう。
Android: 18:00~22:00までの時間帯は利用率が平均よりも20%高く、エンゲージメントキャンペーンを実施すべきです。11:00以降もアプリとのインタラクションの頻繁になる出す頃合いなのでキャンペーンの実行には良い時間帯です。
欧州
曜日
アクション・アイテム
iOS: 土曜日~月曜日にフォーカスしましょう。特に日曜日は、週の平均と比べてユーザーがアプリを利用する頻度が10%以上高いので欠かせません。逆に、金曜日はアプリの利用頻度が下降するので、キャンペーンの投入は控えたほうがよいでしょう。
Android: エンゲージメント率が週の平均より5%高い水曜日を狙います。金曜日はユーザーの活動がにぶいためキャンペーンの費用をかけるのは好ましくありません。
時間帯
アクション・アイテム
iOS: エンゲージメント率が週の平均よりもほぼ50%も高いため、夜間18:00~21:00までの時間帯にフォーカスします。ユーザーがアプリを使う時間が午後の方が平均より30%高いため、この時間帯にエンゲージメントキャンペーンを実施するのも理に叶っています。22:00以降は活動が一気に低下するため、キャンペーンは控えめにするか、行わないようにしましょう。
Android: ユーザーによるアプリの利用は午後遅くから夜にかけた時間帯が平均よりも24%高いためこの時間帯にエンゲージメントキャンペーンを実施します。21:00から使用率が下降し始めるため、キャンペーンも減らすようにしてください。
中南米
曜日
アクション・アイテム
iOS: エンゲージメント率が週の平均より7%高い週中、とりわけ火曜日にフォーカスします。週末はユーザーの活動がにぶいためキャンペーンに費用をかけるのは控えましょう。
Android: 活動率が週の平均より15%活発な火曜日から金曜日までにフォーカスします。週末はユーザーの活動がにぶいためキャンペーンに費用をかけるのは控えてください。
時間帯
アクション・アイテム
iOS: ユーザーがアプリを利用する割合が週の平均よりも32%高い夕方から夜の時間帯にフォーカスします。
Android: ユーザーの利用率が週の平均よりも22%高くなる夕方から夜の時間帯にフォーカスします。
パートII:業種別とチャネル別のコンバージョン率とリテンション率
以下のキーポイントに留意してください。
- データは非オーガニックに限定。リテンション率は、広告を契機としてアプリがダウンロードされ、その後それらがインストールされてから1日後、1週間後、および1ヶ月後に使用されたアプリ数を考慮しています。
- 当社では業種毎に少なくとも100種類、全体で6,000種類以上のアプリを選択して解析しました。
- 業種は、App StoreとGoogle Playのカテゴリに基いています。
チャート3:業種別の”クリック・ツー・インストール”のコンバージョン率
重要なポイント
- 上位4つのカテゴリはインテント(意思)主導型。広告をクリックするユーザーは自分が期待していることを認識しているため、インストール数が多くなり、最終的に高コンバージョン率となります。
- ゲームのリテンションは、競合が極めて厳しく、オーバーフロー状態のマーケットであるため、大きな課題です。広告主は、ユーザーのエンゲージメントを高めるよう広告をクリエイティブにし、また改善する必要があります。
- ショッピング・アプリは、ユーザーを惹き付けるためにお買い得品を広告に表示しますが、アプリをインストールしなければならないことに気付くと、多くがインストールをせずに帰ってしまい、結果としてコンバージョン率が低くなります。
アクション・アイテム
業種別ベンチマークの成績が低い場合、おそらく広告とアプリ・ストアでユーザーが目にするものとの間にギャップがあります。両者を整合させつつ、貴社の広告とストアのページをともに完璧にしましょう。貴社のアプリを最もよく説明できるようタイトル、画像、その他の説明コンテンツを改善します。また、曖昧さが残らない高度なエンゲージメントをもたらすフォーマットとして動画の導入を検討しましょう。
チャート4:業種別リテンション率(アプリをインストールした全ユーザーに占めるアクティブユーザーの比率)
重要なポイント
– より長期間にわたるリテンションの実現は、インストール後30日保持される比率は全体的に平均5%と大きな課題となっています。
– 音楽と交通関連のアプリは、定着率の高いサービスであるためロイヤルティの高いユーザーをもたらしています。
