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モバイルを中心とした「マーケティング技術スタック」を構築する方法

Mobile MarTech stack
はじめに

デジタルエコシステムが拡大と進化を続けるなかで、SaaSテクノロジーは効果的なマーケティング業務を実現するために欠かせない要素となっています。

マーケティングと広告のテクノロジーは、複雑で重複のある多数のカテゴリに分類され、何千ものパートナーがマーケティング予算を巡って競い合っています。

モバイルファーストとウェブファーストのどちらの観点からマーケティング技術スタックを構築する場合でも、どこから構築を始めるべきか、いつどのように拡張すればよいかを知るのは困難です。また、マーケティングテクノロジー(MarTech)の追加や変更には、審査、トレーニング、開発、その他のリソースに多額の投資が必要になりますが、適応力が成功のカギとなります。

Ascend2が実施した2019年3月の調査によると、マーケターの67%が、四半期ごとまたは月ごとに新しいタイプのMarTechを技術スタックに追加しています。

モバイルマーケティング技術スタックを構築する理由はさまざまですが、その理由はどれも明確です。

  • キャンペーンのオーケストレーションから自動化、計測、データの充実化に至るまで、マーケティングテクノロジーには、マーケティング業務全体の効率、可視性、柔軟性、および価値を大幅に向上させる能力があります。
  • 一部のサービスは社内で構築できますが、それには多大なリソースが必要であり、場合によっては、特定のプロダクト(モバイルアトリビューションなど)を効果的に再現することが不可能な場合や拡張できない場合があります。
  • マーケティングテクノロジーは非常に競争が激しく、複数のプロバイダーが各カテゴリで類似のサービスを提供しています。特定のカテゴリで最大80%程度の市場シェアを持つ明確なリーダーもいますが、新しいプレイヤーも常に参入しています。これにより急速なイノベーションと価格競争が促され、パートナーの選定プロセスは際限なく続けられることになります。

成功のための決まった公式はありませんが、このガイドでは、特にコアプラットフォームとしてのモバイルに焦点を当て、強固なマーケティング技術スタックを構築するフレームワークについて説明することを目的としています。

このガイドでは、以下のトピックについて検討していきます。

  • MarTechスタックの基礎:戦略的目標の設定と、プロダクトライフサイクル全体で検討すべき主要な技術スタックソリューションの定義
  • カテゴリ別の考察:プロダクト分析、マーケティングオートメーション、モバイルアトリビューション、顧客データプラットフォーム(CDP)
  • 高度な考慮事項:評価基準、社内での賛同の獲得、タイムラインの期待値の設定、業界トレンドに裏付けられた構造的トレードオフ(スタック設計フレームワーク、費用対効果分析、テクノロジーを構築するのか購入するのかの選択、「ベストインブリード」か「オールインワン」かのツール選定など)

MarTechスタックの基礎
第1章

モバイルマーケティング技術スタックの基礎

マーケティング技術スタックが必要な理由

現在のマーケターのほとんどの方は、技術スタックの必要性を疑うことはないでしょう。けれど、疑問を持っている方や技術スタックとは何かを知らない方のために、この用語を定義することから始めましょう。

マーケティング技術スタックとは、マーケターがマーケティングアクティビティを実施し、最適化するために使用するテクノロジーの集まりです。

これらの「MarTech」ツールは、ペイドチャネルとオウンドチャネルにまたがるユーザーアクティビティデータの収集、整理、利用をサポートし、簡素化して統合します。

以下は、Amplitudeが提供する、バランスの取れた技術スタックの例です。

MarTechスタックの例

各スタックソリューションの必要性や、特定のソリューションを社内で構築するべきか、無料のテクノロジーサービスを選択するべきか、あるいは、より高度なソリューションにコストをかけるべきかについては、さまざまな意見があります。

どの方法を選択するにしても、MarTechの主なメリットは一般的に、効率、効果、拡張性に集約されます。

これらのメリットが発揮される例としては、以下のものがあります。

  • 異種システムの連携(データストレージ、パートナー連携、クロスチャネル分析のためのデータの充実化、オーディエンスの構築、ポストバックなど)
  • アクティベーションとキャンペーンのオーケストレーション(オーディエンスとメッセージのセグメンテーション、リンク/クリエイティブの展開、A/Bテスト、メール、プッシュなど)
  • 意思決定とROIを向上させる高度なインサイト(データの可視化、コホート分析、モバイルアトリビューションなど)
  • ユーザーフローの最適化(A/Bテスト、ディープリンク、Web-to-Appバナーなど)

実際、これらのメリットは、Ascend2による2019年3月の調査に明確に反映されており、MarTechを活用するもっとも重要な目的として「効率」が挙げられています。

MarTechスタックの主な目的

また、同じ調査において、マーケターの63%がMarTechの総予算をある程度増やすことを計画しており、24%がMarTech予算を大幅に増やすことを計画していることもわかりました。

これは、MarTechの価値を物語っています。多くの場合、より高度なソリューションにコストをかけることのメリットは、そのコストを上回ります。

基礎編:モバイルマーケティング技術スタックの構築の始め方

白紙の状態からモバイルマーケティング技術スタックを構築する場合でも、新しいモバイルアプリに対応するためにウェブファーストの技術スタックを拡張する場合でも、最初のステップは目標設定です。

以下のような質問を考えてみてください。

  • 成長目標(データ量と拡張性のニーズを示すもの)は何ですか?
  • カスタマージャーニーはどのようなものですか?
    • カスタマージャーニーの各ステップの主要KPIは何ですか?
    • そのほか、カスタマージャーニー全体の計測と最適化のために役立つ計測イベントは何ですか?
  • ユーザーを獲得して維持するには、どのようなチャネルと機能が必要ですか?
    • どのメディアパートナーと協力していますか(または協力する予定ですか)?
  • データの保存と管理にはどのようなインフラストラクチャが必要ですか?
    • データの所有者はだれですか?また、データの安全性を確保するために考慮すべきセキュリティプロトコルは何ですか?
    • マーケティングやプロダクトのパフォーマンスをどのように可視化しますか?
    • チャネルやプラットフォームにまたがるマーケティング/プロダクトアクティビティの全体的なファネルビューを把握する必要がありますか?
マーケティングファネル

これらの質問は、各ツールを「must-have」(なくてはならないもの)と「nice-to-have」(あれば便利なもの)に分類するのに役立つだけでなく、パートナー評価プロセスで機能、コスト、パートナー連携、サポート、拡張性などの要素を比較する際の指針にもなります。

最初に採用するツールは予算に左右されるかもしれませんが、拡張性を考慮して技術スタックを設計したほうが長期的には有益です。

目標設定、優先順位付け、予算編成を行う際には、新しいツールの利用例を検討し、MarTechのテストと拡張のための戦略を導くのに役立つよう、将来の影響についても考慮する必要があります。

顧客データプラットフォームのSegmentが最近発表したデータ調査には、この戦略を展開するためのさまざまな方法が示されています。

たとえば、「さまざまなツールを着実に”卒業”していく企業もある」と述べられています。つまり、最初は少数のユースケースから開始し、時間の経過とともに別のツールへと着実に移行していくということです。このようなユーザーは、毎月いくつかのツールを追加し、取り組むべきビジネス上の新しい要素や、新しいベストインブリードのツールを発見すると、最先端のツールを使用するようにビジネスを移行していく、と述べられています。

次の図は、この戦略の一例を示しています。類似したカテゴリのツールには、類似した色を使用しています。

marteck スタックに関する考慮事項

次の図も、1年半にわたって分析、メッセージ、広告、アトリビューションの分野でツールを着実に拡張し、”卒業”していった企業の一例です。

マーケティング技術スタックに関する検討

このアプローチは、初期段階の企業が資金と知識を徐々に蓄え、時間をかけて新しいツールを追加していく場合には有用かもしれません。しかし、「フランケンスタック」(複雑なツールの組み合わせが技術スタックに無計画に接続された状態)に陥らないよう、慎重な計画が必要です。

より真剣な先行投資的アプローチを採用することで、よりクリーンでわかりやすい、統一感のあるツールコレクションが得られます。

Segmentは、「バルクバイ」(一括購入)と呼ばれる先行投資的アプローチの体系的な例を紹介しています。このアプローチでは、企業は技術スタックに関する大きな意思決定を一括して行います。

ツールを1つずつ採用するのではなく、3~5つのツールをまとめて採用して、新しい目標を達成しようとする場合が多いのです。

マーケティング技術スタックの一括購入戦略

あなたの会社にとって最適な戦略はどれですか?

各ソリューションカテゴリのパートナーの評価を始めるときは、機会費用と財務費用のトレードオフについて考えてください。そのうえで、マーケティング業務を効果的に管理して徐々に拡張する能力に、戦略がどのような影響を与えるかを検討しましょう。

考慮すべきトレードオフには、以下のようなものがあります。

  • 無料/基本的なソリューションから始めるか、有料/高機能のソリューションから始めるか
  • ソリューションを購入するか、独自のソリューションを構築するか
  • 従来型の「オールインワン」ツールか、最新の「ベストインブリード」アーキテクチャか

これらの各トピックについては後の章で掘り下げていきますが、まずは、モバイルマーケティング技術スタックのコアコンポーネントを定義しましょう。

基礎編:モバイルMarTechのニーズの階層

アトリビューションを提供する企業として、AppsFlyerはもちろん、「効果的なマーケティングを行うための中核はアトリビューションである」と考えています。

予算内で初めてアプリを構築してリリースする場合、アトリビューションは最初の検討事項ではないかもしれません。しかし、アトリビューションツールとディープリンクツールは、世界規模での成長とユーザー獲得機能の構築を目指すマーケティングチームにとって不可欠であるのが現実です。

急成長するスタートアップ企業においても、現在デジタルフットプリントを拡大しているFortune 500企業においても、「成長」は最大の関心事です。ウェブとモバイルの両方でトラフィックソースを特定して計測できることは、成長を始める契機となり、成し遂げた成長を測ることにもつながります。

それでも、さまざまな要因が意思決定プロセスに影響を与え、モバイルアトリビューションがマーケティング技術スタックにmust-haveなのかnice-to-haveなのかを左右します。

これらの要因には、企業としての規模や段階、マーケティングチームの技術的スキルセット、予算、レガシーテクノロジーの相互運用性、個人的な好みなどが含まれます。

次の図は、プロダクトライフサイクル全体を通じたモバイルマーケターの典型的なニーズの階層と、ユーザーファネル全体での各ソリューションの役割を示しています。

ライフサイクルの各段階の順序は、must-haveの観点からカテゴリの優先順位を示したものであり、一連のツール統合のもっとも合理的な順序を必ずしも反映しているわけではありません。

たとえば、CDP、データ可視化、クラウドストレージツールなどのBIツールは、接続された技術スタックの基礎と考えることができます。

これらすべてを採用する必要はありませんが、規模を考慮した設計を行うのであれば、すぐにでも、これらのソリューションのいくつかを統合することを検討するとよいでしょう。

2つの視点を示した次のグラフをご覧ください。

ユーザーファネル技術スタック
プロダクトライフサイクルの段階と技術スタック
*各カテゴリに示したロゴは、AppsFlyerが推奨するものではなく、パートナーのサンプルセットです。

この階層を念頭に置いて、個々のコンポーネントを定義してみましょう。

  • プロダクト分析:

    モバイルアプリ体験に重点を置いたプロダクト分析企業は、UXテストとペルソナの分類を専門としています。これらの企業は、行動分析と予測分析を通じて、リテンション指標、ユーザーファネル、コホート分析に関する高度なレポートに加えて、プロダクトを最適化するための簡単な構造を提供します。

    新しいアプリの場合、リリース前にUXテストのための計測計画を立てることは明らかに重要です。ただし一般的には、アプリのスタートアップ企業は、高度なモバイルデータを使用するAmplitudeやMixPanelなどのプロダクト分析ツールに投資する前に、Firebaseなどの無料ツールや、モバイルアトリビューションプロバイダーおよびマーケティングオートメーションプロバイダーが提供するアプリ内分析などの基本的な計測から着手すると見られています。

    同様に、最初のアプリの構築を目指して拡張しているウェブファーストの企業は、アプリのライフサイクルの早い段階で、Adobe Analyticsなどのウェブファーストの分析ツールに頼ることがよくあります。

  • アトリビューションプロバイダー:

    AppsFlyerのようなパートナーのコア機能はモバイルアトリビューションです。これは、すべてのアプリインストールとアプリ内エンゲージメントを計測し、それをどのマーケティングキャンペーンとメディアソースが促進したのか、紐付けを行うことです。ペイドメディアを始めるまではアトリビューションプロバイダーは必要ないと考える方もいるかもしれません。しかし、ほとんどのマーケティングオートメーションプロバイダーはユニバーサルなディープリンク用ツールを提供していないことを覚えておくことが重要です。

    たとえば、AppsFlyerのOneLinkを使用すると、各ユーザーのプラットフォームとアプリの状態(インストールされているかどうか)を自動的に検出して、最適なウェブページまたはアプリページをユーザーに表示するための単一のリンクを作成できます。ディープリンクは、ペイドメディアだけでなく、メール、ウェブページ、SMSなどのオウンドメディアにとっても重要です。

    アトリビューションプロバイダーは、モバイルアトリビューションとディープリンクに加えて、ファーストパーティのオーディエンスセグメンテーション、不正防止、高度な分析機能を提供します。プロバイダーによっては、ウェブ、アプリ、テレビにまたがる顧客タッチポイントを結び付けるピープルベースのアトリビューションも提供します。

  • マーケティングオートメーション:

    BrazeやLeanplumなどのマーケティングオートメーションパートナーは、CRMチャネルとコアプロダクトを介した既存ユーザーとのリエンゲージメントに重点を置いています。顧客エンゲージメントは、プッシュ通知、メールマーケティング、アプリ内コミュニケーション、SMSを介して、オーディエンスセグメンテーションやA/Bテストと組み合わせることができます。

  • メディアパートナー:

    Google、Facebook、Amazonなどのメディアパートナーは、モバイルアプリ、ウェブ、テレビにまたがる広告インベントリを提供して、認知度を高め、新規ユーザーを獲得し、既存のユーザーをリエンゲージします。

    メディアパートナーを使用すると、ソーシャル、ディスプレイ、動画、ネイティブなど、さまざまなチャネルやフォーマットで広告を配信できます。メディアパートナーのサブカテゴリについて詳しくは、モバイルアトリビューションの導入ガイドをご覧ください。

  • ユーザー獲得プラットフォーム:

    上記のインフォグラフィックには含まれていませんが、ある意味で、ユーザー獲得(UA)プラットフォームはメディアパートナーカテゴリの拡張と見なすことができます。キャンペーン管理プラットフォームとも呼ばれるUAプラットフォームにより、マーケターは、統一されたインターフェイスで複数のチャネルにわたるアクティビティを管理、最適化、分析し、多くの場合、少なくともある程度の自動化を実現することができます。クリエイティブテストや入札管理などのプロセスの自動化に加えて、UAプラットフォームにはクロスソースインサイトという追加のメリットもあります。

    UAプラットフォームは、多くのパートナーにまたがる複雑なメディアキャンペーンを管理するパフォーマンスマーケターにとってより有益であるため、多くの場合、プロダクトライフサイクルの後半に採用される傾向があります。

  • 位置情報サービス:

    2019年のカンヌライオンズでは、Burger Kingがその名のとおり王となりました。賞に輝いたマーケティングのユースケースは、個人の位置情報データをマーケティングオートメーションやユーザー獲得と組み合わせることで発揮される力を実証するものでした。位置情報サービスは、簡単で相互運用性が高く柔軟な方法により、さまざまなジオフェンスに出入りするユーザーを識別する機能を効果的に提供してくれます。

    これは、ジオフェンスをリアルタイムに設定し、マーケティングデータをCDP、アトリビューション、マーケティングオートメーションツールに確実に提供できることを意味します。

    同様に、位置情報サービスには、ユーザーのセキュリティとプライバシーデータを損なうことなく、競合他社やその他の関心のある場所をユーザーセグメントに結び付けてターゲティングする機能が組み込まれています。これについてはNew York Timesでも最近報じられています

  • 顧客データプラットフォーム(CDP):

    マーケティングテクノロジー業界の新興企業であるmParticleやSegmentなどのCDPは、さまざまなSDKからユーザーデータを収集、統合、セグメント化、アクティブ化します。

    CDPは、広告主の技術スタック内の他のすべてのシステム間で、顧客データセグメントの割り当てをリアルタイムで自動化し、強化します。これにより、新しいSDKのセットアップが容易になるだけでなく、データウェアハウスや可視化プロダクトからダウンロードされるローデータレポートを集約する際にも一貫性が維持されます。

  • クラウドストレージ:

    クラウドストレージプロバイダーとデータウェアハウスは、すべての技術スタックシステムのローデータを維持管理し、リモートでバックアップします。AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Storage、Snowflakeなどのプロバイダーによって、組織全体で大量のローデータを保存してアクセスするための安全で拡張性の高い方法が提供されます。

  • データの可視化:

    もっとも単純なデータの可視化は、一般的にスプレッドシート(CSV、Excel、Googleスプレッドシートなど)を介して行われますが、この形式は多くの手作業が必要であったり、ビジネスの成長に合わせて拡張できなかったりする可能性があります。このため、より先進的なチームでは、LookerやTableauなどのプロダクトを活用して、オンラインの管理画面、統計モデル、自動レポートを作成することがよくあります。

  • データマネジメントプラットフォーム(DMP):

    DMPは、さまざまなプラットフォーム、デバイス、チャネルをまたいでオーディエンスデータを収集するために使用されます。MMPとは異なり、DMPはファーストパーティデータだけでなく、サードパーティデータも収集し、デモグラフィック、サイコグラフィック、ファーモグラフィックのセグメントをマッピングできます。

    ほとんどのメディアパートナーは、皆さんに代わってサードパーティDMPデータにアクセスできます(オーディエンスターゲティングのマークアップが課金されます)。ただし、広告主によっては、ファーストパーティ/サードパーティのオーディエンス管理全体の標準化を促進するために、独自の専用DMPと連携する場合もあります。

  • マーケティングクラウド:

    おそらくもっとも幅広いパートナーカテゴリであるマーケティングクラウド企業は、(上記のマーケティングオートメーションに分類されていますが)MarTech、AdTech、BIツールの全範囲にわたってサービスを提供しています。Adobe、Oracle、Salesforceなどのマーケティングクラウドは、モバイル、ウェブ、テレビ、オフラインCRMを含む一連のチャネルにわたって、顧客アイデンティティ管理、オーディエンスツール、キャンペーンオーケストレーション、分析機能を提供します。

    クラウドプロバイダーによっては、CDP、データマネジメントプラットフォーム(DMP)、デマンドサイドプラットフォーム(DSP)などの追加プロダクトも提供しています。

以上、定義について確認しました。ここからは、アトリビューション、マーケティングオートメーション、プロダクト分析、CDP、UAプラットフォームなど、デジタルマーケティングの主要ツールについて、特徴やユースケースを詳しく見ていきます。

モバイルアトリビューションの詳細
第2章

カテゴリ別の考察:モバイルアトリビューション

ペイドメディアキャンペーン、オウンドチャネル、アプリストア最適化において、以下のことを考えると、モバイルビジネスの基本的な要素となるものはユーザー獲得(UA)です。

  • UAは、競争の激しい無料インストールアプリのエコシステムにおいて成長を促す要素です。
  • オーガニックにアプリを見つけてもうことは非常に困難です。
  • UAは好循環を生み出す要素であり、効果的に実践することでアプリストアのランキングが上昇し、より多くのUAにつながります。

複雑なデータをUAの実用的なインサイトに変換するもっとも強力なツールの1つは、アプリの世界ではモバイル計測パートナー(MMP)としても知られるアトリビューションプロバイダーです。

プロバイダーによって機能は多少異なりますが、MMPは、ディープリンク、モバイル不正防止、ファーストパーティのオーディエンスセグメンテーション、そしてもちろんアトリビューションなど、さまざまなツールを提供します。

モバイルアトリビューションは、すべてのアプリインストールとアプリ内エンゲージメントを計測し、それをどのマーケティングキャンペーンとメディアソースが促進したのか、紐付けを行うプロセスです。

アトリビューションがなければ、マーケターは自分のパフォーマンスを適切に可視化できず、決定を誤り、最終的には過剰な支出につながってしまいます。マーケターがパフォーマンスをすべて理解し、メディアパートナーに投資に見合う価値を発揮してもらうには、どのマーケティングアクティビティが望ましいアクションをもたらすのか、そうでないものはどれなのか、確実に判断できるよう、高い視点を持った真の情報源となるパートナーと協力する必要があります。

MarTechスタックへのモバイルアトリビューションの適合

最終的なゴールとしてのモバイルアプリの重要性は当然のことになっているため、マーケターは取り組みの中で、アトリビューションプロバイダーの役割についてはそれほどの説得を必要としません。

それでも、無料での取り組みにアトリビューションプロバイダーは必要ないという誤解がよくあります。

しかし、プロダクトライフサイクルの早い段階で、ペイドメディアに着手する前にモバイルアトリビューションを連携させるメリットとして、2つの重要な理由があります。

  1. アトリビューションは、広告の露出からプッシュ通知、顧客へのメールまで、ユーザージャーニー全体でペイドメディアとオウンドメディアの両方に対するエンゲージメントを把握することに重点を置いています。

    アトリビューションは、リテンション、収益、生涯価値(LTV)などの下位ファネル指標に加え、サインアップ、購入、レベル達成などのアプリ内イベントの計測を通じて、獲得後のユーザーフローを最適化するために不可欠です。

  2. アトリビューションプロバイダーが収集した情報をもとに、ディープリンクによってユーザーのデバイス、チャネル、プラットフォーム、アプリの状態(インストールされているかどうか)を自動的に検出して、最適なウェブページまたはアプリページをユーザーに表示するための単一のリンクを作成できます。

    ディープリンクはペイドメディアのリンクのトラフィック処理を自動化するのに役立ちますが、オウンドメディアのユーザー体験を最適化するには間違いなく重要です。

たとえば、携帯電話でマーケティングメールのリンクを開くと、アプリストアではなくそのブランドのウェブサイトが表示され、不満を感じたことはないでしょうか。アプリをすでにインストールしている場合はさらに面倒です。ウェブページを閉じ、アプリを開き、目的のアプリ内ページまで手動で移動しなければなりません。

これがまさに、ユニバーサルリンクが非常に重要である理由です。

サードパーティのディープリンクソリューションを使用しなければ、マーケターには、デバイスやプラットフォームごとにエクスペリエンスを最適化する方法がありません。

また、一部のメールサービスプロバイダー(ESP)やマーケティングオートメーションプラットフォームは、独自のユニバーサルリンクソリューションを開発していますが、すべてのエッジケースを処理できるものはほとんどありません。

AppsFlyerのOneLinkソリューションは、その問題を解決しており、有料広告、SMSキャンペーン、ユーザー招待、Web-to-Appバナー、クロスアプリプロモーション、紹介プログラム、QRコードなどを通じて、シームレスなユーザー体験を実現します。

なお、ユーザーがプロモーションやアプリを利用する場所、時間、方法に関するアトリビューションデータがなければ、ディープリンクを完全に最適化することはできません。これら2つの機能は連動していることに注意してください。

つまり、ディープリンクとは、アトリビューションデータを使用してユーザーを適切にルーティングするプロセスです。ディープリンクはアプリの成長と発展のどの段階においても強力なツールです。そのため、ディープリンクとアトリビューションを単一の管理画面に統合し、両方の効果を最大限に発揮できるアトリビューションプロバイダーを見つけることが重要です。

以上、プロダクトライフサイクルの早い段階でアトリビューションを連携させるメリットとしての、2つの重要な理由について説明しました。ここからは、より高度な機能とユースケースについて詳しく見ていきましょう。

アトリビューションの主なユースケース

マーケターのテクノロジーに関する知識に応じて、アトリビューションデータにはさまざまな用途がありますが、ここではもっとも汎用的で幅広い5つのユースケースを紹介します。

1.ペイドメディアとオウンドメディアの間のサイロ化を解消する

2.高度なアトリビューションと分析でキャンペーンを最適化する

ユーザー獲得からリターゲティングまで、効果的なキャンペーンの最適化には粒度の細かい計測が必要です。

たとえば旅行アプリでは、主要業績評価指標(KPI)として、インストール、アプリの起動、登録、カートへの追加、予約などの基本的なイベントに焦点を当てることができます。

