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ディープリンク入門:今、最も注目されているカスタマー体験テクノロジーの「なぜ」「何を」「どのように」活用すべきかをご紹介します

Deep linking guide

はじめに

ディープリンク。 誰もが聞いたことのある用語かと思います。 ユーザー体験を高め、コンバージョンと収益を大幅にアップさせるものと聞いているのではないでしょうか。 専門用語を使いすぎないシンプルな内容で、ディープリンクの基礎がすぐわかる究極のガイドはないだろうかと、皆さん、ネットをあれこれと検索してきたかと思います。

そんな皆さんに朗報です。当社では15~20分で読める入門ガイドを制作しました。概要は次のとおりです。

  • ディープリンクとディファードディープリンクの概念の紹介
  • ディープリンクのメカニズムについての解説
  • ディープリンクの利点と顧客ROX(体験からのリターン)を高めるメカニズムについての解説
  • ユニバーサルリンク、アプリリンク、URIスキームの概要
  • さまざまな業種に対応する豊富なユースケースと運用上の課題
  • 実装の注意点

役に立ちそうですよね? はじめましょう。

Chapter 1: What is deep linking

チャプター1

ディープリンクとは

モバイルアプリの観点で考えると、さまざまな場所からアクセスしたユーザーを特定のアプリ内コンテンツに誘導するアクションをディープリンクといいます。

特定のコンテンツとは、アプリのホーム画面を除く、製品ページからチェックアウトにおよぶ、アプリ内のほぼあらゆる目的地を指します。

難しいことではありません。Instagram、Snapchat、メールやテキストメッセージ、チャットのインボックス、サーチエンジン、屋外広告やピザの箱に印刷されたQRコードと、潜在的ユーザーや既存のユーザーが見ているあらゆる場所が出発点です。 モバイルユーザーが事実上どこにでも存在するのなら、皆さんもそれに対応すべきです。

Deep linking starting points
ディープリンクを活用すれば、マーケターやプロダクトマネージャーは世界中の至る所に存在するユーザーをアプリに誘導できます

一見奇妙に感じるかもしれませんが、ディープリンクへの理解が深まるよう、モバイルマーケターとタクシードライバーを比較(英語)してみます。

こう考えてください。タクシードライバーとマーケターは、お客様をA地点からB地点まで運ぶという点では同じです。実行手段として、タクシードライバーは車を使い、マーケターはディープリンクテクノロジーを使うわけです。

簡単に言うと、ディープリンクは世界中のあらゆる場所のユーザーをあらゆるデジタル環境に誘導するために使われます。モバイル環境では、アプリのインストール数エンゲージメントリテンションを高めるための手段としてディープリンクが広く用いられています。

Deep linking taxi driver example

ディープリンクのメカニズム

興味深い話題へと進みましょう。マーケターやプロダクトマネージャーがキャンペーントリガーとして設定した同じリンクからユーザーが特定のコンテンツにアクセスし、アプリインストールの有無、デバイス(モバイルやPC)、オペレーティングシステム、ブラウザの違いに関わらず、スムーズでシームレスなジャーニーを実現させるには何が必要でしょうか?
Tここがディープリンクの腕の見せ所です。

Uマーケターはディープリンクエンジンを使い、ユーザーがリンクをクリックすることで得られる体験を定義します。

アプリユーザーがリダイレクトされる先だけでなく、iOS、Android、デスクトップユーザー別にジャーニーをカスタマイズしてディープリンクに定義することも可能です。

Deep linking & ROX

ごく基本的なレベルで見ると、マーケターとプロダクトマネージャーはアプリユーザー(英語)と非ユーザーの両方にディープリンクエンジンから2種類のジャーニーを提供できます。

  • アプリユーザー — ディープリンクでコンテンツとシームレスにつながります。
  • 非アプリユーザー — 「ディファードディープリンク」と呼ばれるメカニズムが作動し、適切なアプリストアに誘導されます。ユーザーがそこでアプリをダウンロードしてインストールし、起動させると、適切なアプリ内コンテンツが表示されます。
How does deep linking work

ディープリンクエンジンはユーザー別にカスタマイズされたジャーニーがその場で構築されるため、文脈のあるパーソナライズされたカスタマー体験を実現できます。ユーザーにとって快適なジャーニーは、リテンション率の上昇からコンバージョンの増大(英語)LTV(顧客生涯価値)(英語)の改善と、最終的にビジネスにめざましい影響を生み出します。

