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SKAdNetworkのコンバージョン値は誰が管理するのか?

執筆者 Barak Witkowski
Valor de conversión y SKAd posterior al iOS14

最近まで、SKAdNetwork(SKAdと呼ぶことにします)という言葉を聞いたことがある人はほとんどいませんでした。しかし今では、SKAdがiOS 14以降のマーケティングエコシステムで大きな役割を果たすことになると気づき始める人が増えています。

先日のブログ記事では、SKAdに対応するためのAppsFlyerのソリューションと、SKAdによる制限を克服してエコシステムを最大限に活用する方法を紹介しました。AppsFlyerのソリューションでは、集約、検証、強化、有効化、広告主とアドネットワークの両方とのシームレスな連携が行えるようになっています。

SKAdは「コンバージョン値」という1つの特別なフィールドを中心にメカニズムが作られています。このブログ記事では、このフィールドが重要である理由と、最大限に活用する方法を説明し、よく議論される疑問の1つである「いつ誰がコンバージョン値を管理/変更するべきか?」に答えます。

コンバージョン値の価値

コンバージョン値(英語)は、0~63(整数のみ)の範囲のフィールドで、広告主アプリによって完全に制御されます。アトリビューションでクレジットを得たアドネットワークへAppleから送信されるSKAdのポストバックは、このコンバージョン値を単純に転送します。とても単純な話のようですが、なぜこの値がそんなに重要になるのでしょうか?

そこで、コンバージョン値を持たないSKAdがどうなるかを想像してみましょう。SKAdのv1が、まさにその状態で動作していたので、想像はそんなに難しくないと思います。

コンバージョン値がなければ、SKAdで得られる情報は次のようになります。
私のアプリは先週、キャンペーンAで100インストール、キャンペーンBで200インストールを獲得しました。これは、キャンペーンBの方が優れているということでしょうか? 必ずしもそうとは限りません。KPIを見る限り、キャンペーンAのユーザーの方が、はるかに良いパフォーマンスをしているからです。

これが、コンバージョン値が必要な理由です。アプリの所有者は、コンバージョン値を使ってエンドユーザーのパフォーマンスを評価できます。

例:そのユーザーからどれくらいの収益が得られたか? どのレベルをユーザーがクリアしたか? 広告を何回クリックしたか?

コンバージョン値があれば、マーケティングで必要な情報を得られるようになります。コンバージョン値があれば、「キャンペーンBでは2倍のインストール数を得られたが、キャンペーンAのユーザーの方がはるかに多くの収益を生み出していて、エンゲージメントも高い」といった結論に達することができます。

コンバージョン値があれば、欲しい情報がすべて手に入る?

そういうわけではありません。

まず、すべてのデータは、1つのフィールドに0~63の範囲で「エンコード」されている必要があるので、アプリの所有者がなんでも制限なく計測できるわけではありません。計測したい最も重要なものを選択する必要があります。

次に、SKAdのタイマーメカニズムによるタイミングの制限があります。簡単に言うと次の通りです。

  • インストールから24時間以上経過すると、イベントの計測が複雑になります。イベントが発生するまで毎日アプリが開かれるか、定期的にタイマーをリセットするバックグラウンドスレッドが必要になります。
  • アップデートのたびにタイマーがリセットされるため、ポストバックが(すでに遅延しているのに)さらに遅延します。この遅延によって最終的には、すばやく最適化していくことがほぼ不可能になります。

コンバージョン値は広告主アプリで管理されているから、問題ないのでは?

そうですね、最終的には広告主が管理することになります。

広告主は本当に自分たちで、コンバージョン値を最大限に活用できるのでしょうか? 答えはNoです。そして、アプリの所有者たちも同じ認識です。エコシステムの大手企業が広告主を支援するためのソリューションの構築をすでに始めているのはこのためです。

詳細に飛び込む前に、重要な注意事項があります。2つの異なるグループ(ベンダー)が並行してコンバージョン値を管理しようとすると、カオスになります。実際には何もうまくいかないことになるので注意してください。何もうまく行っていないことに誰も気がつくことができず、見当違いのマーケティング判断や最適化が行われることになります。

アプリの所有者の皆さん – 自分の代理としてコンバージョン値の管理をまかせるのは、必ず単一のグループ(ベンダー)にまとめてください

コンバージョン値の管理を行おうと考えるプロバイダーの皆さん – コンバージョン値に変更を加える前に、アプリの所有者に自社が代理の所有者として指名されていることを必ず確認してください。