ただし、コンテンツ検索イベントと予約イベントの両方で出発地、目的地、クラスなどの追加パラメーターをマッピングすれば、航空会社のマーケターは、オーディエンスのセグメンテーションだけでなく、最適化のためのより粒度の細かいオプションを利用できるようになります。

リッチアプリ内イベントは、アプリユーザーの価値とさまざまなメディアソースからのトラフィックの質を判断するための理想的なアトリビューションツールです。さらに、予約や購入など、下位ファネルの目標よりも上に位置する傾向がある特定のリッチアプリ内イベントの相関関係を分析することで、マーケターは予測モデルを構築し、ROIと、最終的にはLTVの向上を目指して、適切に最適化を行うことができます。

基本的なアプリ内イベントとリッチアプリ内イベント

アトリビューションプロバイダーは、アプリ内イベントの粒度の細かい計測を提供するだけでなく、異なるチャネルやデバイス間の点を結び付けて、単一の管理画面でユーザージャーニーの包括的なピープルベースのビューを提供することもできます。

たとえば、AppsFlyerはマルチタッチアトリビューションを提供しています。これは、ユーザーのインストールを促した最終タッチポイントと、ユーザーが以前にウェブやアプリ環境で接触した可能性のある「コントリビューター」としてのメディアソースを区別するものです。

ローデータやコホートレポート、または管理画面のその他のデータとして表示される場合でも、これらのインサイトは、ユーザーへの認知からUAやリエンゲージメントに至る、エンドツーエンドのユーザージャーニーを最適化するために使用できます。

明確なデータを基盤とすることで、マーケターは広告不正と闘い、広告費を適切に組み替えることができ、インストールやその他のアクションのクレジットを主張するアドネットワークによる二重三重の請求を未然に防ぐことができます。

3.広告不正をリアルタイムで検出し防止する

AppsFlyerのモバイル不正の状況レポートによると、モバイル広告不正は業界全体の問題として拡大しており、全世界で非オーガニックのアプリインストールの22.6%を占めています。

クリックtoインストール(CTI)時間やコンバージョン率など、各種の指標を社内で分析することで、特定の種類の不正を手動で検出することは可能です。しかし、不正防止テクノロジーを使用せずにメディアパートナーを取り締まることは難しく、部分的な効果しか望めません。

不正行為者はボットを使用して実際のユーザーをエミュレートするなど、検出を回避するための新しい方法を常に見つけ出しており、取り締まろうとしても際限がありません。不正行為の著しい進化を考えると、その高度な戦術に先んじる最善の方法は、膨大な規模のMMPデータを使用してAIの検出とブロックを強化することです。

AppsFlyerでのモバイル広告不正検知

AppsFlyerのProtect 360をはじめとする高度なソリューションに投資することで、マーケターはリアルタイムの不正防止を確実に行い、ネットワークコンプライアンスのためのカスタムルール、アラート、強制メカニズムの設定に使用できる一連の高度なレポートを得ることができます。

アプリの不正インストールの16%はリアルタイムでは阻止できません。Protect 360はそれを考慮し、標準的なユーザー行動に反するインストール後の異常に対してAI保護を提供する、業界初のソリューションでもあります。

4.もっとも価値の高いユーザーを特定して拡大する

アトリビューションデータを使用して広告費用とユーザージャーニーを最適化できるだけでなく、アトリビューションプロバイダーのオーディエンスツールを活用することで、プロスペクティングとリターゲティングの取り組みの適切性を改善することもできます。

パフォーマンスを分析して、どのアクションと指標がもっとも価値の高いユーザーともっとも相関しているのか、どのタイプのユーザーが解約する可能性がもっとも高いのかを把握できます。

このインサイトから、広告ビュー、インストール、特定のアプリ内イベント、設定した時間範囲内に発生した収益額など、さまざまなカスタムアクションとルールの組み合わせにもとづいてオーディエンスをセグメント化し、ファーストパーティデータの可能性を最大限に引き出すことができます。

ルールを組み合わせてカスタマイズすることで、アクティブユーザーをモデルにした類似オーディエンスや、登録またはエンゲージメントをまだ行っていない新規ユーザーに関するリマーケティングオーディエンスを作成したり、UAキャンペーンからアクティブユーザーを除外したりできます。

オーディエンスのセグメンテーションはプロモーションのオファーにも役立ち、ユーザーのこれまでの関心とエンゲージメントや支出のレベルにもとづいて、オファーのタイプと価値をカスタマイズできます。

AppsFlyer管理画面のオーディエンスセグメンテーション

オーディエンスは、カスタムオンボーディングフローのプロダクト分析パートナーや、有料のリエンゲージメントキャンペーンと同期されるメール、プッシュ、アプリ内メッセージのマーケティングオートメーションパートナーに加えて、連携するすべての広告パートナーとリアルタイムで同期できます。

5.ディープリンクとスマートバナーでユーザージャーニーを最適化する

前述のとおり、ディープリンクは、チャネル、プラットフォーム、デバイスをまたいでアプリやブランドのユーザー体験をスムーズにするための重要なツールです。

よりシームレスなコンバージョンプロセスを提供し、ユーザーの興味、獲得ソース、これまでのブランドエンゲージメントによってカスタマイズされた、状況に応じたエクスペリエンスを実現することで、ディープリンクはコンバージョン率を2.5倍、リテンション率を2.1倍向上させることができます。

ディープリンクを使用すると、ペイドメディアとオウンドメディアにまたがってジャーニーを最適化できるだけでなく、スマートバナーを通じてウェブユーザーをより価値のあるアプリユーザーに転換することもできます。

Eコマースを例に挙げます。モバイルの売上の70%がアプリで発生していることを考えると、コンバージョン率がウェブと比べて3倍高いことも不思議ではありません。

アプリユーザーに転換すると、プッシュメッセージとアプリ内メッセージを通じて、より一貫したコミュニケーションを維持できるようになります。

Web-to-AppジャーニーとディープリンクによるROI

データの処理は専門家に任せる

それでもまだ、モバイルアトリビューションプロバイダーがマーケティングの取り組みに必要であるとという確信を持てない方もいるでしょう。

たとえば、実績のあるウェブファースト企業からアプリの世界に参入すると、マーケティングクラウドやウェブベースのプロダクト分析スイートに頼りたくなるかもしれません。

確かに、これらのレガシーツールからはある程度のインサイトを得られますし、マーケティングオートメーションやFirebaseなどの無料アトリビューションプロダクトからユーザージャーニーの部分的なビューを得ることもできます。

アトリビューション機能を社内で構築できる場合もありますが、そうした方法は妥協案であり、長期的な価値は得られないかもしれません。

各種のパートナー連携、インストール前後のアトリビューション、ユニバーサルディープリンク、リアルタイムデータ、オーディエンスデータのセキュリティプロトコルは、複雑な仕組みのネットワークによって支えられています。

チームメンバーとリソースが限られている企業にとって、このような仕組みを構築して維持することは現実的ではないかもしれません。これがさらに、モバイルウェブとモバイルアプリなど、環境ごとに方法の異なる複雑な状況と組み合わさった場合、問題が発生する可能性が高まるだけです。

もう1つの考慮事項は、不正をどの程度まで効果的に防ぐことができるかです。

あらゆる形態の不正に手動で対処することは不可能であり、次々に生み出される新たな不正行為に対応するために社内のテクノロジーを継続的に更新するには時間が必要です。そのため、サードパーティの不正防止スイートのROIはコストに見合う価値があります。アトリビューションプロバイダーは、不正と闘うための優れたリソース、専門知識、規模を備えています。

このように、アプリの成長がどの段階にあるか、データや最適化の目標が何であるかに関係なく、アトリビューションプロバイダーは、ジャーニーのさまざまな段階で貴重なインサイトと機能を提供できるのです。

マーケティングオートメーションの技術スタックツール
第3章

カテゴリ別の考察:マーケティングオートメーション

ブランドにとって、優れた顧客エンゲージメント戦略の自動化は容易ではありません。

プッシュ通知やメールの受信に問題があったときのことを考えてみてください。

コンテンツが適切にカスタマイズされていなかった、メッセージが思っていたよりもずっと遅れて届いた、メッセージが何度も送られてきた、などです。

これらのことは多くの人が経験しており、このような問題が起こると、ブランドに深刻な影響を与えてしまう可能性があります。

顧客の中には、今後そのようなメッセージを受信しないように、通知チャネルをオプトアウトする人もいます。アプリをアンインストールし、その会社からは二度と購入しないと思う顧客もいるでしょう。いずれのシナリオでも、効果のない顧客コミュニケーションは、ビジネスに深刻な影響を及ぼしかねません。

現代の消費者は、デバイスやチャネルをまたいでブランドをシームレスに体験できることを期待しています。

それだけでなく、ブランドから送信されるコンテンツの品質をより厳しく評価するようになっています。

実際、こうした顧客の行動や好みがテクノロジーの世界に反映され始めています。たとえばAppleは、プッシュ通知と通知センターを消費者がより細かく制御できるようにしています。

こうした変化を受けて、ブランドが早い段階から顧客エンゲージメントに慎重に取り組むことが、これまで以上に重要になっています。

結局のところ、私たちはだれもが人間です。

有意義な人間関係を構築するには、ブランドはユーザーを理解することが必要であり、それによって、一人ひとりに確実に届くようにエクスペリエンスをパーソナライズできます。

ブランドは、マーケティングオートメーションをMarTechスタックの最初のツールの1つとして連携させることにより、カスタマー体験をより効果的かつ大規模にパーソナライズできます。

マーケティングオートメーションプラットフォームは、顧客エンゲージメントプラットフォームとも呼ばれ、ブランドがアプリ内メッセージ、プッシュ通知、メールマーケティング、SMSなどのオウンドチャネルを通じて顧客とのエンゲージメントをオーケストレーション、テスト、自動化するのに役立ちます。

顧客エンゲージメントのための連携された技術スタックの構築

マーケティング技術スタックには、さまざまな形やサイズがあります。

スタートアップ企業では、プッシュサービスやメールサービス用に社内で構築されたシステムでうまくいくかもしれません。ただし、企業が成長するにつれて、アナリストやエンジニアリングの多大なリソースを必要とせずに、キャンペーンを効果的に拡大して自動化していくことは難しくなります。

ここ数年、データの俊敏性についてのブランドの考え方には変化が見られます。

以前は、ブランドはファーストパーティとサードパーティのデータを統合するのが難しいと感じていました。マーケティングキャンペーンの構築と最適化には、膨大なエンジニアリングリソースとExcel分析が必要であり、これらの手動プロセスでは、ブランドはクロスチャネルデータにリアルタイムでアクションを起こし、反復することは困難でした。

現在は、テクノロジーの専門化が進んでいるため、ブランドは接続性とデータの俊敏性を考慮しながら、連携されたマーケティング技術スタックの構築を進めています。

今日では、Brazeなどのマーケティングオートメーションプラットフォームにより、マーケターは顧客エンゲージメント戦略をより機敏かつ効率的にオーケストレーションできます。

ブランドは、大規模なデータセットをフィルタリングしたり、AppsFlyerやMixPanelなどのサードパーティ連携によってデータを充実させたりして、ターゲティング可能なオーディエンスを構築することができるようになっています。クロスチャネルメッセージテストの結果をオーディエンスセグメント別に分析することで、よりスマートで、より適切なメッセージフローを構築できます。

たとえば、オーディエンスフィルタリングは、「顧客がモバイルエクスペリエンスまたはウェブエクスペリエンスの特定イベントを完了したら、リアルタイムメッセージをトリガーする」というルールにリンクできます。これをさらに一歩進めると、Brazeのコネクテッドコンテンツ機能により、APIトリガーを介して顧客と1対1のパーソナライズされたコンテンツを大規模に構築できます。

サイロ化を解消し、Brazeのキャンバスなどの単一のインターフェイス内でクロスチャネルメッセージをオーケストレーションできるようになったため、ウェブとモバイルにわたってメール、プッシュ、アプリ内メッセージ、アプリ内コンテンツフィードの同期メッセージを自動化できます。

パートナー連携により、有料広告、SMS、ダイレクトメールなどの他のチャネルにもメッセージを拡張できます。

Brazeとマーケティング技術スタック

上の図が示すように、技術スタック全体の包括的なデータ収集とデータ取り込みのためにマーケティングオートメーションプラットフォームが連携されていると、これらのユースケースはさらに強力になります。

たとえば、多くのブランドは、mParticleやSegmentなどのCDPを採用して、ファーストパーティとサードパーティのシステム間で顧客データを統合、一元化、標準化し、技術スタックツール間でリアルタイムのデータフローを実現することが有用であると考えています。