ディープリンクエンジンでできること

シンプルな誘導プロセス
(1) 既存ユーザーにはメールでリンクを送り、そのリンクからユーザーを直接アプリ内の商品ページに誘導することで、アプリエンゲージメントが向上します。
(2) 報酬契約を結んだインフルエンサーとコラボし、彼らの自作YouTube動画の説明文(ディスクリプション)に埋め込まれたアプリリンクを通じてアプリの成長を促します。このリンクから、新規iOSユーザーはApp Storeへ、新規AndroidユーザーはPlay Storeへ直接誘導された後、インフルエンサーが動画で紹介した文脈に合わせてアプリ内コンテンツにリダイレクトされます。

さらにパワフルな誘導プロセス
(1) ウェブからアプリへのジャーニーを構築してアプリの成長を促します。ジャーニーはモバイルウェブ上のバナーから始まり、流入トラフィックのソースを捕捉して報告した後、ユーザーを適切なアプリストアへ、続いて適切なアプリ内コンテンツへと誘導します。
(2) 複数のCTAボタンが表示されたモバイルウェブ上のランディングページにユーザーを誘導し、そのボタンからユーザーを別のアプリストアへと導き、最終的にはアプリへと誘導するキャンペーンでアプリの採用を促します。(スーパーボウルで流れたコインベースのCMなど

本項の最後にお伝えしておきたいのが、ディープリンクとディープリンクエンジンの違いです。

  • ディープリンクとは、ユーザーをどこからでも固有のアプリ内コンテンツに誘導するアクションを指します。
  • ディープリンクエンジンとは、ブランドがウェブ上のランディングページやアプリストアなど、デジタルロケーションを含めた別の目的地にユーザーをリダイレクト(すなわちディープリンク)する機能を指します。

Chapter 2: Benefits of deep linking
チャプター2

顧客ROX(体験からのリターン)に結びつく有意義なジャーニー – ディープリンクのメリット

ディープリンクについて、そのメカニズム、ディープリンクでできることがわかったところで基本に立ち返り、次の質問に答えてください。そもそもどうしてディープリンクが必要なのですか?

アプリマーケターやプロダクトマネージャーがディープリンクを採用する理由はシンプルです。

ディープリンクは簡単な手順で素晴らしいカスタマー体験を構築することで、さまざまなチャネルから新規ユーザーと既存ユーザーを誘導してコンバージョンを増やします。

ディープリンクは簡単な手順で素晴らしいカスタマー体験を構築することで、さまざまなチャネルから新規ユーザーと既存ユーザーを誘導してコンバージョンを増やします。一方プロダクトマネージャーは、ユーザーのエンゲージメントやリテンションを向上できます。

素晴らしいCX(カスタマー体験)は業績向上へとつながり、カスタマー体験への投資でビジネスにもたらした影響は別名顧客ROX(体験からのリターン)と呼ばれています。

Deep linking benefits

ディープリンクを採用したお客様の顧客ROX(体験からのリターン)をしばらく注視したところ、クリック to インストール(CTI)率と有料ユーザーの割合が劇的に向上しました。

  • クリック to インストール(CTI)率: コンテキストとパーソナライゼーションのない一般的なクリック to インストール(CTI)率は5%程度に過ぎないのに対し、ディープリンクによるジャーニーでは、コンバージョン率が6倍にまで上昇します。

    手始めに、あるブランドのモバイルウェブサイト(ウェブからアプリへの誘導)のジャーニーと、現実の世界(QRからアプリへの誘導)のジャーニーを見ていきましょう。クリック to インストール(CTI)率はそれぞれ全体の27%、33%と画期的な成果を上げています。
Deep linking average CTI per channel
  • 課金 / 購入ユーザーの割合:ディープリンクによるスムーズなジャーニーで個別のアプリに誘導することで、アプリのインストール後にアプリ内購入が成立したユーザーの比率、すなわち課金 / 購入ユーザー(英語)の割合も上昇します。

たとえばフード&ドリンクのブランドがテキストメッセージでユーザーとのエンゲージメントを図ると、平均で14%のユーザーが商品を購入します。

Deep linking average CTI conversion rates
Average share of paying users rate by channel and vertical
Deep linking, Universal Links and App Links
チャプター3