コンバージョン値を最大限に活用する

前述のように、コンバージョン値を最大限に活用することは、SKAdを最大限に活用することを意味します。正しい選択をするために、次の項目を確認してください。

1)管理は1つに統一してシンプルに
想定:コンバージョン値のマッピングは、アプリの所有者によって頻繁に変更されます。0〜63の6ビットのデータで答えられるマーケティング関連の質問の数は限られています。ユーザー獲得の予算が効率的に使われているかどうかを検証するために、時間をかけてコンバージョン値のマッピングを調整する必要があります。
要件:マッピングの変更を行うのは1ヵ所(1つの管理画面)にまとめます。設定を変更するたびに、アプリの所有者が複数の場所で作業を行う必要はありません。

2)サーバー側で完全にカプセル化
想定:コンバージョン値はクライアント側でしか変更できません。しかし、マッピングを変更するたびにアプリのコードを変更する必要があるというわけではありません。
要件:SaaSダッシュボードでいつでもマッピングを変更できるようにし、すぐにアプリ側に実際のマッピングが反映されるようにします。新しいバージョンのアプリをアプリストアにリリースする必要はありません。

3)シンプルなセットアップ
想定:コンバージョン値は、アプリの既存のアプリ内イベントに合わせてマッピングされます。
要件:これらのイベントのマッピングを行った人(ベンダー)が、コンバージョン値の設定を行うようにします。こうすることで、設定が容易になりエラーも少なくなります。

4)柔軟な構成
想定:0〜63の6ビットのデータを最大限に活用するためには、完全な柔軟性が必要です。
要件:広告主のオプションは無制限に。収益、コンバージョン、エンゲージメントまたはこれらの3つの組み合わせを広告主が計測したい場合に対応できるようにします。例えば次のような対応ができます。

  • 収益に2ビット、エンゲージメントに3ビット、正確なインストール時間に1ビット
  • 4種類のイベントのコンバージョンの計測に4ビット、ユーザーのアバタータイプに2ビット

これだけ柔軟に設定しても、シンプルさを維持できるのでしょうか? 答えはYESです。

5)パラレル/マルチモード対応
想定:アプリの所有者は、どの時点でも答えを得たいマーケティングの質問を複数持っています。
要件:地域ごとやランダムにエンドユーザーを分割し、2つのKPIを持ったキャンペーンについて、並行して最適化と分析を行えるようにします。
このように分割することで、最終的にはアプリの所有者がエンゲージメントやコンバージョンと並行して、収益を高い粒度で計測するのに役立ちます。このような並行対応は、利用できるデータフィールドが1つしかない場合に便利です。
注意:ランダムに分割する場合は、必要に応じて結果の規模を大きくするよう管理画面を設定してください。

6)期間の長さ設定が変更可能
想定:アプリ所有者の中には、インストールの24時間後以降にも発生するイベントに注目する必要がある人もいます。
要件: コンバージョン値を変更できる期間の長さを(サーバー側から)簡単に設定できるようにします。この設定変更にも、コードの変更や新しいアプリのバージョンのリリースは必要ないようにします。

7)S2S とサーバートリガーイベント
想定:一部の広告主は、サーバーまたはCRMのロジックに基づいてイベントを生成します。 
要件:サーバーが生成したイベントを元にクライアント側に通知するフロー。それに応じてコンバージョン値を変更するため(クライアント側でしか変更できないため)。

8)初期エンゲージメントからユーザーの質を予測
想定:インストール後24時間以上のイベントの計測にSKAdでは制限があるため、アプリでの最初のエンゲージメントに基づいてユーザーの質を予測できると非常に便利です。
要件:最初の24時間のエンゲージメントに基づいて、ユーザーの長期的なLTV/ROIを予測できる機械学習およびAIのアルゴリズムが必要です。

9)ポストバックの改竄の可能性を最小限に抑えて運用
想定:広告主はポストバックに直接アクセスできません。さらに悪いことに、コンバージョン値フィールドはAppleによって署名されていないので、データの信頼性を検証することができません。そのため、広告主に送信される前にデータが改竄される可能性が潜在しています。
要件:コンバージョン値を管理するのは、完全に信頼できる人でなければなりません。公正な立場で、広告主だけの利益を代表する人でなければなりません。
また、悪意のある操作が行われにくくするため、コンバージョン値のマッピングは頻繁にローテーションさせるようにします。こうすることで、不正事業者によるコンバージョン値の意味の推測が難しくなり、そのパターンも学習できなくなります。