これにより、マーケティングオートメーションに利用できるデータが充実し、マーケティングオートメーションデータをプロダクト分析やアトリビューションプラットフォームと共有できるようになります。そのため、有料キャンペーンとオウンドキャンペーンにわたってオーディエンス、メッセージ、学習内容をすばやく同期できます。

同様に、ほとんどのマーケティングオートメーションプラットフォームにはユニバーサルリンクソリューションがないため、このガイドの前の章では、AppsFlyerをはじめとするアトリビューションプロバイダーのディープリンクをすべてのマーケティングチャネルに展開することの重要性を説明しました。

ディープリンクを使用してユーザーを最適なウェブページまたはアプリページに自動的にルーティングし、さらにアトリビューションデータによって、クロスチャネルのマーケティングオートメーションキャンペーンに適用されるトリガーをカスタマイズできます。

優れた顧客エンゲージメント体験の構築

連携されたマーケティング技術スタックは、ブランドが消費者との有意義な体験を構築するための無数の機会をもたらします。

優れたカスタマー体験を構築するためのベストプラクティスをいくつか紹介します。

オンボーディングフローをパーソナライズして印象を残す

新しい顧客を獲得するにあたり、最初の数日は非常に重要です。早い段階で顧客がブランドに価値を見いださなければ、解約されてしまう可能性が高くなります。

ブランドは、主に次の2点において顧客をサポートしなければなりません。

1.アプリやウェブ環境で歓迎されていると感じてもらう

これは、温かい歓迎メールを送信したり、登録してくれたことに感謝したりするなど、簡単なことでかまいません。

顧客を知る方法の1つは、メッセージを受信するのにどのチャネルが好ましいか尋ねることです。

アプリ内メッセージを介したプッシュ通知のオプトインプロンプトは、許可を求める手段として、また、ユーザーがプッシュを有効にした場合に受け取るコンテンツの価値を強調する手段として、ウェブおよびモバイルデバイスで広く使用されています。

注:AppsFlyerからBrazeにアトリビューションデータを送信する場合は、顧客の獲得ソースにもとづき、オンボーディング体験とコンテンツを調整することもできます。

ごく初期の段階から一貫性のあるメッセージや画像を使用すると、ブランド体験を親しみやすく、快適で、説得力のあるものにする大きな効果があります。

たとえば、プロモーションコード付きのGoogle広告が表示された後に顧客がインストールを行った場合は、これらの顧客に対し、最初のセッションのログを記録したときにトリガーされるアプリ内メッセージを設定したり、同じプロモーションを強調するメールを送信したりできます。

2.最初にアプリやウェブサイトを使用したときから、真の価値を目にしてもらう

新規ユーザーをアプリやウェブサイトに引き付けるためのナビゲーション戦略を前もって構築しておきましょう。製品やサービスに慣れてもらえるように、顧客が達成できる簡単なマイルストーンを作成します。

たとえばEコマースアプリの場合、製品の発見、購入、将来の再購入による報酬の獲得がとても簡単であることを強調できます。

新しいカスタマージャーニーは、どれも唯一無二です。

その他のベストプラクティスについては、パーソナライズされたクロスチャネルオンボーディング体験を構築するためのBrazeガイドをご覧ください。

オンボーディング後もリッチなカスタマー体験を構築し続ける

オンボーディングを通じて新規顧客を獲得することは、最初の一歩に過ぎません。

長期的な関係を構築することは容易ではありません。しっかりとした関係の構築には、時間と一貫したエンゲージメントが必要になるからです。

ヒントをいくつか紹介します。

1.顧客のニーズと行動に対応することで、最初に思い出してもらえるブランドであり続ける

ユーザー体験の中で、顧客の起こしたアクションが、マイルストーンの達成やコンバージョンの促進に迫る瞬間があります。

そのようなときに顧客を少し後押ししましょう!

すばやく反応してメッセージをトリガーすることで、タイムリーで適切なコンテンツを顧客に届け、最後の一歩を踏み出すことの価値を強調できます。顧客がカートに入れた商品を忘れていることもあるでしょう。顧客がゲームのプレイを中断しているという場合は、働きかけがあれば、アプリに戻ってそのレベルを達成してくれるかもしれません。

どのような動機付けの場合でも、イベントベースのトリガーは、顧客との対話を続けるための優れた方法です。

2.各メッセージが適切でタイムリーであることを確認する

多くのブランドは、一斉配信のメッセージに過度に依存しています。

その結果、登録解除、プッシュオプトアウト、さらにはアンインストールの件数まで増加してしまっています。

このわなに陥らないように気を付けましょう。

GDPR関連の連絡や利用規約の更新など、オーディエンス全体への連絡が必要な場合もあります。しかし、ほとんどの場合は、顧客データに応じて各メッセージを有意義なものにすることをお勧めします。それぞれ顧客がアクセスしたアプリやウェブサイトの特定のセクションにもとづいて、各メッセージの内容をカスタマイズしましょう。

たとえば、ゲームアプリのユーザーがレベル9を達成し、その後でアプリを終了した場合、レベル10の達成にどの程度近づいているかを知らせるクイックプッシュを送信します。

さらに、APIによって強力なセグメンテーションを活用したり、状況に応じたパーソナライゼーションをトリガーしたりできます。商品のレコメンドから、リアルタイムの天気予報にもとづく個々に応じたメッセージまで、動的コンテンツは真に強力な結果をもたらすことができます。

3.複数のチャネルで効果的にコミュニケーションをとる

メッセージの受信方法については、顧客ごとに異なる好みがあります。

そのため、通知設定センターで受信するメッセージの種類(および受信方法)を選択するオプションを顧客に提供することが重要です。顧客に選択肢を提供することで、顧客がチャネルを完全にオプトアウトする可能性が低くなります。

メッセージチャネルには、それぞれに異なる目的があります。エンゲージメントを成功させるには、クロスチャネルを組み合わせることが不可欠です。プッシュは、アラートやリマインダーなどの短く直接的なコンテンツに最適です。メールは開始時のヒントなど、より多くのコンテキストを提供するのに役立ちます。

デバイスやチャネルを問わず、アトリビューションデータを組み込んだシームレスなコンバージョン体験を実現するのに、ディープリンクは欠かせません。

そこから生み出される循環的なデータフローを使用して、顧客が各チャネルにどのように反応するかを理解し、それに応じてジャーニーをパーソナライズすることができます。

最終的思考

顧客エンゲージメントは、今日の連携された技術スタックの中心に位置しています。

データの俊敏性の向上により、ファーストパーティおよびサードパーティのデータソースにわたって各ユーザーをリアルタイムで識別して理解できるようになりました。その結果、ブランドは個々の顧客に合わせてエクスペリエンスをカスタマイズし、複数のチャネルにわたってパーソナライズされた対話を提供することができます。

その重要性は軽視できません。効果的なクロスチャネルメッセージ戦略は、顧客エンゲージメントを844%高める可能性があるためです。デジタル経験を温かみのあるものにすることで、ブランドは顧客ロイヤリティを高め、最終的にはビジネスの成果を向上させることができるのです。

製品分析ツール-MarTech スタック
第4章

カテゴリ別の考察:製品分析

ブランドの成長において、最高のカスタマー体験を提供するためには、ビッグデータの科学が不可欠な時代となっています。認知からオンボーディング、リエンゲージメントまで、ウェブ、アプリ、物理的な場所にまたがるブランドのさまざまなタッチポイントにおいて、独自のユーザー体験の構築が試みられていますが、それらはデータによって取得され、データの解釈によって最適化されたものです。

前の2つの章では、ユーザー獲得、リターゲティング、顧客エンゲージメントを通じてジャーニーを最適化する際のモバイルアトリビューションとマーケティングオートメーションの重要性を説明しました。

これらのテクノロジーはどちらも、ユーザーについての理解を促進するアプリ内分析を提供してくれますが、中核となるプロダクト体験自体を最適化するようには設計されていません。

そのためプロダクト分析の実施が、高性能プロダクトチーム、マーケティングチーム、グロースチームの根幹となっています。

プロダクト分析とは、ユーザーについての分析、プロダクト体験を通じたユーザーのジャーニーの分析、さまざまな結果における成功の分析を実施して、プロダクトとビジネスを調査・理解することです。

従来の非デジタル型のビジネスでは、ユーザーについての理解、実験、成長を効果的に管理するために必要な、大規模なデータチーム、優秀な人材、最先端の機械学習モデルのメリットが十分に得られなかったり、人材、組織、プロセスが不足したりすることもしばしばです。

これらのことを実現するには、高度に洗練されたビジネス環境であっても何年もかかってしまいます。

この事実に気が付いた企業は、行動分析からユーザーセグメンテーション、ウェブとモバイルにわたるアクティベーションまで、デジタルファーストの複雑なニーズを解決するために、MixPanelのようなセルフサービスプロダクト分析プラットフォームに目を向けています。

プロダクト分析というカテゴリは、無から発展したわけではありません。

このカテゴリが進化したのは、従来型のオールインワンテクノロジーではデジタルファースト企業のニーズを満たすことができなかったこと、そして、DIYに取り組もうとする企業の意欲が圧倒的に強かったことが背景にあります。

セルフサービス型プロダクト分析のメリット

プロダクト分析ツールを使用すると、マーケター、プロダクトマネージャー、エンジニア、データサイエンティストは、単一のプラットフォームでさまざまなデバイスにわたるプロダクト体験をテストし、理解し、最適化できます。

これらのツールは、ファネルフローの最適化、コホート分析、ユーザーセグメンテーション、他のスタックパートナーとの連携など、多数のセルフサービス型ユースケースを提供してくれます。MixPanelのようなより高度なプロダクト分析プラットフォームでは、プッシュ、メール、SMS、アプリ内メッセージなど、マーケティングオートメーションと共通する、ターゲットを絞ったエンゲージメント機能も利用できます。

最新のプロダクト分析ツールがもっとも強調している点は、セルフサービス型である(つまり、ビジネスアナリストに依存しない)ことです。これがなければ、すぐにBIツールと格闘することになってしまいます。

プロダクト分析により、データの民主化が促されます。部門横断チームは、データサイエンティストによるSQL作成のオーバーヘッドなしに、行動に関する複雑なクエリの回答を得ることができます。

マーケティングやプロダクトなどの重要な事業部門は、データやユーザー行動に関する質問の大部分の回答を、何週間もかけずに数分で得ることができ、迅速かつ柔軟に対応できます。

データサイエンティストはもっとも重要で費用のかかるリソースですが、そのリソースの一部を、基本的なKPIの質問への回答や基本的な管理画面の作成、データの検証などから解放し、もっと戦略的で価値の高い複雑な問題に集中させることもできます。

最終的に、プロダクト分析により、成長サイクルにおける次の3つの重要なハードルを克服できます。

  1. 上流のマーケティングタッチポイント(クリック、アトリビューションなど)からダウンストリームのユーザーデータ(イベントなど)まで、ユーザーエンゲージメント、カスタマー体験、プロダクト全体のライフサイクルを理解する
  2. 詳細なKPI分析機能と堅ろうなデジタル分析機能により、カスタマー体験を向上させる
  3. この理解にもとづいて、プラットフォーム内のメッセージ機能や事前に構築されたパートナー連携をアクティブ化することにより、ポジティブなビジネス成果を促進する

以上がプロダクト分析の概要です。次に、マーケティング技術スタックのより広範な枠組みにおいて、中核となるユースケースをいくつか紹介します。

例1:行動分析によるユーザーの理解

一般的な例として、Fortune 500企業の小売アプリを見てみましょう。クライアント(ユーザー獲得マーケター)は、最終的な収益を促進する、有料広告からインストール、下位ファネル指標までのコンバージョン率を分析し、ユーザージャーニーを理解しようとしています。

UAマーケターはいくつかのことに関心を持っています。

  1. ユーザーがコア指標にコンバージョンする割合を把握したい(小売アプリでは商品購入率)。
  2. どのようにしてユーザーがそこにたどり着き、何がアトリビューションを促進したのかを理解したい。

アトリビューションは、客観的な計測と主観的な計測に分けることができます。

まず、客観的な計測について説明しましょう。

獲得ファネルは、Facebook、Google、Apple Search Adsなど、クライアントのメディアソースの1つに表示された広告をユーザーがクリックすることから始まります。