ディープリンク、ユニバーサルリンク、アプリリンクの違い

ディープリンクの基礎を学ぶには、ユニバーサルリンク、アプリリンク、URIスキームについての知識が欠かせません。これから簡単に概要を説明しますが、このトピックを深く掘り下げて知りたい場合は、特集ブログ(英語)や当社のデベロッパーハブでインサイトを多数ご紹介していますのでそちらをご覧ください。 

では、iOSのユニバーサルリンクとAndroidアプリリンク(英語)から見ていくことにしましょう。 ユニバーサルリンクは物理的なリンクではありません。

ユニバーサルリンク(iOS)とアプリリンク(Android)はよく似たメカニズムを採用しており、あらゆるキャンペーンリンクに適用可能で、(アプリがあれば)ユーザーを直接アプリに誘導します。

アプリに誘導されたユーザーは、ディープリンクソリューションで定義された行動にもとづき、(すなわちディープリンクでつながれた)適切なアプリ内コンテンツへと誘導されます。

ユニバーサルリンクやアプリリンクには大きなメリットがいくつもあります。

  1. カスタマー体験の向上 – ユニバーサルリンクやアプリリンクは、面倒な操作に時間をかけたくないユーザーを待たせず、アプリを立ち上げ適切なコンテンツを探す手間もかけさせず、一度の動作で瞬時にアプリを開きます。
  2. アプリのコンバージョン率が上昇 – カスタマー体験の向上は、コンバージョン率の上昇というプラスの副産物をもたらします。見たかったコンテンツに短時間でスムーズに誘導されるほど、ユーザーのコンバージョン率は高まります。
  3. リテンション率の上昇– カスタマー体験全体が向上すると、エンゲージメント率やリテンション率が上昇します。 新規ユーザー獲得よりも既存ユーザーにリエンゲージ(英語)する方が容易であるのは周知の事実で、そのためにもエンゲージメントの維持が欠かせません。
  4. セキュリティを確保した経路でユーザーを誘導– ユニバーサルリンクはApple、アプリリンクはGoogleが設計したもので、不正なアプリでデータをハイジャックしようとするハッカーから疑いを持たないユーザーを守ります。

URIスキームは、デバイスにインストール済みのアプリをユーザーに開かせるメカニズムの1つです。URIはユニバーサルリンクやアプリリンクよりもセキュリティが脆弱だとみなされているため、最近はあまり採用されない傾向にあります。

Chapter 4: Deferred deep linking basics and benefits
チャプター4

ディファードディープリンクの基本とメリット

本ガイドの冒頭でディファードディープリンクの概念について簡単に紹介しました。ディファードディープリンクはディープリンクソリューションの柱であり、モバイルマーケターのユーザー獲得ツールに欠かせない要素となってきたため、もう少し掘り下げて見ていきましょう。

モバイルアプリのジャーニーを構築するうえでディファードディープリンクがなぜ重要なのでしょうか。端的に言うと、アプリをインストールしていないユーザーの負担をできるだけ減らし、可能な限り迅速にアプリ内コンテンツに誘導する手段だからです。

具体例をご紹介しましょう。

  • もうすぐサンクスギビング(アメリカの大きなホリデー、感謝祭)です。インフルエンサーがおいしそうなディナーの動画をレシピ付きでアップしているのを見つけました。
  • 動画の説明欄にリンクが貼ってあり、近所の食料品店からオンラインで材料が買えるようです。
  • インフルエンサーが投稿した動画に貼ってあるのは、食料品店ブランドのマーケターから提供されたディープリンクエンジンのリンクです。
  • 私はリンクからアプリストアにリダイレクトされ、食料品店のアプリをダウンロードしました。
  • アプリを立ち上げると、買いたかった食材がすでにショッピングカートに入った状態でチェックアウトのページに誘導されました。
Deferred deep linking

ディファードディープリンクがなければどうなっていたでしょうか。食料品店ブランドのマーケターは、変動要因に応じて再ルーティングのパスを設定することになります。

マーケターはシナリオやエッジケースごとにリンクを作り直さなければならないでしょうし、ユーザーは単調で手間のかかる手順を踏むことになります。

  • インフルエンサーの動画の説明欄に、各種アプリストアのアプリダウンロード用のリンクを見つけます。
  • アプリストアに行き、アプリをダウンロードしてインストールします。
  • それからまた動画のページに戻り、アプリ内コンテンツ(チェックアウトのページ)にアクセスする別のリンクを探します。

要するにディファードディープリンクがなければ、アプリ内の適切な場所へのスムーズで文脈化された経路を作るのはほぼ不可能であり、ユーザー獲得数増加という目標を達成させる力量が失われてしまうのです。