10)他のアトリビューションモデルと相関させたデータの検証
想定:それでもSKAdデータの改竄を試みる不正事業者がいるかもしれません。 
要件:SKAdデータを他のアトリビューションモデル(英語)を相関させます。例えば、特定のキャンペーンについて、SKAdが確率モデルとは全く異なる数字を示した場合、不正行為の兆候を示す必要があります。

11)データの消費
想定:アプリの所有者の中には、マーケティングデータの確認に、設定を変更できる管理画面を使いたい人もいれば、API呼び出しを使いたい人もいます。
要件: 広告主に送信する前にコンバージョン値を変換するのは簡単な作業ではありません。マッピングは時間の経過とともに変化し、地域やユーザーによって異なる場合があります。場合によっては、数字を大きくする必要もあります。その作業をすべて考慮した上で、コンバージョン値を管理する人やベンダーを検証してください。

12)キャンペーンの最適化をサポート
想定:アドネットワークは、各アプリのKPIに応じてパフォーマンスを最適化するために、コンバージョン値を変換する必要があります。
要件:コンバージョン値を管理する人(ベンダー)は、すべてのアドネットワークと連携し、それぞれのポストバックについてコンバージョン値を本当の意味に変換する必要があります。

13)Appleによる将来的な変更への対応 
想定:SKAdのv2は間もなくv3、v4、v5に置き換わります。iOS14より後の時代において、SKAdは大きな役割を果たすことになり、Appleも引き続き改良を続けていくことになります。
要件:最新の変更状況を常に把握する人が必要です。また、アプリのコードを変更したり、新しいバージョンのアプリをリリースしたりすることなく、ロジックを変更できる仕組みが必要です。

広告主は、このすべてを自分で対応できるでしょうか?

可能なものもありますが、絶対に無理なものもあります。

相当なリソースがあれば、広告主はクライアント側にコマンドを送信し、アプリ内イベントを収集し、OSの機能を呼び出し、頻繁に回転させるサーバーベースのエンティティを作成することができます。また、Appleによる変更をトラッキングし、必要に応じて変更に対応することができます。

その他に広告主は、アトリビューションでクレジットを獲得した様々なネットワークのすべてから、ポストバックを収集しなければなりません。これは、広告主にとって可能でしょうか?異なる数十の外部ネットワークからデータを収集し、それぞれと連携し、規模を維持できるでしょうか?

理論的にすべてが可能だったとしても、広告主にとってほぼ不可能なミッションがあります。それは、キャンペーンを最適化するために、各コンバージョン値の意味を各ネットワークにポストバックとして送信することです。アプリの所有者たちは、この重要な処理を行うための仕組みを持っていません。この仕組みがなければ、ネットワークは広告主の利益のためにキャンペーンを最適化することができません。アプリ所有者は、これらの連携とメカニズムをすでに用意しているプロバイダーを必要としています。

要するに、コンバージョン値を管理するのは誰なのか?

まず思い当たるのは、アドネットワーク、アナリティクスツール、MMPです。

アドネットワークで管理しない理由
他のネットワークと連携していないので、キャンペーンの最適化ができなくなります。アトリビューションは彼らの専門ではないと言えるでしょう。

MMPが最適な理由
信頼できて公正なMMPは、定義通りであれば相反する利害関係を持ちません(英語)。MMPの唯一の目標は、信頼性の高い正確なデータを広告主に提供することです。

キャンペーンの最適化 – すべてのネットワークとすでに連携しているのは、MMPだけです。MMPがいなければ、キャンペーンの最適化は機能しません。

異なるアトリビューションモデルの強化SKAd以外にも、他のアトリビューションモデルが存在します。アプリの所有者は、すべてのモデルが相互に強化することを望んでいます。さらに、他のモデルを所有している人(ベンダー)だけが、SKAdのデータが整備されて改竄されていないことを保証できます。「クリーン」な環境は、正確なマーケティング判断を行ううえで重要な要素です。

最後にひとつ、推奨事項

コンバージョン値を管理する人(ベンダー)は、SKAdフロー全体も管理する必要があります。

アプリの所有者であれば、エキスパートと一緒に仕事をすることを選びましょう。マーケットリーダーを選びましょう。何万ものアプリで、これらのプロセスを最適化してきた経験のあるエキスパートを選びましょう。彼らはあなたの利益を最大化してくれるでしょう。さぁ、一緒に頑張りましょう!

Barak Witkowski

Barakは、AppsFlyerの製品担当副社長です。彼は、世界中で数千万人のユーザーを持つモバイルアプリを立ち上げた経験豊富な起業家です。
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