ディープリンクを通じて、ユーザーは広告からウェブサイトや、インストール済みのアプリに移動します。アプリストアに移動してアプリをインストールする場合もあります。

ユーザーがアプリをインストールして開くと、アトリビューションプロバイダー(AppsFlyerなど)がそのユーザーを適切なメディアソースに紐付けます。これにより、クライアントはもっとも効率的なコンバージョンを促進したメディアソースとクリエイティブバリアントを客観的に計測できます。

インストール後は、アトリビューションの主観的な計測が効果を発揮します。

最終的に、マーケターはROAS (広告費用対効果)を理解したいと考えています。

これはユーザー体験に関する指標であり、獲得ソース(広告自体とディープリンクUX)での体験と、アプリまたはウェブサイト内のオンボーディング体験の両方に関係します。最初のオンボーディング体験に続く他の要因が、チェックアウトと購入へとユーザーを導くフローの助けになったり、妨げになったりすることもあります。

UAマーケターはアトリビューション指標から貴重な結論を引き出すことができますが、その体験を掘り下げて分析し、ログイン、カテゴリ選択、カートに追加などの多数のイベントにわたってユーザーの流れをマッピングできるという能力こそが、プロダクト分析の非常に重要な点です。

コホート分析とユーザーフロー

MixPanelでは、このジャーニーを理解するためのツールの1つが、フロープロダクト(上図)です。

このツールを使用することにより、マーケターとプロダクトマネージャーは、ユーザーがとる可能性のあるもっとも一般的なフローとそれぞれのコンバージョンを把握し、オンボーディングの障壁や、マーケターが苦労して獲得した予算がコンバージョンの成功に貢献するのを妨げているユーザー体験の低下を特定できます。

フローはもっとも重要なビューを提供してくれますが、プロダクト分析ツールの基本は、セグメンテーション、ファネル、リテンション分析、コホートグループ化にあります。これらのスタンドアロン機能はそれぞれ、ユーザーの行動をより深く理解するのに役立ちます。

たとえば、MixPanelのファネルレポートでは、定義されたイベント経路に沿ってユーザーがどのようにコンバージョンしているかを確認できます。つまり、ユーザーがいつどのような状況でプロダクトサイクルやマーケティングキャンペーンから離脱するのか(コンバージョンの失敗)を特定することで、コンバージョン率を高める機会を特定できます。

同様に、リテンション分析プロダクトでは、機能やフローを追加、変更、改善した後で新規ユーザーが戻ってくるかどうか、日、週、月単位で確認できます。

MixPanelのリテンションレポート
MixPanelのセルフサービス管理画面は、時間の節約に大きく貢献します。プロダクト分析ツールセットを使用して、経営幹部に限らず、すべての従業員がデータを利用できます。

チームはこれらの分析機能を活用して、データを主要な利害関係者や社内の意思決定者に報告したり、どのペイドメディアプラットフォームに投資するかを判断したり、エンジニアリング部門やプロダクト部門の助けを借りて、変更するプロダクトフローを選択したりするなど、独自の対策を実施できます。

例2:コホート分析によるメッセージとフローの最適化

次に、さらに深い分析と改善の例を見てみましょう。サブスクリプションベースの動画ストリーミング会社が、適切なコンテンツを使用してユーザーに最適なサービスを提供する方法を理解したいと考えています。

コホート分析によるメッセージとフローの最適化
サブスクリプションベースの動画ストリーミングプロダクトのKPI構造の例

この動画ストリーミング会社にとって、ユーザーを獲得し、アトリビューションプロバイダーで適切なソースへの紐付けを行った後は、ユーザーがどれだけの時間を費やしているか、どのようなコンテンツに多くの時間を費やしているかを知ることが重要です。

頻度とリピート消費は、成功のための重要な指標です。

プロダクトチームが新しいAIベースのコンテンツ提案インターフェイスに取り組んでいる場合、特定のコンテンツをユーザーが何時間視聴しているかを分析することになります。したがって、コンテンツのタイプと視聴時間にもとづいてコホートを作成します。

プロダクトチームは、これらのコホートを作成し、データをローデータ形式でAIモデルやMLモデルにフィードできます。これらのコホートをマーケティングチームのAppsFlyerなどのアトリビューションツールにエクスポートすることもできます。マーケティングチームは、比較のために独自のコホートを作成して、特定のコンテンツまたは特定の期間内のリテンション率と離脱率を調べることもできます。

アクティベーションの可能性には限りがありません。

プロダクトチームとマーケティングチームは連携して、アトリビューションデータ(メディアソース、キャンペーン、広告タイプなど)をプロダクト分析コホートと組み合わせることで、オンボーディングフローの実験をカスタマイズできます。

MixPanelでは、組み込みのメッセージ機能やマーケティングオートメーションパートナーとの連携により、コホートをさらに活用できます。結局のところ、唯一の制約は、実験や反復に対するチームの創造性とモチベーションです。

例3:データサイエンスのための予測分析

MixPanelを含む一部のプロダクト分析プラットフォームには、カスタマイズ可能なレポートとセグメンテーションに加え、マーケターやプロダクトマネージャーにデータサイエンティストレベルの能力を提供する追加のAIアプリケーションがあります。

たとえば、MixPanelの予測分析モデルは、過去の行動にもとづいて、どのユーザーがあるアクションを実行する可能性が高いか(または可能性が低いか)を明らかにします。

これにより、AppsFlyerなどのアトリビューションプロバイダーとのオーディエンス連携による有料リターゲティングとインクリメンタリティテストだけでなく、マーケティングオートメーションによるタイムリーなメッセージや特別オファーで、潜在的なコンバーターやリスクのあるユーザーをターゲットにすることができます。

予測分析モデリング
左:MixPanelの予測分析モデルは、より適切なコミュニケーションのインサイトを提供します。
右:自動セグメンテーションにより、指標の急上昇を引き起こしているユーザーセグメントを把握できます。

これらのインサイトは、自動セグメンテーション異常検知などのリアルタイムトリガーによってさらに強化されます。

異常検知は、特定のセグメントで重要な指標が予期せず急上昇または急下降したときに、通知を送信して、変化の原因となったユーザーについて知らせます。

これらの自動インサイトは、プロダクトのUXテスト、メッセージ実験、さらにはペイドメディアの割り当てにも適用できます。

さらに詳しく

いずれの場合も、プロダクト分析を使用することで、一人ひとりがビジネスの成果を管理し、顧客により良いサービスを提供するために貢献できます。それによってチーム全体の効率が改善され、組織のあらゆるレベルでの成長と個々の成長が促されます。

プロダクト分析のベストプラクティスの詳細については、MixPanelのプロダクト指標ガイドをご覧ください。

CDP-MarTech スタック
第5章

カテゴリ別の考察:顧客データプラットフォーム

カスタマー体験がますますモバイル中心になるにつれて、消費者は、さまざまなデバイス間を移動しても、ブランドがシームレスに消費者を理解し、適切にコミュニケーションできることを期待しています。ブランドが現在直面しているのは、ウェブ、アプリ、メールなどのあらゆるブランドインタラクション中に作成される膨大なデータポイントから、最新の一貫した、そしてもっとも重要なこととして、完全な顧客アイデンティティの全体像を把握するという問題です。

コネクテッド時代のマーケターは、業界のプライバシー基準に準拠しながら、あらゆるチャネルとデバイスにわたってカスタマージャーニーをリアルタイムかつ大規模に計測できなければなりません。

また、そのデータを新しいツールやベンダーと結び付けて、新しい成長の道を継続的にテストできることも必要です。

このような場合に、顧客データプラットフォーム(CDP)が活躍します。

mParticleのような最新の基本的なCDPは、ブランドが独自の顧客データを使用し、アイデンティティ解決を通じてモバイルとウェブの両方でユーザージャーニーを改善するのに役立ちます。

具体的には、CDPによって以下の点が促進されます。

  • CDPパートナープラグインによる新しいSDKの実装の標準化と、各SDKにわたるデータ識別子の配置の標準化
  • スタックパートナー間のリアルタイムデータフローによる顧客アイデンティティの強化・統合と、マルチスレッドのカスタマージャーニーの実現
  • パートナー間における顧客データのプライバシー基準の一貫した規制

かつてないほど専門的になったMarTech

コネクテッド時代の進化するカスタマージャーニーに対応するため、平均的なブランドのマーケティングスタックには、より多くのツールが必要となっています。

過去数年間に出現したMarTechの状況を見ると、専門化への強い傾向を確認できます。

これはマーケターにとって良いことでもあり、悪いことでもあります。特殊なテクノロジーが、モバイルアトリビューションや、モバイルおよびウェブでの不正防止など、特別なニーズに対応するのに適しているのは良い点です。しかし、継続的なマーケティング体験の構築に必要となるすべてのデータを収集するために、より大規模なMarTechスタックが必要になるのは悪い点です。

ベンダーの専門的なMarTechの状況

データ識別子がツール間で標準化されていれば、大規模スタックは問題になりません。しかしブランドは現在、さまざまな命名システムへの対処を迫られています。

幸いなことにCDPでは、システム間に互換性がなくても、データスタック全体で異なるシステムからのデータを変換してつなぎ合わせ、顧客に関する単一のビューを作成できます。

これによりマーケターは、分析、マーケティング、ビジネスインテリジェンス、データウェアハウジングなど、250を超えるベンダーとの事前構築された連携に対し、顧客データをシームレスに送信できます。

これらの事前構築された連携は、セットアップと保守に開発者のサポートをほとんど必要としないため、CDPは、マーケターが新しいツールを迅速に立ち上げてテストするのに役立ちます。

リアルタイムデータにより、マルチスレッド化されたカスタマージャーニーを実現

コネクテッド時代の重要なキーワードは「接続」です。

モバイルデバイスによって、私たちは常に相互に接続しているだけでなく、メール、ソーシャルプロファイル、アプリなどにも常に接続できるようになりました。これにより、消費者はブランドにますます期待するようになり、ブランドは、プラットフォームやデバイスにまたがって顧客の行動を予測して対処することを求められています。

マーケターが応答時間を最小限に抑え、ベストオブブリードのスタックを通じて入手できる有用な顧客データを効果的に活用するには、デバイス全体のデータにリアルタイムにアクセスし、アクティブ化できる必要があります。

ほとんどのデータアーキテクチャは低速です
この図は、CDPが登場する前の、ほとんどの企業のデータスタックの様子を示しています。ソース間の接続には1~7日の遅れがしばしば発生していました。コネクテッド時代では、このモデルは時代遅れになっています。

以前のDMPとは対照的に、CDPはAPIを使用して顧客のライフサイクル全体にわたってリアルタイムデータを収集し、ソースに関係なく包括的な顧客プロファイルを作成します。そのプロファイルをスタック内のサービスやプラットフォームに転送できるため、すぐに行動を起こすことができます。

すべてのデータソースに双方向で接続した顧客データ管理
コネクテッド時代にマーケティングを効果的に遂行するには、顧客データ管理をすべてのデータソースと双方向で接続させる必要があります。

リアルタイムデータを使用することで、ブランドは顧客とのエンゲージメントをコンテキスト化する手段が得られ、顧客の好みや現在の状況に関連するエクスペリエンスを提供できます。

たとえば、スニーカー小売業者のGOATは、モバイルアトリビューションの信頼できる情報源としてAppsFlyerを使用し、CDPとしてmParticleを使用して、スタック内のすべてのツール間でデータを同期しています。

mParticleは、スクリーンビューやカートに追加された商品など、GOATのイベント履歴をモバイルとウェブ全体で結び付けます。GOATチームはこれをエクスポートして、クロスチャネルレポートを分析します。

また、GOATは、mParticleを使用してオーディエンスを作成し、マーケティングオートメーションキャンペーンをリアルタイムで更新して、もっとも適切なリマーケティングメッセージを確実に配信しています。これにより、チャネルやプラットフォームにとらわれないユーザー中心のフローを設計することで、カスタマー体験を最適化できます。

連携されたマルチスレッドのカスタマージャーニーのもう1つの代表的な例は、受賞事例となったBurger Kingの「Whopper Detour」(ワッパーの回り道)キャンペーンに見ることができます。

Burger Kingは、mParticleを使用して、レーダーからのリアルタイムの位置データを有料広告とマーケティングオートメーションキャンペーンにリンクさせ、McDonaldから600フィート以内にいる顧客に、Burger Kingモバイルアプリを介して同社のワッパー商品を無料で提供しました。このキャンペーンは、Burger Kingのアプリを、すべてのアプリストアのカテゴリで686位から1位に押し上げただけでなく、4年半で最大の顧客来店数を実現しました。

