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勝ちクリエイティブを見つけ出し、AIでその価値を最大限に高める方法

執筆者 Thomas Petit & Shani Rosenfelder
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ユーザー獲得においては、アルゴリズムと自動化が重要な役割を果たしますが、創造性、つまり広告クリエイティブもまた不可欠な要素であることは間違いありません。

Nielsenの調査によると、広告の成功要因の49%を占めているのはクリエイティブです。しかし、効果的な広告キャンペーンに必要なのは、適切なオーディエンスのターゲティングや、入札戦略の最適化だけではありません。人々の注目を集め、行動を喚起するようなビジュアルやメッセージも重要です。

「勝ち」クリエイティブは、多少改良されているだけの広告を指すものではありません。興味深いことに、他の広告を10倍どころか、100倍、1,000倍も上回る効果をもたらす、ゲームチェンジャーとなる可能性を秘めています。こうしたクリエイティブは、単にパフォーマンスが高いだけでなく(そのようなケースは珍しくありませんが)、拡張性に優れ、投資に対して非常に大きな利益を実現します。

ただし、クリエイティブの配信の機会は均等ではありません。多くの場合、90%以上のクリエイティブは影に隠れ、一部の勝ちクリエイティブに広告予算の80〜90%が投入されることになります。

では、このようなつかみどころのない勝ちクリエイティブをどのようにして見つけ出せばよいのでしょうか?

1.クリエイティブサイクル — 勝ちクリエイティブの見つけ方

勝ちクリエイティブを見つけ出すには、最終的な目的を達成するまでにいくつかの有望なコンセプトを経る必要があります。この微妙なジャーニーは、創造性と戦略が融合したクリエイティブサイクルと呼ばれる動的なプロセスによって進行します。

クリエイティブサイクルの各段階 

プロセスは次のように進行します。

クリエイティブサイクルの各段階

調査:オーディエンスの把握、競合分析、過去のデータの確認を通じて、十分な情報に基づいた意思決定の土台を築きます。

アイデア出し:斬新なアイデアを出してブレインストーミングし、徹底的な調査を経て説得力のあるメッセージを作り上げます。

プロダクション:アイデアやコンセプトを、実際のキャンペーンで使用するテスト可能なクリエイティブアセットに変換します。

テスト:この段階では、クリエイティブをテストします。オーディエンスの反応とエンゲージメントを評価し、潜在的な勝ちクリエイティブを特定します。

拡張とイテレーション:勝ちクリエイティブにより多くのリソースと予算を割り当てると同時に、イテレーションを通じて調整と改善を行います。

サイクルを再開するための学習:成果を高めるための新鮮なインサイトを取り入れて、クリエイティブサイクルを継続します。

勝ちクリエイティブを見極める — 隠れた要因

次に、この動的なサイクルの中で、真の勝ちクリエイティブを見極める方法を理解しましょう。

  1. データによる判断:多くの場合、勝ちクリエイティブは明確にわかるものです。インプレッション、予算、全体的なコストなど、配信において大部分を占めているのが勝ちクリエイティブです。 
勝ちクリエイティブを見極める

2. 配信とパフォーマンスの比較評価:データに注目するだけでは十分ではありません。こうしたデータがパフォーマンスに反映されているかどうかを評価することも同様に重要です。プラットフォームで予算が一部の広告に集中することはよくありますが、下流のKPIにも成果が生まれているでしょうか?このクリエイティブに関連する広告グループのリテンション、LTV(顧客生涯価値)ROAS(広告費回収率)は顕著に向上しているでしょうか?

3. テスト以外の環境での効果:初期のテスト環境は、勝ちクリエイティブにとって格好の環境といえるかもしれませんが、規模を拡大したときにもその地位を維持できるかどうか、さらには高コストの広告グループの既存の勝ちクリエイティブを超えることができるかどうかが重要です。

勝てる広告クリエイティブは、ボリュームとパフォーマンスがシームレスに結合し、リーチと収益性の両方に優れています。この均衡こそ、有望なクリエイティブを究極の広告チャンピオンへと押し上げる条件です。

2.勝ちクリエイティブを特定したら — 可能性を引き出す

何もせずに進展を見守るのではなく、よく考えてみてください。受動的なアプローチでは、未開拓のチャンスを見過ごすことになりかねません。 

最善の結果を得るためには、そのクリエイティブの可能性を余すところなく引き出す必要があります。方法は次のとおりです。

  • 規模の拡大:勝ちクリエイティブが普遍的な訴求力を持っているのか、それとも限界があるのかを見極めます。広告費を増額し、ネットワーク、プラットフォーム、国、またはターゲット基準を広げることで、拡張性をテストします。より大規模にパフォーマンスを発揮できるようにしましょう。
  • 改善とイテレーション:アイデア出しやプロダクションでは、多くの場合、迅速なテストと検証のためにMVP(Minimum Viable Product)広告を作成します。しかし、有望なクリエイティブがそのまま最後のイテレーションになることはめったにありません。継続的に調整し、ブランドやメッセージの基準に合わせる必要があります。
  • 最適化のための調整:ナレーション、字幕、テキストの変更といったローカライズ作業を通じて、多様なオーディエンスに向けてクリエイティブを調整します。サイズ、アスペクト比、ビデオの長さ、オーバーレイ要素を変更すると、さまざまなプラットフォームの設定に適応し、多様なチャネルで最適化されたパフォーマンスが実現します。

