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市場のリーダーシップにおける「囚人のジレンマ」の解決方法

執筆者 Oren Kaniel
モバイル詐欺の「囚人のジレンマ」を解決する方法

先週は、AppsFlyerが機械学習を利用した不正への取り組みにおいて、スケールの大きいデータ量の活用術について投稿しました。その中で、膨大なデータ量のおかけで、新しい形式の不正を迅速に識別し、クライアント全体を不正から守ることができると説明しました。今回は、サイズに関するもう一つの重要な側面、大きなマーケットシェアをについて焦点を当てます。

残念ながら、モバイルマーケティングのエコシステムでは、不正への取り組みについて広く話されてはいるものの、単に口だけではなく実際の行動を見ると、真に不正対策をするための本当の動機を誰も持っていません。その結果、不正が蔓延しているのです。

しかし、この現実が抜本的に変化しようとしているのです。

モバイル広告という分野において、アドネットワークには、不正を在庫から取り除く動機があまりありません。不正防止策を積極的に開発しているネットワークはありますが、不正を無視したり、中には促進するネットワークさえあります。このような状況が発生すると、正当なアドネットワークは、ROIにおいて良い成果を出すことがでません。

マーケターは、他で0.3ドルで購入できるアプリのインストールを3ドルでは購入しないでしょう。特に、偽のユーザーやハイジャックされたユーザーが実際のユーザーよりもはるかに高いLTV(顧客生涯価値)やROIを有する新しい種類の不正において、極めて有害といえます。

競争の激しい環境では、正当なアドネットワークは、不正行為者の偽のROIと競争するために、基準を下げることを余儀なくされる場合があります。不正なパブリッシャーや疑わしいアフィリエイトからの不正を排除する代わりに、ネットワークは、不正なトラフィックをマーケターに送信するという代償を払ってでも、競争力の維持を目的として、無視することを余儀なくされる場合があります。

上記の現象は、囚人のジレンマの良い例です。この窮地がモバイル広告の不正において、どのように現れるかを考えてみましょう。

  1. どのネットワークも不正に取り組む動機がない→誰もが敗北し、広告主のビジネスがダメになる
  2. ネットワークAだけが不正に取り組む→Aのパフォーマンスが他に比べて魅力的に見えないため、広告主は、メディア購入先をネットワークBに変更する
  3. ネットワークBだけが不正に取り組む→Bのパフォーマンスが他に比べて魅力的に見えないため、広告主は、メディア購入先をネットワークAに変更する
  4. 誰もが熱心に不正に取り組む→誰にとっても(不正行為者を除く)持続可能なWin-Winのシナリオが成立:市場の透明性と信頼性が向上し、マーケティング費用の急速な増加につながる

明らかに、オプション4だけが持続的な「勝利」といえます。その他のオプションは、すぐに損失につながる短期的な勝利です。

クライアントへ不正なトラフィックを送信しないことはアドネットワークの責任ですが、AppsFlyerでも措置を講じています。AppsFlyerは、不正行為が主なビジネスモデルだと確信したアドネットワークを、これまでに数社AppsFlyerプラットフォームから積極的に削除しました。当然のことですが、それらのアドネットワークは当社の決定に動揺し、全力を上げて削除を阻止しようとしました。しかし、当社の最終的な目的は、クライアントを成功させることです。

これは、真に公平であることの主な利点のひとつです。当社の全体収益は、クライアント、つまりマーケターによりもたらされます。当社は何かを販売したり、メディアパートナーと商取引を行うことは一切ありませんが、その他のアトリビューションツールは、パブリッシャーまたはネットワークと広告主の両方にサービス(またはデータ)を販売しています。

これらの取引は明白な収益の相反を生み、不正について単に話すのではなく、実際に不正に取り組まないようにさせています。このように公平ではないアトリビューションツールは、料金を支払っている顧客でもある不正者と向き合い、彼らを削除することができるでしょうか?おかしな話ですよね?

AppsFlyerのActive Fraud Suite 2.0(英語)DeviceRankを当社のビッグデータおよび世界最大の不正異常データーベースと組み合わせることで、問題を検出しAppsFlyerのエコシステムがクリーンであることを保証しています。

行動は言葉よりも雄弁と言います。アトリビューションオーソリティ(英語)として当社は、AppsFlyerのエコシステムを規制し、クライアントであるマーケターの保護を目的に、プラットフォームから不正行為者を取り除くことを決めました。そのため、当社は提携アドネットワークを常にレビュー・監査し、不正なトラフィックがAppsFlyerのクライアントに送信されるのを最小限に抑えるため、できる限りのことを実施します。

60%のマーケットシェアを保有する事実は非常にパワフルです。権力には責任が伴うため、当社は、クライアントと業界の保護に最善を尽くしています。したがって、アドネットワークには、不正行為を抑止し、悪質なパブリッシャーやアフィリエイトとの協働を停止することを推奨します。話が上手すぎるときは、必ずと言っていいほど裏があります。不正者が失業し、正当なビジネスこそが繁栄するべきです。当社が何もしないと、不正者が繁栄し、合法的なビジネスが業界全体とともに消滅してしまいます。

マーケターの皆様は、不正に巻き込まれている場合(大抵の場合、不正の影響を受けているでしょう)、次の質問を自問してください:

  1. 貴社のアトリビューションパートナーは、貴社のため、それとも特定のアドネットワークの、どちらのためにビジネスを行っていますか?
  2. 貴社のアトリビューションパートナーは、効果的な不正への取り組みを阻止する恐れのある利害の衝突がありますか?
  3. 貴社のアトリビューションパートナーは、利益を求めてデータを販売していますか?
  4. 貴社のアトリビューションパートナーは、クリーンな環境を実現し、貴社のアドネットワークが貴社に不正なトラフィックを送信する前に再考させるスケールを有しますか?

最後に、囚人のジレンマに戻りましょう。提携アドネットワークの皆様にお伝えしたいメッセージとしては、AppsFlyerのクライアントの皆様に関しては、これで不正防止に積極的に取り組む理由ができたのです。当社は、すべてのパートナーが同様に不正に立ち向かうことを保証します。措置を講じ、基準を引き上げることで、AppsFlyerは、クライアント、提携メディアパートナー、そして業界全体に持続可能なWin/Winのシナリオを提供するよう全力を尽くします。

Oren Kaniel

Oren KanielはAppsFlyerの共同設立者兼CEOです。モバイルをこよなく愛し、クリエイティブな思想家、聞き手、話し手であり、ブロガーでもあります。Technionでコンピュータサイエンスの学士号(Cum Laude)を取得し、Wharton Business Schoolとの交流の一環としてIDCでMBAを取得しました。

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