こうした業界最高クラスの例が示すように、CDPは、シームレスに相互接続されたオーディエンス、メッセージ、アクティベーション、レポート作成のための幅広いオプションを提供します。

プライバシーバイデザイン(設計段階からのプライバシーの考慮)

ブランドは2019年に、入手可能なもっとも価値のある資産は顧客データであることを受け入れる必要がありました。顧客は個人データの収集方法と使用方法に対する管理の強化を要求し始めています。

GDPRが全面的に実施され、米国ではCCPAによる規制が近づいているため、顧客データ管理の無法地帯はもはや存在しません。

GDPR基準を満たすことができない古いデータ管理システムにのみ依存している企業は、世界全体の収益の最大4%に相当する罰金を科されるか、罰金を回避するためにデータ収集を完全に停止することを余儀なくされる可能性があります。ただし、他に選択肢がないわけではありません。CDPは、プライバシーとアイデンティティを中核に設計されており、顧客データによって提供されるインサイトと実用性を犠牲にすることなく、新しい規制データ基準を満たすことができます。

すべての統合

相互接続されたモバイルマーケティング技術スタックを連携する接着剤として、プライバシーコンプライアンス、クロスチャネルレポート、合理化されたパートナーオンボーディングなどの基本的なニーズにCDPを早期に連携させることには、明らかに大きな利点があります。

成熟した技術スタックを持っていて、CDPが未導入の企業にとって、CDPを追加することは、古いプロセスを合理化し、新しいユースケース(リアルタイムトリガー、有料およびオウンドリエンゲージメントのための同期オーディエンス、クロスチャネルのA/Bテストなど)を活用するためのより戦術的な動きになる可能性があります。

要するに、カスタマー体験が重要なのです。コネクテッド時代では「その瞬間」はすぐに過ぎ去ってしまいます。コンバージョンにつながる時間的な余裕はごくわずかしかありません。

「適切なメッセージを適切なユーザーに、適切なタイミングで、適切な場所に作成する」というマーケターにとっての格言の2019年バージョンは、「適切なデータを適切なシステムに、リアルタイムで取得する」ことです。

簡単に言うと、適切なシステムが適切なアイデンティティを適切なシステムに常にマッピングしていなければ、このようなデータ取得は期待できません。

コネクテッド時代にmParticleがブランドの成功にどのように役立つかについて詳しく知りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。CDPについて詳しくは、CDPの詳細ガイドもご覧いただけます。

UA プラットフォーム-MarTech スタック
第6章

カテゴリ別の考察:ユーザー獲得プラットフォーム

利益を重視するビジネスのマーケティングでは、ユーザー獲得が不可欠です。

エンゲージメントとリテンションとともに、ユーザー獲得は、ビジネスを維持し、ビジネスの拡大を促進するサイクルを生み出します。結局のところ、ユーザーなしではビジネスは成り立ちません。また、新規ユーザーがいなければ、成長のための実行可能な道筋が失われます。

ユーザー獲得の手法は企業によって異なりますが、大きな視点で見るとパターンが浮かび上がります。モバイルマーケティング業界では、ユーザー獲得が、毎年のローンチ後のマーケティング投資でもっとも重要なものになることがよくあります。多くの場合、それは会社全体の帳簿の中で、単独ではもっとも大きな数字です。

非常に大きい支出になるため、それを管理するための何らかの枠組みが必要になると予想されます。ここで、一貫性というユーザー獲得の最大の課題が現れます。

オーディエンスはチャネル間を移動し、それぞれが意見とベストプラクティスを持っています。イノベーションのスピードは驚異的であり、成長のための画期的なワークフローはいくつも存在しています。市場がそれに目を向ける前に、先んじて試みるべきです。サイロ化されたデータストリームやばらばらのKPIは、アクティビティ全体の分析を妨げてしまいます。

一貫性の課題に対処するには、Bidalgoのようなユーザー獲得プラットフォームが有効です。

これらのプラットフォームの目的は、ユーザー獲得の複雑さを解消することです。これらのプラットフォームは、さまざまなチャネルと計測プラットフォームの上にアクティビティ管理、自動化、分析のためのオーケストレーションレイヤーを作成することにより、費やされたコストの価値と投資された労力の価値を最大限に高めます。

ユーザー獲得プラットフォームは、キャンペーン管理プラットフォームとも呼ばれます。これによりマーケターは、統一されたインターフェイスで複数のチャネルにわたるアクティビティを管理、最適化、分析でき、多くの場合、ある程度までは自動化も可能です。

また、アクティビティの1つのコンポーネントだけに注目している場合は利用できない、クロスソースインサイトという追加のメリットもあります。

そのため、大企業は、独自の堅ろうなビジネスインテリジェンスを持っていても、ユーザー獲得のための専用プラットフォームに目を向けています。

ユーザー獲得の3本の柱

ユーザー獲得プラットフォームの働きを理解するには、ユーザー獲得のプロセスを個別のコンポーネントに分解する必要があります。

これを行うためによく用いられる方法の1つは、UAの管理的側面、分析的側面、および創造的側面を別々に考えることです。

それぞれについて、成熟したユーザー獲得プラットフォーム内で何らかの解決策が見つかる可能性があります。

  1. キャンペーン分析は、個々のキャンペーンや、すべてのアプリアクティビティの包括的な結果から実用的なインサイトを収集する機能です。これらの中には単純明快なもの(「広告クリックに対して平均でいくら支払っているか?」)もありますが、処理されたデータや相互参照データが必要なもの(「実際に広告を見たのはだれか?」)もあります。
  2. キャンペーン管理は、ユーザー獲得プラットフォームの運用ツールセットであり、UAマネージャーは、このツールセットを使用してキャンペーンを開始、停止、編集、更新できます。ほとんどのUAチャネルは、堅ろうで使いやすいインターフェイスをそのチャネルの広告マネージャーに提供しますが、一元化されたプラットフォームを使用して複数のチャネルにわたる数十のキャンペーンを管理することは、はるかに簡単で効果的であり、UAマネージャーは戦略的なタスクに集中する時間を増やすことができます。
  3. クリエイティブ管理は、広告クリエイティブに関係するほとんどすべてのことを管理します。この場合、ベースライン機能レベルは存在しません。一部のプラットフォームでは限定的ながらクリエイティブ関連の機能を提供していますが、完全な分析やインサイトに関する機能、および過去の成功にもとづいてクリエイティブアセットを生成する自動制作機能を備えたプラットフォームはほとんどありません。

これらの3本の柱には、自動化という別の要素が含まれていることがよくあります。

自動化自体には本質的な価値がないことを覚えておく必要があります。重要なのは、自動化から得られる価値です。それでも、私たちはビッグデータの時代に生きており、UAプラットフォームを使用して、ユーザー獲得プロセスの一部を自動化することで、何らかの価値を生み出す方法が見つかることがよくあります。

根深い問題には特注のソリューションが必要

この記事の冒頭で述べたように、ユーザー獲得プラットフォームは、モバイルマーケターにとって単なる便利なツールではありません。

これらのツールセットは、広告のROIの最大化、実際の問題点への対処、成長のボトルネックの除去を可能な限り効率的に行うのに役立つ特別な存在です。

データの難問

データが多すぎるという場合があります。

理想的には、効率的に処理できる範囲で多くのデータを扱うべきです。それよりもデータ量が少ないと、潜在的に価値のあるインサイトが欠落します。データを収集しすぎると、さまざまなノイズによって作業が行き詰まることでしょう。

実際、マーケターは平均10~15のアドネットワークを同時に処理することが多く、その結果、キャンペーンを維持するために何百ものサブセットと数千の手動アクションを実行する必要があります。

これは非常に時間がかかり、非効率的なアクティビティです。

しかし何よりも、リアルタイムでパフォーマンスを監視し、正しい入札を行い、行動を起こす能力は非常に限られています。そのため、作業をうまく拡大し、ROAS(広告費回収率)を最大化する能力が損なわれます。

最新のUAプラットフォームは、特に複数のチャネルやソースからの相互参照データなど、マーケティング部門のデータ処理能力を大幅に向上させます。相互参照は、AppsFlyerなどのアトリビューションプロバイダーを通じて利用可能なアトリビューションデータとチャネルデータを組み合わせることで、より効率的に生成できるため、正確で実用的なインサイトを得るには不可欠です。

アトリビューションプロバイダーは、正確で詳細なアトリビューションデータを提供できるため、スマートな意思決定に必要です。このプロセスは複雑ですが、メディアパートナーによる信用請求の競合などの不確実性を回避するように設計されており、正しく実行されると非常に価値のあるプロセスになります。このデータは、プロセスの移植性の点でも重要です。

たとえば、Bidalgoなどのユーザー獲得プラットフォームは、キャンペーン管理連携を介してAppsFlyerと連携し、分析機能と自動化機能を強化します。

AppsFlyerとBidalgoの連携
AppsFlyerのクライアントは、ボタンをクリックするだけでAPI権限を有効にして、Bidalgoなどのデータ分析ユーザー獲得プラットフォームを強化できます。

企業がマルチチャネルのユーザー獲得戦略を実装することを決定する場合にも、データ処理能力はもっとも重要です。

BIシステムが導入されている場合でも、すべてのデータをインポートし、本当に実用的なインサイトにつながる方法で処理するには、非常に多額の投資が必要になります。

創造性を拡大する方法

広告クリエイティブは、入札やオーディエンスとともに、すべてのUAレシピの主要な要素です。後者の2つは数値主導であり、アルゴリズムによって簡単に処理できます。

その結果、これらは、より自動化されたキャンペーン管理への移行の影響を最初に受けました。すべてのステップがこの方向に進むと、UAワークフローから摩擦が排除され、新規参入企業に市場を開放するという追加のメリットが生じました。

一方、広告クリエイティブは、依然として人間のマーケターが活躍する範囲です。

マーケターは、デザイナーと協力して、クリエイティブに関する取り組みを具体的な数値とKPIに変換する必要があります。クリエイティブアセットが成功する理由を理解しなければ、その成功を再現するのは簡単ではありません。そして、成功の公式が手元にあっても、クリエイティブの制作は多大な労力が必要なプロセスです。

Bidalgoでは、クリエイティブマネジメントは、制作から最終的な疲弊まで、広告のライフサイクル全体を網羅しています。

ここでは、複数ソースからのデータを分析する機能が、キャンペーンやチャネルにわたるクリエイティブ中心の分析に再び役立ちます。そして、どのステップでも、マーケティングチャネルからのデータとAppsFlyerのような計測プラットフォームからのアトリビューションデータを組み合わせることで、創造性と生産性の架け橋を築くことができます。

ボタンをクリックするだけでアセットのイテレーションを生成するクリエイティブ自動制作などのBidalgo機能は、「親」アセットの過去のパフォーマンスに関する正確なデータを持っていることに依存しています。

テスト前に予測クリエイティブランクをアセットに割り当てる機能は、クリエイティブの成功を「理解」するために膨大な量のデータを分析しなければ実現しませんでした。また、クリエイティブの疲弊の兆候を早期に認識するために、UAマネージャーは、時間の経過に伴う、アセットの正確なクロスキャンペーンパフォーマンスデータにアクセスする必要があります。

Bidalgoのクリエイティブセンター
Bidalgoのクライアントは、Bidalgoのクリエイティブセンターの一部として、さまざまなチャネルやクリエイティブクラウドから広告クリエイティブをランク付けし、データ主導の実用的なレコメンドを取得できます。

効率的な管理が効果的な成長を促進

現在、オーディエンスの断片化が進んでいます。

2019年と2020年にわたるTikTokの急激な上昇は、何がクールでユーザーがどこにいるかの定義を変えた、勢いのある新興企業の最新の例にすぎません。

したがって、シングルチャネルのアクティビティが依然として効果的であることを証明できますが、より広範なマルチチャネルUA戦略は、特にオーディエンスが比較的狭い場合は、一般的に、効率、成長、多様化のより大きな機会をもたらします。

UAワークフローには、新しいマーケティングチャネルごとに新しい複雑なレイヤーが追加されます。

これには、現在、異なるプラットフォーム上の異なるアカウントに分割された予算と、管理および分析のフローが含まれます。さらに、ほとんどのファーストパーティキャンペーン管理インターフェイスは、すべての人がオンラインマーケティングにアクセスできるようにすることを明確な目的としているため、パワーユーザーを念頭に置いて構築されていません。

もっとも高度なツールは、多くの場合、隠されています。

ユーザー獲得プラットフォームは、このプロセスを簡素化し、マルチチャネルキャンペーン管理を1か所に統合します。すべてのプラットフォームに同じ機能セットがあるわけではありませんが、一部のアクション一括実行、簡素化されたキャンペーンの作成と複製、一括分析、そしておそらく自動化などの機能が見つかる可能性があります。

ユーザー獲得プラットフォームが必要なのはだれか?

