[レポート]モバイル広告不正の現状 – 2026年版

[レポート]モバイル広告不正の現状 - 2026年版
01 主な調査結果
52%
の不正がオーガニック経由、最大の不正チャネルに
オーガニックは不正インストール全体の52%を占めており、単一のチャネルとして最大の不正発生源となっています。オーガニックはあらゆるチームにとって内部的なパフォーマンスの基準となるため、その数値が水増しされると、それを基にしたすべての比較が歪められます。金融カテゴリでは、アフィリエイト計測の厳格化に伴い、不正に占めるオーガニックの割合は35%から46%へと上昇しました。これは改善ではなく、不正の移行を示しています。
59%
Androidのギャンブルカテゴリにおける不正率は59%に達し、唯一増加を継続
Androidにおけるギャンブルカテゴリの不正率は前年比で49%から59%に上昇し、Q4には64%でピークを迎えました。依然として不正が拡大している唯一のカテゴリです。Q4のReal Users Liftは175%に達し、実際のユーザー1人の獲得に対して、ほぼ2人分の不正インストールに対して広告費が支払われている状態となっています。高い報酬単価とQ4に集中する広告投資が、不正業者にとって最も魅力的な領域となっています。
73%
2025年、iOSにおける不正の最大73%がストア検証不正
ストア検証不正(アプリストアのレシートを偽造し、不正なインストールの成果を主張する手法)は、2025年に検知されたiOS不正の最大73%を占めました。2026年Q1には51%まで低下しましたが、これは不正の総量が減少したためではなく、不正業者が偽造レシートと不正なアプリ内行動を組み合わせるようになったためです。これらの手法は、現在では併用される傾向が強まっています。

iOSのソーシャルメディア業界で Real Users Lift が275%に到達:1四半期にわたり、インストールの4件中3件が不正

Real Users Lift は、不正インストール数を実ユーザーによるインストール数に対する比率で示す指標です。2025年Q2のiOSソーシャルメディア業界では275%に達し、1四半期を通じてインストールの4件中3件が不正であったことを意味します。Androidのギャンブル業界では、Q4に175%を記録しました。その後、iOSは前年比で38%改善し、初めてAndroidよりクリーンな状態となりました。一方で、Androidの金融業界は5四半期連続で50〜53%のLiftにとどまり、改善が見られていません。

スプーフィングは2025年に最も急増した不正手法であり、すべてをゼロから偽装

スプーフィングは、2025年に最も急増した不正手法でした。実際のインストール成果を横取りするハイジャック型不正とは異なり、スプーフィングはデバイス、ユーザー、アプリ内イベントに至るまで、すべてをゼロから偽装します。
従来型の不正手法が次々とブロックされる中、不正業者は、正規トラフィックとの判別が最も難しいこの手法へと移行しました。
02 はじめに

はじめに

2025年のモバイル不正には、ひとつのパラドックスがあります。検知精度は全体的に向上したにもかかわらず、不正率自体はほとんど変化しませんでした。しかし、注視すべき指標は不正率だけではありません。マーケティング投資が増加すれば、不正インストールの絶対数も増加します。支出が拡大した状態で不正率が横ばいであっても、無駄な予算は増え、コホートは汚染され、実際には存在しない成長が計測され続けることになります。重要なのは総量ではなく、その内訳です。どの業界が最も影響を受けたのか、どのチャネルに不正が流入したのか、そしてどの手法が検知システムを回避する形で進化したのかが本質です。

不正のコストを最も直接的に示す指標は、不正率そのものではなく、購入したインストールの中にどれだけ実在するユーザーが含まれているか、そしてそれが見かけ上の成長にどのような影響を与えているかです。Real Users Liftはそれを数値化します。Androidのギャンブルでは、実ユーザー1人に対してほぼ2件の不正インストールが含まれていました。iOSのソーシャルメディアでは、2025年Q2にReal Users Liftが275%に達し、1四半期の間、インストールの4分の3が不正であり、そのデータに基づくすべての成長指標は実在しないものを測定していたことになります。インストールは存在しても、ユーザーは存在していなかったのです。

本レポート全体を通じて、3つの共通した傾向が見られます。第一に、不正は移動するという点です。あるチャネルの対策が強化されると、不正は監視が緩い領域へと流れます。オーガニック、オウンドメディア、あるいはより高度な手法がその受け皿となります。第二に、業界ごとのリスクは均一ではありません。プラットフォーム全体では中程度の不正率に見えても、あるカテゴリでは59%、別のカテゴリでは7%といった大きな差が存在します。これはデータのばらつきではなく、高い報酬が見込める領域を狙う不正業者の構造的な行動によるものです。第三に、不正の高度化が進んでいる点です。すべてのシグナルをゼロから偽造するスプーフィングは、2025年を通じて最も急速に拡大し、各四半期でインストール全体の成長率を上回りました。