ディファードディープリンクはユーザー獲得(UA)と顧客ROX(体験からのリターン)を促進
スムーズで文脈化されたカスタマー体験でユーザーはブランドに愛着を持ち、ディファードディープリンクによるユーザーのクリック to インストール(CTI)率は6倍に跳ね上がりました。

Chapter 5: Deep linking use cases
チャプター5

ユースケース:ディファードディープリンクとディファードディープリンク

実際のフローと期待されるジャーニー、導入のタイミング

本項では、それぞれのビジネス上の課題に取り組んだ6件のユースケースを紹介します。そのうち3件ではリエンゲージメントやリテンション目的で使用されることが多いディープリンクについて、もう3件ではユーザー獲得キャンペーンと併用することが一般的なディファードディープリンクについて取り上げます。

リエンゲージメントやリテンション目的でディープリンクを導入

A. カートからの離脱(メールマーケティング/Eコマース)

カートからの離脱は小売業者にとって大問題です。 サイトを見て商品を選び、カートに追加したユーザーが、さまざまな理由から購入を思いとどまることがあります。

ショッピングカートに商品を多数残したままサイトを離脱したお客様をリエンゲージするには、こちらから自発的にメールを送ると効果があるようです。

カートから離脱したお客様メールでフォロー(英語)すると、アプリオープン率は45%、CTR(クリックスルー率)(英語)は21%と、高い成果が得られました。的確な内容で当事者性が高く、文脈化されたメールは潜在的な収益ロスを1%回復させる力があります(Sitecore調べ)。

あるファッション小売業者は、カートに商品を残したまま放置しているお客様にメールを自動送信するプロセスを設定しました。

マーケターはディープリンクソリューションを活用し、カートに商品を残したままのアプリユーザーに負担を感じさせることなく、商品が買いやすい形で並んでいる決済ページへと誘導するシステムを構築しました。

Deep linking use case: Cart abandonment

B. ユーザー獲得(友人紹介/ゲームアプリ)

デジタル時代を迎えても、口コミは商品やブランドを認知させるうえで今もなお有効な戦略です。

人から紹介された商品の購入率は4倍上昇する(英語)といわれており、多くのブランドが「友だちと一緒に楽しもう」と既存ユーザーに呼びかけるのも意外なことではありません。

競争が激化しているゲーム業界では、口コミ効果で既存ユーザーはゲームプレイを継続してロイヤルティが高まり、紹介された友人は新規アプリユーザーとなるという二重のメリットを得られます。

あるゲームアプリは、ユーザーが対戦型ゲームに友人を招待しやすくなるように、シンプルで時間のかからないプロセスを導入しました。

WhatsAppから友人に招待状を送り、その友人がリンクをクリックして、アプリストアからゲームをダウンロードし、そのアプリを立ち上げると、対戦ゲームアプリ内の待機スペースに誘導されるというメカニズムです。すぐに対戦を始めることができます。

Deep linking use case: User acquisition

C. AOV(平均注文金額)(ソーシャルメディア/小売)

AOV(平均注文金額)はEコマースの計測基準の1つであり、定義した期間内の平均注文金額を計測します。このKPIは、まさに手の届くところにある果実のような存在です。ある商品の購入を決めたお客様に、興味を引きそうな別の商品をおすすめしない手はありません。

Eコマースの収益のうちモバイル端末が占める割合は2021年の64%から、2024年には67%に上昇すると見込まれており(英語)、AOVを高めるうえで最も適切なチャネルはモバイルアプリだと言っても過言ではありません。あるファッションブランドは、Instagramのストーリーで「今日の一着」を投稿し、コーディネートを紹介しました。ユーザーが画面を上にスワイプすると、AppsFlyerのソーシャルランディングページにリダイレクトされます(Instagramでリンクの動きが寸断されないための工夫です)。


ユーザーが「今すぐチェックアウト」CTAボタンをタップするとアプリのチェックアウトページに誘導されるように事前設定されており、ストーリーに表示された全商品がそこで購入できるようになっています。
ソーシャルメディアから小気味よいほど自然にアプリに誘導することで、買い物アプリはリエンゲージメントによる高いコンバージョン率を達成できます(このユースケースでは10%を上回りました)。