3.可能性をとことん引き出す

可能性をさらに引き出し、勝ちクリエイティブを改善して最適化します。

勝てる要素を見極める

そのクリエイティブを他よりも際立たせている具体的な要素を特定します。

  • 再確認:過去の広告コンテンツをチェックし、人々がどのような点を気に入ったかを確認します。伝え方、スタイル、見せ方など、一貫して成功につながる共通の特徴や戦略はあるでしょうか?
  • 指標のチェック:データと数値を見れば、なぜ好調だったのかがわかります。  オーディエンスの注意を引くフック率、オーディエンスの関心を引きつけるホールド率、または動画再生完了回数/率は、競合を上回っているでしょうか?
  • 名前を付ける:明確な命名体系を使って広告やコンテンツの要素に名前を付け、整理しましょう。これにより、特にAIを使用した場合にバリエーションを効率的に追跡し、比較することが容易になります。その点については、後で詳しく説明します。

勝ちクリエイティブを実験改良する(フランケンシュタインアプローチ)

次は、少し実験的にさまざまなバージョンを微調整してテストしてみます。 

  • バリエ―ションを作る:フック、配色、背景、エンディングなど、さまざまな部分を変更してテストします。このプロセスは、成功に最も貢献する特定のアセットを切り分けるのに役立ちます。 
  • 組み合わせに注意する:クリエイティブを分解して微調整する際には、各要素が適切に機能する微妙なバランスを崩さないように注意してください。ときには、要素の相乗効果が成功につながることもあります。
  • 勝てる要素を組み替える:一からやり直すのではなく、勝てる要素を他の実績のあるアセットと組み合わせることを検討します。たとえば、勝てるフックはそのままに、別の主要メッセージ(「本文」)やさまざまなエンドカードを試してみましょう。こうすることで、うまくいっている部分は維持しながらそれ以外の部分を最適化できます。

つまり、短期的な勝ちにとどまらず、成功したマーケティング戦略の長期的な実行可能性と適応性に焦点を当てるということです。持続的な成功を確実に達成するために、成功したキャンペーンの普遍性、拡張性、改良の可能性を評価します。

4.AIで次のレベルへ

AIはマーケティング分野で真の力を発揮します。ChatGPTやMidjourneyのようなツールはよく知られていますが、マーケティング用のAIツールも無数に開発されており、状況は驚くほどのスピードで進化しています。

AIと動画クリエイティブ

AIは、動画内のクリエイティブコンテンツを複数のレイヤーに分解することで、コンテンツの分析方法を変えることができ、エンゲージメントを促進する真の要素を詳細に理解するのに役立ちます。

この仕組みは、簡単に言うと、コンピュータービジョンとNLP(自然言語処理)に基づくAIアルゴリズムで成り立っています。

コンピュータービジョンとは、コンピューターによる画像解釈を可能にするものであり、画像を複数の要素に分解して、パターン、形、色に基づいて、物体、人物、景色を認識します。たとえば、写真に写っている猫の特徴を分析することで、その猫を識別できます。

またNLPは、コンピューターが人の言葉を理解し、単語、文章、文脈を解読できるようにします。これによりAIは、質問や意見、命令を区別できます。

階層化された分析の可能性

AIによるクリエイティブの分析は、複数の階層に渡るプロセスです。

  • 動画クリエイティブを期間(常時配信か短期配信か)などの要素に基づいて分類し、パフォーマンスへの影響を評価します。
  • オープニング、エンディング、アニメーションシーケンス、ユーザー生成のコンテンツセグメントなど、動画内の個別のシーンを特定し、全体的なパフォーマンスへの貢献度を把握します。
  • トレーニングされたセグメンテーションモデルを使用して、フレームを基本的な要素に分解し、細かい粒度で分析します。たとえばカーレースの広告では、背景、車の色、道路標識などをAIで識別できます。
効果的なクリエイティブ要素の特定

NLPは、クリエイティブの最適化においても重要な役割を果たします。NLPがナレーションやテキストのエンコードと抽出を行い、シーンとクリエイティブの分類、およびキーメッセージの特定を支援します。
粒度の細かいシーンデータや要素データと、さまざまなチャネルやMMP(モバイル計測プラットフォーム)からのパフォーマンス指標を組み合わせることで、これまでにない規模で勝てる戦略を構築し、クリエイティブを最適化できます。