UAプラットフォームの長所を称賛するのは簡単ですが、コンテキストを追加する必要があります。すべてのモバイルマーケティングアクティビティにそのようなツールセットが必要なわけではありません。ファーストパーティの広告マネージャーとスプレッドシートで十分であるマーケターは大勢います。

アクティビティを拡大しようとしておらず、現在のマーケティング投資利益率に満足している場合は、あまり多くの機会を見逃していない可能性が高いと考えられます。

ユーザー獲得プラットフォームが役に立つのは、現在のツールが不十分であるという感覚が常にある場合です。

それでも、成長のボトルネックがどこにあるのか、それが本質的に技術的なものであるのかを理解しようとすることが不可欠です。もしそうであるなら、おそらくそのためのプラットフォームがあることでしょう。

MarTechスタックの設計
第7章

高度な考慮事項:成長に合わせた技術スタックの設計

ここまで、目標設定から定義やユースケースまで、上位のMarTechカテゴリにわたって、モバイルファーストのマーケティング技術スタックを構築するための基礎を築いてきました。

おそらく、現在使っていないツールや機能からアクティブ化できる、いくつかの新しいアプリケーションに触発されたことでしょう。

ただし、利用可能なオプションが豊富にあることを考えると、どの新しいツールを優先的にスタックに追加することを検討すべきか、どのような順序で追加すべきかを疑問に思われるかもしれません。結局のところ、組織がリソースを活用して複数のツールを一度に追加することはまれです。一度に追加することによる財務費用を正当化できたとしても、パートナーの評価、連携、およびオンボーディングのためのチームリソースに関しては、段階的な導入計画がより現実的である可能性があります。

この章では、持続的な成長のための技術スタック戦略を設計する際に考慮すべき業界のトレンドと疑問点について詳しく説明します。

  • モバイル業界全体にわたる一般的な採用傾向とスタックの例
  • オールインワンテクノロジーとベストインブリードテクノロジーの使用に関するトレードオフ
  • 新しいスタックソリューションを構築するか購入するかを判断する方法

技術スタックの採用動向

最初に、第1章で紹介した、ユーザーファネルとプロダクトライフサイクル全体にわたるMarTechツールの位置付けを示す重要な図に戻りましょう。

ユーザーファネルとプロダクトライフサイクル

第1章で述べたように、ほとんどのモバイルファーストの企業は、MixPanelやAmplitudeなどのモバイルファーストのリーダーが提供する、より堅ろうな有料のプロダクト分析スイートに進む前に、無料のプロダクト分析ツールから始める傾向があります。

定評のあるウェブファースト企業からアプリ分野に参入した場合、マーケティングクラウドプロバイダーを通じてプロダクト分析ツールや顧客エンゲージメントツールをすでに活用しているかもしれません。

ウェブファーストの企業でもモバイルファーストの企業でも、アプリの成功に欠かせない次の有料ソリューションは、アトリビューションとマーケティングオートメーションです。その理由は、有料キャンペーンやオウンドキャンペーンにもとづく顧客エンゲージメント、ディープリンク、アトリビューションのための効果的なツールがなければ、アプリのライフサイクルマーケティングをうまくオーケストレーションできないからです。

この議論のロジックが成り立つかどうかを確認するために、650社のAppsFlyerクライアントにわたってSDKの採用に関するMighty Signalのデータを分析しました。

以下のグラフは仮説を検証したもので、特定のタイプのMarTechツールと連携したアプリの割合を経時的に示しています。

早期採用

プロダクト分析(35%)とアトリビューション(22%)は、1年目にもっとも多く連携された2つのツールです。

ほとんどのアプリはこれらの必要不可欠なツールと早い段階で連携するため、採用率は時間とともに低下します。

技術スタックにもっとも多く連携されたツール
*データソース:Mighty Signal(SDKの採用)とSensor Tower(アプリのリリース日)、2019年8月。データセットには、5年以上の利用実績がある650社のAppsFlyerクライアントが含まれています。

中期採用

決済(16%)、マーケティングオートメーション(13%)、マーケティングクラウド(11%)のツールは、1年目に連携される可能性が低いと考えられます。

これら3つすべてでベルカーブ状の傾向が見られ、採用率は2~3年でピークに達します。

中期の技術スタックの採用:決済
中期の技術スタックの採用:マーケティングクラウド
中期の技術スタックの採用:マーケティングオートメーション
*データソース:Mighty Signal(SDKの採用)とSensor Tower(アプリのリリース日)、2019年8月。データセットには、5年以上の利用実績がある650社のAppsFlyerクライアントが含まれています。

中期から後期の採用

CDP(7%)と位置情報サービス(0%)は、1年目に連携される可能性がもっとも低いと考えられます。

これらのツールは一般的に大きなスタックで見られ、採用は3~4年目にピークに達します。

中期から後期の技術スタックの採用:CDP と位置情報サービス
*データソース:Mighty Signal(SDKの採用)とSensor Tower(アプリのリリース日)、2019年8月。データセットには、5年以上の利用実績がある650社のAppsFlyerクライアントが含まれています。

グラフからわかるように、1年目には35%のアプリがプロダクト分析を使用し、22%のアプリがアトリビューションを使用しています。

プロダクト分析は1年目にもっとも多く採用されていますが、このカテゴリの大部分で無料のツールが利用されていることに注意することが重要です。

プロダクト分析とアトリビューションの両方の連携が時間とともに減少しており、後期の採用は多くの場合、パートナーの移行の兆候を示しています。これは、プロダクト分析の場合、無料のソリューションから有料のパートナーソリューションに移行することを意味します。

興味深いことに、アトリビューションとマーケティングオートメーションの両方を早い段階で連携させることの重要性を強調してきましたが、アトリビューションが最初に採用される可能性がはるかに高い傾向があります(それぞれ1年目は22%と13%)。

これは、ウェブファーストの企業では、ベストインブリードのマーケティングオートメーションツールによって提供される、より高度なモバイルファーストのソリューションの必要性を認識する前に、既存のプロダクト分析ツールとマーケティングクラウドツールを使用して顧客エンゲージメントをオーケストレーションできるためであると推測できます。

一方、第2章で述べた理由から、専用のモバイルアトリビューションプロバイダーを利用せずにモバイルUAとディープリンクの実装を拡大することは非現実的です。パリティソリューションを提供するMarTechカテゴリは他にありません。

2年目には、より高度なツールが上位になり、21%がCDPを採用し、29%がAmazonやBraintree、Paypal、Stripeなどの決済ツールを採用しています。前述のように、CDPは、より多くのツールの切り替え装置として使用されると、より大きな価値を発揮します。

たとえば、アトリビューションとマーケティングオートメーションをすでに導入していて、来年中にプロダクト分析、決済、位置情報サービスのツールを追加することを検討しているとします。この場合、3つのツールを手動で連携するのに苦労する前に、CDPを追加することをお勧めします。

CDPを導入することで、スタックツール間のリアルタイムデータ転送が容易になるだけでなく、プロダクト設計を継続的に繰り返すときに、各ツールへのアプリ内イベントマッピングの更新がはるかに簡単になります。

マーケティングクラウドの採用はCDPと同様のトレンドラインをたどり、1年目の11%から3年目の22%に倍増しています。一般的に言って、マーケティングクラウドソリューションは、1つのアプリのみを重視しているクライアントよりも、Web-to-Appのフローを管理したり、複数のアプリケーションにまたがってデータを分析したりするクライアントにとってはるかに価値があります。

したがって、1年目にマーケティングクラウドを使用している企業のほとんどは、新しいアプリを追加する前にすでに他のプロダクトやウェブサイトを市場に出していた、実績のある企業の可能性が高いと考えられます。同様に、数年経過してからマーケティングクラウドテクノロジーを追加している企業は、多くの場合、あるアプリから追加のアプリやプラットフォームへと拡大したスタートアップ企業です。

エンタープライズソリューションとしてのマーケティングクラウドの重要性を考えると、「マーケティングクラウドは戦略上のどの段階に適合するか?」という質問を無視することはできません。

戦略上のトレードオフ:ベストインブリードとオールインワン

これまで、ベストインブリードのツールに主に焦点を当ててきました。このタイプのツールは、おおざっぱに定義するなら、特定のカテゴリまたはユースケースに特化した革新的なプロダクトです。

マーケティング業界で広く見られる技術スタックには、一般的に次の2つのタイプがあります。

ベストインブリード

モバイルファーストのチームは、MarTechの各カテゴリでポイントソリューションを探す傾向があります。これを「ベストインブリード」と呼んでいるのは、賢明なマーケターがMarTechソリューションを常に再評価して、そのプロダクトの最高のバージョンを使用できるようにしているからです。

次に、これらのマーケターは、CDPまたはエンジニアリングチームと協力して、スタックコンポーネント間の一貫した連携を確保するために、必要に応じてSDKを更新します。

当然のことですが、モバイルマーケティング向けのベストインブリードテクノロジーは、AppsFlyerやBrazeなどのモバイルファーストのプロバイダーから提供される傾向がありますが、いくつかの例外があります。たとえば、プロダクト分析カテゴリでは、最初はウェブ分析に特化していましたが、時間の経過とともに、Amplitude、MixPanel、Adobeなどの企業は、モバイルをサポートするように拡張しました。

オールインワン

前述のように、オールインワンソリューションは、大規模なエンタープライズチームを持つウェブファーストの企業にとってより一般的になる傾向があります。「オールインワン」という用語は、技術的には複数のMarTechカテゴリにまたがるすべてのプロダクトに適用できますが、この用語が使用される代表的な例は、Adobe、Oracle、Salesforce、IBMなどのマーケティングクラウドプロバイダーのプロダクトです。

これらの「オールインワン」プロダクトには非常に多くの選択肢があるため、一部のマーケターは、マーケティング業務の大部分を単一のマーケティングクラウドソリューションに統合する方が簡単だと感じています。

Gartnerは、これらの「プラットフォームは通常、CRMやその他の大規模な顧客データシステムが基盤になって」おり、また、「ネイティブのモバイルマーケティング機能を提供する一方で、配信、収益化、計測に関する機能をサポートするためにサードパーティと提携している」と説明しています。

マーケティングクラウドは一般に、モバイルよりもウェブ向けの高度な機能を備えており、プロダクトの進化とイノベーションに関しては、小規模なモバイルファースト企業ほど機敏ではない場合があります。

これらの両方の理由から、多くの場合、モバイルマーケターは「オールインワン」プロバイダーでは完全に解決できないギャップを埋めるために、「ベストインブリード」のソリューションを求めます。

オールインワンソリューションとベストインブリードソリューション

Virtual Hold Technology副社長のEric Camulli氏は、2つのモデル間の戦略上のトレードオフについて興味深い見解を示しています。

「スイスアーミーナイフについて言いたいことがあります。

これは、ジャムを塗るのにも役立つ素晴らしい小型のツールです。ただし、時間的な余裕があり、計画を立てるチャンスがある場合は、手元のタスクを徹底的に精密かつ正確に実行できるように、フルサイズのツールセットを用意したほうがよいでしょう。

たしかに、スイスアーミーナイフの市場は常に存在します。消費者は、オールインワンツールは、便利に使用でき、基本的な要件を満たすのに適していることに気が付くでしょう。ただし、多くの消費者の場合、複雑な要件が高い頻度で発生します。

このような場合、変更可能性と柔軟性が利便性よりも優先される品質属性です。これらのタスクは、フルサイズのツールセットなしでは実行できません。

テクノロジーについても同じことが言えます。

多くのオールインワンソリューションは、善意から、より優れた価値を提供しようとしていますが、より高い品質と柔軟性を必要とする消費者の大部分を満足させることができません。」

オールインワンソリューションでMarTechのすべてのニーズを解決できるとは考えにくいですが、特にウェブチャネルとオフラインチャネルに重点を置く場合、マーケティングクラウドをスタックの中核として活用することには、いくつかのメリットがあります。

