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オーガニックの広告不正を撲滅するために

執筆者 Michel Hayet
Weeding out organic fraud - square

モバイル広告不正がオーガニック以外のトラフィックを蝕むことで、広告予算の無駄使いになってしまうことは以前から知られていますが、なぜオーガニックのトラフィックにも影響を与えてしまうのでしょうか?

不正業者のモチベーションはもちろん「お金」です。しかし、その資金はどこから出ているのでしょうか?これは、広告主がパブリッシャーに新しいユーザーをアプリに誘導するための費用を支払う、 ユーザー獲得などの有料のマーケティング活動から来ています。 

この仕組みにより、正規のメディアパブリッシャーには、ユーザーを広告で惹きつけて収益を上げようとするインセンティブが生まれます。しかし、それは不正業者にとっても同様に強力なモチベーションとなるのです。CPIやマーケティング予算が高ければ高いほど、悪質な不正業者が表面化する可能性が高くなります。

では、不正業者がオーガニックのトラフィックを狙うインセンティブは何なのか、という疑問が残るかと思います。つまり、その資金はどこにあるのか?

オーガニック不正の背景にあるインセンティブ

オーガニックインストールの不正行為に関しては、ほとんど偽オーガニックユーザーにのみ焦点が当てられる議論になります。オーガニックインストールをアトリビューションを不正に紐づけるためのハイジャックである可能性がありますが、これはアトリビューション(正当かどうかは別として)を紐づけているだけで、オーガニック不正とは別モノになります。

オーガニック不正では、そもそもハイジャックするためのインストールが存在しないため、フェイクインストールのみが該当します。

唯一の疑問は、なぜその不正がオーガニックインストールのままで存在するのか、ということです。

偽ユーザーは、悪意のあるソフトウェアやプログラムによって作られる場合と、モバイル端末のファームによって作られる場合があります。どちらのタイプも、ユーザーアカウントとデバイスを無から継続的に生成することを意図しています。モバイルデバイスファームは、実際のデバイスのデバイス識別子を常に更新することでそれを実現しますが、ボットはデバイスを完全にシミュレートし、偽のユーザーをシミュレートすることができます。   偽ユーザーを大規模に生成するために、事業者は実際のユーザー行動の虚像を描き出すためにあらゆる手段を講じるでしょう。この操作は、デバイスシミュレーターでも、人間の操作でも可能です。

オーガニックインストールを不正に行う理由を理解するためには、まず、上記のような不正業者の大義名分を「実行」するためのものである可能性が非常に高いことを認識する必要があります。つまり、偽のユーザーを本物のユーザーであるかのように見せかけるために必要な行動ということです。

デバイスロンダリング 

オンライン広告の世界では、不正業者は決して珍しい者ではありません。しかも、その多くは業界関係者なのです。このようなオペレーションは、抜け道や弱点が発見されたときに実現されます。

偽のオーガニックユーザーを作り出すシナリオの1つは、不正防止ソリューションの機能を熟知している業者が原因である可能性があります。 

市場のソリューションの中には、不正識別パラメータの一部として、メディアソースのトラフィックに含まれる「新しいデバイス」の側面を考慮するものもあります。 

不正業者は、検出されたアルゴリズムをリバースエンジニアリングするために、多くのテストを行います。また、不正防止ソリューションの大半は、「オーガニックのトラフィックには不正は存在しない」という誤解のもと、分析を行っていないという事実も認識しています。

以前の記事を参照すると、一方の誤解は不正業者にとってチャンスとなります。

新たに作成されたデバイスIDでに偽のオーガニックインストールを人為的に生成することで、不正業者はその新しいデバイスIDを正当なものと認識させようとします。そのデバイスIDは不正防止アルゴリズムに検知されなかったことにより、「新規のデバイス」や「新規ユーザー」として扱われなくなります。

つまり、その偽のユーザーやデバイスがオーガニックインストールを一度行うとと、ほとんどの不正対策ソリューションでは、それ以降に不正として検出されることなく、基本的に自由に非オーガニックのインストールを行うことができるようになるのです。

2021年12月にはオーガニックインストールの38%が不正と検出されており、このような行為がもたらすビジネスインパクトは非常に大きいと言えます。

不正業者にとって、このための出費は無駄にはなりません。偽のユーザーを生み出すには、ほとんどコストが発生しないためです(特に、大規模な運用が行われている場合)。これらのオーガニックユーザーは、不正業者にとってすぐにCPI収入を得ることはできないかもしれませんが、むしろ将来の不正行為のために正当なデバイス/ユーザーとして認識されるよう「犠牲」にされることになるでしょう。

オーガニックな成長を模倣する

ユーザー獲得の世界では、キャンペーンが成功し、オーガニック以外のインストール数が増えると、オーガニックのインストール数も増えるはずと考えられています。

前述したように、不正業者はこのことをよく理解しており、成功したキャンペーンを模倣した全体的な体験を作り出すことを目的としています。これには、オーガニックでない成長を補完するために、偽のオーガニックユーザーを混ぜることも含まれます。

これらのオーガニックユーザーは、不正行為の全体的な「リアル感」に貢献するだけでなく、運営者が広告主からの不正の主張に直面した場合に、不正活動の正当性を証明する疑惑の証拠として提示することもできるため、二重のメリットがあります。

多くの人がオーガニック不正の可能性を無視しがちですが、AppsFlyerでは、過去6ヶ月間に検出されたオーガニック不正のインストールが37%以上と着実に増加していることを検出しています。

プロダクトへの影響

オーガニックユーザーへの誤解は、アプリ開発者のユーザー獲得活動にダメージを与えるだけでなく、アプリの機能そのものに大きな影響を与える可能性があります。

オーガニックユーザーとは、広告による「訴求」なしに、自然に引き寄せられ、自らの意志でアプリをダウンロードして使用したユーザーのことであり、アプリにとっての理想的なユーザーであると広く認識されています。彼らは、アプリがどのような意図で作られたにせよ、、本当にそのアプリを使いたいと思っているのです。

そのため、アプリ開発者は、アプリの最適化に関する意思決定の大半を、このようなユーザーから記録された行動データに基づいて行うことになります。これらの最適化は、アプリの表示方法、ユーザーエクスペリエンス、中核となるサービスや機能など、多岐にわたります。

ガイド

マーケティング担当者のためのモバイル広告不正対策ガイド

詳しく見る(英語版)

常にアンテナを張りましょう

不正が行われる可能性が高いのは、お金になるところです。「不正は存在しないはず」という仮定を疑うことは、現在あるいは将来の不正の存在を防ぐための最初の大きな一歩になります。

AppsFlyer Protect360の不正防止ソリューションは、広告主のオーガニックインストールにおける不正行為の有無も表示するようになりました。私たちのエコシステムにおける不正行為との継続的な戦いにおいて、これは「不正業者に対していかなるチャンスも与えない」という私たちのたゆまない努力であり、革新的なステップです。

Michel Hayet

元起業家でデジタル戦略コンサルタントのMichelは、デジタル広告のベテランであり、モバイル広告詐欺の専門家でもあります。過去10年以上にわたり、ミッシェルはデジタル広告分野の複雑さを研究し、技術革新に力を注ぎ、広告詐欺の手法を徹底的に研究し、それに対抗するテクニックを探ってきました。
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