2020年版アプリ業界におけるアンインストール率のベンチマーク調査

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アプリ業界では相変わらず激しい競争が繰り広げられており、一向におさまる気配がありません。全ジャンルにおいてユーザー維持に苦戦していて、リテンション率が低下していることからも、アプリを取り巻く環境は厳しさを増していることがみてとれます。 

そこに加えて、アプリのアンインストールが問題を深刻化させています。ユーザーの期待を超えるサービスを提供することは確かに困難なことですが、そもそもアプリがアンインストールされるということはアプリ自体になんらかの問題があるか、または成果の出ない間違ったマーケティング活動をおこなっている可能性が考えられます。

今回の調査結果を先に説明すると、およそ50%のアプリがインストールされてから30日以内にアンインストールされています。

アプリを完璧なクオリティに仕上げ、かつスピード感をもってサービスを提供しない限りすぐに削除されてしまいます。アプリの選択肢がありふれるいま、代わりはいくらでも見つかるのです。

アンインストールによる損失額

わたしたちの調査によると、2020年度のマーケティング予算の平均月間損失額はおよそ5万7千ドル、これは2019年度と比較して70%増です。まだアンインストールを計測していない、または最適化をはかっていないアプリマーケターは、この数字が意味するところを深刻に受け止める必要があります。

前年と比べて損失額が大幅に増加した背景には、1アプリあたりの平均アンインストール数が31%、CPI(1インストールあたりのコスト)が35%上昇したショッピングアプリが大きく関係しています。 ショッピング、フード&ドリンク、ファイナンスの3つのジャンルはCPIが上昇し、損失額上位にあがりました。また損失額3位のSNSは、1アプリあたりの平均アンインストール数が対前年比250%増となっています。

アンインストールを計測するメリット 

マーケティングの観点から解析すると、新規ユーザー獲得のパフォーマンスを向上させるには、まずはアンインストールを計測して、アプリが削除されるタイミングとその理由、また流入経路を理解すること。それとあわせて、ユーザーが達成したい目標を把握して、適切な期待値に導くことがユーザーを維持するうえで欠かせません。

それに対してプロダクト開発の観点から解析すると、アンインストールを防ぐには、ユーザーに良質なオンボーディング体験を提供することが大切です。ユーザーがアプリを開いた瞬間からいかにスムーズに定着させるかが、アプリのその後を左右します。

アンインストール計測は、プライバシー対策を講じてユーザーのプライバシーとデータの両方を守ることができます。アプリをアンインストールしたユーザー(またアプリのサービスに興味を示していないユーザー)をターゲット対象者から外すことができます。

幸いなことに、アンインストール問題に取り組んでいるアプリの数は年々上昇傾向にあります。2016年7月にAppsFlyerが提供を開始したアンインストール計測機能を、アプリの計測指標に取り入れているアプリは4倍ほど増えました。

しかしそれでもアンインストールを計測しているアプリは4分の1に過ぎず、その数はまだまだ少ないのが現状です(※マーケティング目的のためにプロダクトマネージャーが計測をおこなっている確率のほうが高いと考えるのが妥当)。

今回の調査レポートがアンインストールに対する理解や関心を深めるきっかけにつながればと思います。ご興味のある方はぜひレポートをダウンロードしてください。レポート内容は次のとおりです:

  • 新型コロナウイルス感染症パンデミックがアンインストール率におよぼした影響
  • 国 / ジャンル別でみるアプリインストール後30日以内に発生した合計アンインストール率
  • 国 / OS / インストール別でみるアンインストールの傾向(平均&上位)
  • アンインストール率を改善するためのポイント

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