Deep linking use case: AOV

D. 従来型銀行:プロセスからの離脱(SMS/金融)

金融機関がデジタルジャーニーで頭を悩ませる問題として、保険の申し込みフォームが長いために見込み客が入力途中で離脱してしまうことが挙げられます。金融業界では、約75%がフォームから離脱しているのが実情です。

しかし、カスタマー体験を考慮したアプリの良さを活用し、金融機関の方から顧客を支援する対策を講じたらどうなるでしょうか。

将来を見据えた企業はすでに始めています。ユースケースをご紹介しましょう。

彼らは複数のオウンドメディアチャネルをディープリンクで統合し、フォームから離脱したお客様に通知して、中断した箇所に直接誘導するメカニズムを作りました。 こうしてお客様への負担を最小限にとどめ、希望する内容の申し込みを無事に完了まで導くことができます。

上述の例として、Int Bankではお客様にエンゲージするプロセスを設定し、フォームから離脱したお客様にパーソナライズされた個別のURLを動的に作成するディープリンクソリューションを実装しました。

SMSメッセージプラットフォームがリンクを受け取り、フォーム入力を再開するためのCTAを含むリマインダーSMSをスケジュール設定します。お客様がリンクをクリックするとアプリが開き、入力を中断した所からフォームが表示されます。

ディープリンクという橋で、自社アプリと顧客との間にパーソナライズされた継続的な関係を築いた企業は、2つの目標を同時に達成できます。お客様が一旦離脱したフォームを「救出」すること、そしてお客様が元々済ませたかった手続きを完了までサポートしてご満足いただくということです。

Deep linking use case: Process abandonment

アプリのユーザー獲得目的でディファードディープリンクを導入

A. アプリへの誘導(QRコード/金融)

お客様をアプリに誘導するのは決して容易ではなく、特にデスクトップPC上での銀行決済を好むX世代以上の年齢層のユーザーの以降は特に困難です。

ユーザーをモバイル金融アプリに移行させるには、ユーザージャーニーの主要ポイントにQRコードを配置するという戦略が効果的です。

パンデミック期に普及し人気を獲得したQRコードは、お客様が安心して負担を感じずにアプリにアクセスするための入口となります。

銀行がデスクトップPC版サイトの要所要所に、また実店舗支店の看板や販促資料にQRコードを配置すると、ユーザーはモバイル端末をかざしただけでアプリをダウンロードできます。

ある銀行は、PC版ウェブサイトのホームページにQRコードを表示し、ユーザーにQRコードのスキャンを促進しました。

マーケターはディープリンクソリューションを活用し、お客様をスムーズに適切なアプリストアに誘導してインストールを促し、アプリ起動後に適切なアプリ内コンテンツに誘導するように設定しました。

Deep linking use case: QR code

B. 顧客生涯価値(LTV)の向上(モバイルウェブ/メディアとエンターテインメント)

新聞や雑誌はインターネットやスマートフォンが出現する前から私たちのそばにありました。メディア業界はネットとスマホによる変革の波への順応を余儀なくされましたが、ビジネスモデルと流通戦略の両方を何度となく変えることで乗り切ってきました。

読者がモバイル端末上にいる現在、顧客生涯価値(LTV)を向上させるため、メディアパブリッシャーは読者を印刷メディアからモバイルアプリに移行させる必要性に直面しています。

あるニュースアプリは、ユーザーにウェブバナーを見せ、特定の記事を読む間にアプリのダウンロードを勧めています。

ユーザーがバナーをタップすると、ディープリンクエンジンがアプリをダウンロードできる適切なアプリストアにユーザーを誘導します。アプリを立ち上げると同じ記事にリダイレクトされ、ストレスを感じずに読み続けられます。

こうしたユーザー行動の文脈に合わせてウェブからアプリへと体験が続くことで、メディアパブリッシャーのクリックツーインストール(CTI)コンバージョン率は30%以上上昇しました。

紙版の新聞や雑誌にQRコードを追加すると、同じようにQRコードからアプリへと体験が続くことで、クリック to インストール(CTI)率の上昇を期待できます。

Deep linking use case: Increase LTV

C. 店舗内のコンバージョン率(QRコード/従来型小売)

QRコードで実店舗の売り上げを促進し、ユーザー獲得を増大させた従来型小売のユースケースを見ていきましょう。

QRコードで実店舗の販売を促した衣料品小売業者の例をご紹介します。 このブランドは、お客様が購入意欲を持つ商品について欲しい情報を得られないという、実店舗に共通した課題の解決に取り組んでいます。