AIのメリット

AIによって、マーケティング担当者は最終的に次のようなメリットが得られます。

  1. クリエイティブの要素を特定してラベルを付け、何が効果的なのかを明らかにできます。
  1. 手作業に比べ、わずかなコストで数多くのバリエーションを作成できます。人間が思い付かないような組み合わせも見つけ出してくれます。

現時点では、何百ものバリエーションをテストすることは大変な作業です。 

そこで、1と2のメリットが効果を発揮します。AIは過去のデータを分析し、どのバリエーションが成功する可能性が高いかを予測することができます。つまり、もう無作為にテストをする必要はなく、データに基づいた精度でクリエイティブ戦略を微調整できるというわけです。

5.注意深く監視

どんなに強力な勝ちクリエイティブでも、避けられない時の流れから逃れることはできません。勝ちクリエイティブの効果を維持するために、以下の対策を検討します。

広告疲労を監視

CTR(クリックスルー率)、IPM(1,000インプレッションあたりの生成インストール数)、配信率などの重要なKPIに目を配りましょう。これらの指標は一定ではなく、ピークに達した後、徐々に低下していきます。広告疲労をいち早く見極めるための指標として機能し、パフォーマンスが著しく低下する前に対策が必要かどうかを判断できます。

フランケンシュタインアプローチを採用

マーケティングにおける創造性は、実験と改変によって育まれます。勝ちクリエイティブの避けられないパフォーマンス低下を遅らせるために、いわゆる「フランケンシュタイン」戦略を採用することを検討しましょう。 

これは、勝ちクリエイティブを置き換えるのではなく、そのバリエーションやイテレーションを通じて新たな命を吹き込むことを指します。A/Bテストを実施し、元のクリエイティブとパフォーマンスを比較して、最新のオーディエンスの嗜好と整合しているかどうかを確認します。

並行してテストを継続

デジタルマーケティングにおいて、マーケティング担当の最強の武器は変革です。リーチを拡大し、現在の勝ちクリエイティブのパフォーマンス低下を防ぐために、新しいコンセプトを継続的にテストしましょう。こうした継続的なテストがセーフティネットとして機能し、より多様なオーディエンスとつながるのに役立ちます。 

また、好調を維持し、特定のセグメントにおける新たな勝ちパターンを探し出すために、さまざまなメッセージング、クリエイティブ、広告フォーマット、チャネルも試してみます。

重要なポイント

  • 勝てるクリエイティブを見つけ出す可能性を高めるには、徹底的な調査を行い、常にさまざまなアイデアを出し続けます。自分の限界を定めず、さまざまな角度やアプローチを探ってみましょう。
  • 勝ちクリエイティブが広告予算のかなりの割合を占めるようになっても、慌てて打ち切るようなことはせず、代わりに、そのパフォーマンスを精査します。ROAS(広告費回収率)をチェックし、具体的なネットワークや指標を含め、効果が上がっている理由やポイントを調査します。 
  • 勝てるクリエイティブを特定したら、適切なキャンペーンに組み込むことで、そのインパクトを戦略的に拡大します。クリエイティブの効果を生かして、相互に関連する取り組みのパフォーマンスを強化します。
  • ローカライズや組み換えを試みて、勝ちクリエイティブの寿命を延ばし、リーチを拡大します。特定のオーディエンスや状況に合わせてクリエイティブを調整し、常に新鮮で効果的な状態を維持します。
  • キャンペーンのあらゆる側面を随時改善します。元のキャンペーンを超えるバリエーションを見極め、その効果の要因を特定します。 
  • 勝ちクリエイティブに疲労の兆候がないか監視します。パフォーマンスが停滞または低下したら、パイプラインの新しいコンセプトに移行するための準備に入ります。
  • AIが提供するこれまでにないインサイトと自動化機能が、より効果的な広告キャンペーンを実現します。AIを活用してクリエイティブのパフォーマンスを高めましょう。

Thoma Petit

Thomas はモバイルアプリの成長戦略コンサルタントであり、madv.io と @thomasbcn でアプリマーケティングコンテンツのキュレーターを務めています。MVPからユニコーンまで、100以上の企業で研修生、創業者、社員、フリーランサー、アドバイザー、投資家、メンターとして働き、フルスタックのデジタルマーケティングから、獲得、活性化、マネタイズに関する戦略指導と戦術的実行まで、幅広いスキルを有しています。

Shani Rosenfelder

Shaniは、AppsFlyerのコンテンツ&モバイルインサイトの責任者。10年以上にわたり、さまざまな大手オンライン企業や新興企業で、コンテンツやマーケティングの重要な役割を担ってきた経験を持つ。創造性、分析力、戦略的思考を兼ね備え、革新的なコンテンツ主導型プロジェクトを通じてブランドの評判と知名度を高めることに情熱を注いでいる。
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