本レポートでは、2025年における不正の動きを、プラットフォーム、業界、チャネルごとに分析しています。オーガニックおよびアフィリエイトにおける不正の集中領域、アフィリエイトとSRN間のリスク差が36倍に拡大した背景、加速した手法と停滞した手法、そしてReal Users Liftが示すレポート上のパフォーマンスと実際のユーザー獲得との乖離を明らかにしています。本レポートの目的は、不正の存在を示すことではなく、現在どこに存在しているのか、そして今後どこへ移動する可能性があるのかを明確にすることです。


Data sample *
106.4B
総インストール数(2025年Q1〜2026年Q1)
55.3B
有料インストール数(2025年Q1〜2026年Q1)
246K
分析期間中に1,000件以上のインストールがあったアプリ数

*すべての結果は、完全に匿名化・集計されたデータに基づいています。統計的な妥当性を確保するため、厳格なボリューム閾値および手法に従い、これらの条件が満たされた場合にのみデータを提示しています。

03 主要トレンド

アプリインストールの不正率トレンド


メディアタイプ別の不正分布


メディアタイプ別 不正率トレンド


不正検知理由別の分布

不正検知サブ理由別の分布


プラットフォーム別 ストア検証不正割合


Real users’ liftトレンド

04 専門家の見解
05 本レポートのポイント
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どこで不正を防いだかではなく、どこへ移動したかを把握する
どこで不正を防いだかではなく、どこへ移動したかを把握する

不正は一度対策すれば終わる問題ではありません。あるチャネルで対策が強化されるたびに、不正は別の弱いポイントへと移動します。金融カテゴリでアフィリエイトの計測が強化されると、オーガニック不正は33%増加しました。オウンドメディアの監視が不十分な場合、その不正率は前年比で221%増加しました。重要なのは現在の不正率ではなく、最近監視が緩くなったチャネルでどのような変化が起きているかです。不正対策は一度設定して終わりではなく、継続的に調整していく必要があります。

オーガニックを信頼する前に、基準としての正確性を検証する
オーガニックを信頼する前に、基準としての正確性を検証する

オーガニックは、すべてのチームが有料施策の評価に用いる基準であり、そのためクリーンな状態を維持することが重要です。オーガニックが水増しされている場合、それを基にしたすべての比較が歪められます。主な要因は2つあります。ひとつは、オーガニック流入を装った意図的な不正インストール、もうひとつは、有料施策におけるアトリビューション失敗によりオーガニックとして計上されるケースです。オーガニックの割合が高い場合、それが自然な流入を示しているのか、あるいは有料トラフィックが正しく計測されていないのかを見極める必要があります。オーガニックの監査は不正対策であると同時に、データ品質の問題でもあります。

メディアミックスの拡張は、それに応じたリスク管理を伴う
メディアミックスの拡張は、それに応じたリスク管理を伴う

アフィリエイトとSRNの不正ギャップは2026年Q1に36倍に達し、年間を通じて30倍以上で推移しました。アフィリエイトはリーチ拡大やコスト効率、市場アクセスの観点から重要なチャネルですが、この差は構造的なものです。つまり、アフィリエイトは不正が入り込む余地が大きいことを意味します。メディアミックスを拡張することは、新たな不正リスクを受け入れることでもあります。重要なのはチャネルを避けることではなく、より厳格な検証と迅速な対応によって管理することです。

Androidのギャンブルカテゴリは別枠のリスクとして扱う
Androidのギャンブルカテゴリは別枠のリスクとして扱う

2026年Q1時点で不正率59%、2025年Q4にはReal Users Liftが175%に達しており、Androidのギャンブルはもはや例外的な不正ではなく、前提として考慮すべき状態にあります。このカテゴリにおけるベンチマーク、コホート、ROASは、他のカテゴリとは異なる前提で解釈する必要があります。

シグナルがクリーンでもトラフィックがクリーンとは限らない:スプーフィングは過小評価されやすい
シグナルがクリーンでもトラフィックがクリーンとは限らない:スプーフィングは過小評価されやすい

スプーフィングはデバイス、ユーザー、アプリ内イベントをゼロから偽造し、正規トラフィックに見えるシグナルを生成します。そのため、異常として検知されにくい特徴があります。2025年を通じて最も急速に拡大した不正手法であり、その高度さゆえに、どの不正レポートにおいても過小評価されている可能性が高い手法です。不正指標が安定しているように見える場合でも、「何がまだ計測されていないのか」を検討する必要があります。

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