自宅でオンラインショッピングをする場合は、レビューやユーザー生成コンテンツを購入の判断材料にできますが、実店舗では購入を後押ししてくれるような情報が不足しています。

関連情報にすぐアクセスできるようにと、このブランドは各商品の脇に専用のQRコードを配置し、ディープリンクエンジンでユーザーを(ウェブかアプリの)いずれか適切なチャネルにリダイレクトするサービスを構築しました。

アプリユーザーはレビューを閲覧できる適切なアプリ内のページに誘導され、非アプリユーザーはモバイルウェブのレビューページにリダイレクトされます。

非アプリユーザーを引き込むため、このブランドは買い物客がアプリをダウンロードする動機付けとして、ウェブページに割引サービス付きバナーを表示させました。

このキャンペーンが功を奏し、このブランドは価値あるショッピング体験を提供することで顧客との間に信頼を築き、実店舗でのコンバージョンを高め、顧客ROX(体験からのリターン)を促しました。

QRコードをスキャンするユーザーは、高い購入意欲を抱いていることが多いです。そもそも、買い物中の人はお金を払う前に商品についてもっと知りたいと考えます。QRコードのクリックツーインストール(CTI)率が33%と大幅な伸びを示したのも当然の結果です。

Deep linking use case: In-store conversion
Chapter 6: Deep linking implementation
チャプター6

ディープリンクの実装

ディープリンクの実装は比較的簡単です。 一部のディープリンクプロバイダーはSaaS製品を提供し、モバイルマーケティングキャンペーン向けのディープリンクの作成方法を順を追って説明してくれます。

おおまかな例として、ディープリンクソリューションを採用したマーケターやプロダクトマネージャーは、自分たちが作成したディープリンクをエンドユーザーがクリックし狙いどおりのジャーニーを進んでもらえるように、次の項目を定義します。

  • 非アプリユーザーの場合:
    • iOSやAndroidユーザーを再ルーティングする目的地 – アプリストア?ウェブのランディングページ?
    • アプリをインストール後、ユーザーはアプリ内の特定のページにリダイレクトされるのか、つまりディファードディープリンクが使われるのか?
  • アプリユーザーの場合:
    • iOSユーザーはアプリ内のどこに誘導されるのか?
    • Androidユーザーはアプリ内のどこに誘導されるのか?
    • iOS限定のアプリの場合、Androidユーザーはどこに誘導されるのか?

マーケターやプロダクトマネージャーはディープリンクエンジンの機能を利用し、キャンペーンのパフォーマンスをさらに正確に把握できます。たとえば、インストール数や収益、有料ユーザーの割合、LTV(顧客生涯価値)の計測や、誘導されたユーザーがディープリンクをクリックした場所といったデータを確認できます。

デベロッパーにはどのようなメリットがあるのでしょうか? ディープリンクの実装にデベロッパーの役割はありますか? 結論を言うと、アプリはディープリンクで結ばれたページを開く必要があることから、デベロッパーが果たす役割はあります。優れたディープリンクソリューションでは、デベロッパーとマーケターやプロダクトマネージャーとで十分な引き継ぎが行われます。

ディープリンクの実装について、最後にもう1つアドバイスがあります。 ディープリンク以外にも対応できるプロバイダーを探しましょう。マーケティングテクノロジースタック(英語)に別のソリューションを追加するのは、おすすめしません。その代わりにディープリンク機能を主要な機能セットとして搭載した、機能豊富で堅牢なモバイルマーケティングプラットフォームを活用しましょう。

Key takeaways: Deep linking
チャプター7

重要ポイント

  • ディープリンクはモバイルアプリのユーザー獲得やエンゲージメントに欠かせない存在です。競合に勝ち、ユーザー獲得とエンゲージメントの目標を達成するため、マーケターやプロダクトマネージャーはディープリンクを活用しています。
  • カートからの離脱、ウェブからアプリへの誘導、店舗内コンバージョン、ブランド認知をはじめ、ディープリンクはさまざまな要素にプラスの効果をもたらします。
  • ディープリンク最大のメリットはROX(体験からのリターン)促進にあり、コンバージョンと収益でビジネスに多大なインパクトをもたらします。
  • アトリビューション、不正予防、キャンペーン計測などを含め、ディープリンクを堅牢なモバイルマーケティングプラットフォームの一環として提供できるテクノロジープロバイダーと連携することをおすすめします。

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