– エンターテインメント・アプリは、時間の経過とともにわずか1%しか保持されなくなっているため、大幅な見直しが必要です。
アクション・アイテム
注力の大半をリテンション率の向上に当ててください。データとアナリティクスを用いて、どのソースがどのような種類のユーザーをもたらすかを特定します。そうすれば、どこに力を入れたらよいかを理解することができます。貴社のアプリが完璧なユーザー・エクスペリエンスをもたらすようにします。それができなければ、現在の貴社アプリのユーザーは、多数の競合アプリのうちのどれかに離れていってしまうでしょう。
チャート5:業種別リテンション・スコア*
重要なポイント
特定の業種のプラットフォーム間には大きなギャップがあるため、クロスプラットフォームのアプリについてはその点を十分考慮すべきです。
アクション・アイテム
クロスプラットフォーム対応のアプリがある場合には、リテンション率を高く保っているバージョンでは何が有効に働いているのか―マーケティングなのか、それともアプリ自体なのか―を正確に明らかにしましょう。
* リテンション・スコアは1日目、7日目、および30日目のリテンションにそれぞれ20%、30%、および50%の重みを与えて算出されます。
チャート6:リテンション率―ダイレクト・マーケティング・チャネル(アプリをインストールした全ユーザーに占めるアクティブユーザーの比率)
重要なポイント
ダイレクト・マーケティング・チャネルのリテンション率は全般に高いです。
SMSは特に、そのブランドの非アプリの特性にすでに浸かっている顧客(店舗のポイントカード等の所有者など)を惹き付けます。これらのユーザーは当該ブランドに対して強力な事前の親和性を持っているため、自ずとリテンション率が高くなるのです。
アジア地域でのQRコードの高い採用率がAndroidの高いリテンション率に貢献しており、それがこの市場でAndroidが確固たる地位を築いている原因となっているのかもしれません。
アクション・アイテム
貴社のペイド・マーケティングを、オウンド・チャネルで補完するようにしましょう。そうすればロイヤルティの高いユーザーが増加することでしょう。
全体としてこれらのデータは何を示しているか?
- ほとんどの場合、AndroidとiOSのユーザーの行動は異なっています。
- Androidアプリをダウンロードしたユーザーは1週間を通じてほぼ一貫した比率を示しましたが、iOSのユーザーの場合はほぼ週末に集中していました。
- Androidにおけるグローバルなアプリ内エンゲージメントは平日(金曜日を除く)に最大値を、週末に最小値を示しています。これとは対照的に、iOSでのエンゲージメントは、週末に最大値を示し、平日になると低下しています。
- たいていの場合、地域が異なれば、インストールの種類や使用パターンも異なります。そこで、マーケターはそれぞれの詳細な部分に注意を払う必要があります。とりわけ、貴社のアプリがグローバル市場を見据えたものであればなおさらで、それによってコストを大幅に節約することができます。
- リテンション(ユーザーの維持)は相変わらず、自社のアプリにユーザーが長く付き合ってくれるようにするために苦慮しているアプリ・マーケターにとって最大の痛点のひとつです。
- iOSとAndroidのコンバージョン率は業種によって大きく異なります(ゲームアプリを含む)。
以下のキーポイントに留意してください。
- データは非オーガニックのみで、マーケティング活動の結果としてのインストールと、インストールしたユーザーによるアプリ内の行動の両方を考慮します。
- 本調査には当社のデータベースの代表的なデータを使用しています。これらには以下が含まれます。
- 2015年6月1日~12月15日までの期間に収集された6,000種以上のアプリの11億回以上の(広告による)インストール
- 50億回以上のアプリ実行をアプリ内エンゲージメントの測定に使用
- 時刻別データは、XX:00~XX:59の1時間の間に発生したインストールと起動の総数を表します。
- ユーザーの獲得コストや再エンゲージメントのコストを常に考慮することが不可欠です。需要が高いときの入札(または価格設定)は競争がいつも以上に集中しコストも高騰するからです(メディアのコストがいつもより低く、リスクが最小限で済むときも同様です)。
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