オールインワンプロバイダーは、第2章から第5章で取り上げた中心的なモバイルMarTechプロダクトの範囲を超えた、さまざまなソリューションを提供することに加えて、複数のプロダクトでバンドル価格を提示することにより、規模の経済をうまく活用しています。

これらのパッケージでは、アプリケーションやウェブサイトと連携するパートナーの数が少なくなるため、エンジニアリングチームの時間を節約できるという追加のメリットがあります。また、プロダクト分析のオールインワンソリューションを使用すると、社内BIツールを使用してスタック内の他のすべてのツールや入力から集計ビューをカスタマイズするよりも簡単に、1つのプラットフォームでクロスチャネル分析の単一ビューを表示できます。

クロスチャネル分析のユースケースをさらに推し進める場合、オールインワンプロバイダーのすべてのツールが同じように作成されているわけではないことを覚えておくことが重要です。ほとんどの場合、スイートのさまざまなプロダクトがモジュール方式で販売されています。つまり、ニーズに合った特定のプロダクトを選択できます。

たとえば、Adobeは、Adobe Campaign、Adobe Audiences、Adobe Analytics、Adobe Launchを通じてマーケティングオートメーション、プロダクト分析、CDPのプラグインなど、前述した中心的なモバイルMarTechカテゴリのいくつかに対応するソリューションを提供しています。

Adobe Analyticsは、ウェブ分析およびクロスチャネル分析のベストインブリードソリューションとして有名ですが、Adobeにはモバイルアトリビューションプロダクトがなく、ディープリンク機能は他と比較して制限があります。このため多くのマーケターは、ウェブ、モバイル、オフラインプラットフォーム全体のパフォーマンスをより総合的に把握するために、AppsFlyerのデータをAdobe Analyticsに取り込むことに価値を見いだしています。

Sliceのデジタル獲得担当ディレクターでありAppsFlyerのお客様であるChristopher Winn氏は、この点を明確に指摘しています。

「私は、あらゆる業界を取り込もうとし、同社の他のすべてのプロダクトを購入する気にさせようとする企業ではなく、1つのことを行い、それをうまくやる専門企業を目指すべきだと考えています。」

オールインワンプロバイダーとベストインブリードプロバイダーに関して、通常は、特定のニーズに対する信頼できる情報源として1つのプラットフォームを選択したいと考えます。

通常、複数のモバイルアトリビューションプロバイダーを利用することは意味がありませんが、MMPのモバイルデータがクラウドプラットフォームに連携されていることは価値があります。

別の例として、一部のクラウド企業やメールサービスプロバイダー(ESP)は、デスクトップ向けのマーケティングオートメーションを得意としていますが、モバイルに関しては(Gartnerの分析が示すように)競争力に欠けています。

そのため、トラフィックの大部分がウェブからのものである場合は、ウェブファーストのESPまたはクラウドソリューションを使用してCRMまたはメールの自動化を実施することを選択できますが、モバイルファーストのプロバイダーのプッシュ通知とSMSコンポーネントを使用すべきです。

ここで重要なポイントは?

スタックコンポーネントの数が多いと、少ない場合よりも複雑になると思えるかもしれませんが、これらのソリューションから得られる実際のメリットについて、詳しく調べる必要があります。

ニーズの80%をオールインワンソリューションに統合し、残りの20%についてベストインブリードのソリューションを探すという「80/20戦略」に価値を見いだす企業もあります。

また、オールインワンソリューションはニーズに適さないと判断し、ベストインブリードのソリューションを頻繁に再評価することに価値があると考える企業もあります。MarTechの評価に関しては、簡単な方法はありません。

Workfrontのマーケティングオペレーション担当ディレクター、Brandon Jensen氏は、この点について詳しく説明しています。

「マーケティングテクノロジーの世界では、すべてのシステムとチャネルが同期され、完全な連携を実現できる単一のソリューションは見当たりません。多くのベンダーが実現したと言っているのは事実ですが、私たちはそれを確認できていません。代わりに、私たちは、適切なデータを提供したり、連携を実現したり、最良の決定を下したりするのに役立つ、スタックの適切な部分をどのように組み合わせるかを考えなければなりません。」

戦略上のトレードオフ:構築と購入

オールインワンプロバイダーと協力するかどうかの決定に加えて、別の基本的なトレードオフは、スタック内のさまざまなソリューションを構築するか購入するかという問題です。多くの点で、MarTechパートナーは、ギャップを埋め、社内業務を補完する、チームの自然な拡張と見なすことができます。

したがって、独自のスタックソリューションごとに、そのソリューションが解決するニーズだけでなく、アウトソーシングするのが実際に理にかなっているかどうかを評価することが重要です。

この質問に対する答えはユースケースによって異なりますが、これについてのシンプルな考え方の1つは、特定のソリューションのメディア予算に関連するコストや、そのソリューションの設計で改善の対象となっているチャネルの予想ユーザー獲得数に注目することです。

NewsCredのSteve Katz氏は、これに関して役に立つアドバイスを提示しています。

マーケティングテクノロジーの予算を決定するには、まず、マーケティング費用を何に支出しているか(または支出を計画している)かを調べます。イベントに多額の投資をしている企業もあれば、広告、コンテンツ、または体験に多額の投資をしている企業もあります。企業が多額の投資を行っているチャネルにもとづいて、そこから逆方向に作業を進め、いくら費やすかを現実的に決定できます。

たとえば、マーケターの53%は、マーケティングオートメーションがもっとも効果的なMarTechであると感じています(Ascend2による)。オンボーディングとライフサイクルマーケティングにおけるメールとプッシュ通知の重要性を考えると、マーケティングオートメーションのためのスタックソリューションに投資することは、ほとんどのマーケターにとっておそらく価値があります。

対照的に、カスタムロジックを使用してクロスデバイス獲得をテレビ広告にアトリビューションするTatariやTVSquaredなどの高度なテレビ分析テクノロジーは、テレビ広告に多額の費用をかけている企業にのみ意味があるかもしれません。テレビ広告の支出が少ない企業にとっては、社内製の上昇分析やMMPが提供する基本的なテレビ分析で十分でしょう。

同様の分析を使用して、アウトソーシングされたメディア管理のために代理店を雇う価値を評価することができます。

パフォーマンスの段階的な改善と人的資本の節約が、代理店手数料のコストを上回るでしょうか?

これは多くの意味で規模に関するものです。手動での管理に関するチャネルの支出、ボリューム、またはコストが高いほど、そのチャネルの運用を自動化および改善するスタックソリューションの効果が大きくなります。

MarTech活用のためのリソース
出典:Ascend2、マーケティングテクノロジー活用調査、2019年4月

短期的な観点からは、特定のソリューションを構築または購入するのにかかる時間を、その緊急性と比較して検討することもできます。

たとえば、マーケティングオートメーションの長期計画を決定する前に、無料のメールサービスプロバイダー(ESP)からアプリのベータユーザーに更新を通知するのが理にかなっている場合があります。別の例として、より包括的なディープリンクソリューションを評価しながら、最初のソーシャルアナウンスには無料の基本的なリンク短縮ツールを使用することができるしょう。

FoxNextのパフォーマンスマーケティング担当ディレクター、Vivek Girotra氏は、Liftoffとの最近の質疑応答で、これについて別の考え方を提案しました。

もう1つの検討すべき重要な質問は、そのサービスがパリティプロダクトなのか、それとも市場での競争力を提供するプロダクトなのかというものです。たとえば、独自のアトリビューションテクノロジーを構築したいモバイル広告主はほとんどいません。(中略)一方、社内のプログラマティックビッダーにリソースを投資することは別の問題です。なぜなら、私たちは自社のプロダクトと社内の収益化方法に合わせてカスタマイズされたものを構築できるからです。

AppsFlyerのお客様であるHopperは、これら2つのコンセプトがどのように連携して機能するかを示す代表的な例を提供しています。

Hopperは、社内のエンジニア数名を活用して広告自動化エンジンを構築し、小規模なマーケティングチームと、ExpediaやBooking.comなどの競合他社に比べてわずかのメディア支出によって、米国の旅行アプリカテゴリでトップ10入りを達成しました。

自動化スクリプトを使用すると、毎日何千件もの独自のオファーをカスタマイズできますが、これは標準的なキャンペーン最適化スタックソリューションでは再現できない可能性があります。それでも、HopperはSmartlyの広告作成ツールを使用してこれらのスクリプトを実行し、AppsFlyerのデータをパフォーマンスの信頼できる情報源として利用しています。これは、類似のプロダクトを社内で構築するのは現実的ではないからです。

この例についてさらに検討すると、競争力のあるモバイルアトリビューションプラットフォームを社内で構築することが非現実的になる要因がいくつかあります。

第2章では、パートナー連携、インストール前およびインストール後のアトリビューション手法、ユニバーサルディープリンク、リアルタイム分析、オーディエンスデータのセキュリティプロトコルに関する仕組みの複雑さについて説明しました。

たとえば、AppsFlyerには4,600を超えるパートナー連携があります。

つまり、AppsFlyer SDKをインストールしたら、新しいパートナーごとにいくつかのボタンを押すことで、自動コスト、LTVおよびROIデータ、選択した特定のイベントのポストバック、マルチタッチアトリビューション、不正防止など、連携とそれに付随するすべての機能を自動的に有効にすることができます。この設定がなかったとしたら、テスト対象の新しいメディアパートナーごとに新しいSDKを手動で連携させるのがどれほど面倒になるかは容易に想像できます。不正防止などの特定の機能は、社内ロジックでは部分的にしか実現できないという事実は言うまでもありません。

包括的な不正防止を行うには、AIを駆使して、ボット、拡大を続けるIP/サイトIDのブラックリスト、検証ルールなどに関する異常行動をブロックする必要があります。

構築するか購入するか?

最終的に、この判断を行うには、チャネルまたはニーズの重要性に関連する費用対効果の分析と、無料のソリューションまたは社内のソリューションが主要な有料プロバイダーが提供するソリューションと同程度の効果を発揮できるかどうかの分析を実施することになります。

実際の技術スタックの例

技術スタックの設計に関する主な考慮事項について説明したので、AppsFlyerのお客様による実際の技術スタックの例をいくつか参考にして、これらのオプションの実例を確認しましょう。スタックの複雑さは必ずしも会社の規模と相関があるわけではないことに気が付くことでしょう。

ビジネスにとって意味のあるフレームワークはどれでしょうか?

これは簡単には答えられない質問かもしれませんが、ここまでの説明から、技術スタックの設計を適切に開始するのに必要な知識を十分に獲得できていることでしょう。最後の章では、新しいMarTechパートナーに関する評価と意思決定のプロセスに含まれる特定のコンポーネントを順に説明して、全体像の説明を完了させます。

中小企業 - MarTechスタック
大企業 - MarTechスタック
高度な考慮事項-MarTech スタック
第8章

高度な考慮事項:MarTechの評価と賛同のプロセス

近年、マーケティングテクノロジーのエコシステムが成熟するにつれて、統一された方法でテクノロジーを選択して実装するプロセスも成熟してきました。

これは驚くことではありません。

ほんの数年前、モバイルはまだ誕生したばかりでした。

マーケターは、どの広告タイプとチャネルが効果的かを把握しようとしていました。不可欠なものとして現在広く受け入れられているマーケティングテクノロジーの多くは、かつてはオプションと見なされていました。これは、これらのツールが高価であったり、未完成であったり、説得力のある概念実証がなかったりしたためです。

マーケターが、ユーザー獲得と成長の観点から要件に精通すると同時に、マーケターを取り巻くプロダクトは進化しました。その結果、マーケターは、要件に対して有効なツールの使用にさらに習熟しました。ただし、企業がユーザーの獲得により適したチャネルやテクノロジーを見つけるにつれて、新しい成長チャネルを見つけたり、既存のチャネルを最適化したりすることが難しくなっています。

成功は、非常に具体的で複雑なマーケティングテクノロジーに大規模に焦点を当てることを意味するようになりました。

これが、多くのモバイルマーケターが、従来型のオールインワンソリューションの代わりに、AppsFlyerをはじめとするベストインブリードのツールに引き付けられている理由です。

いくつかの点で、最適なスタックツールを特定するのが簡単になりましたが、間違った決定を下した場合、コストがはるかに大きくなります。これは、スタックと計測フレームワークがより複雑になるにつれて、パートナーの排除と交換のプロセスがより複雑で時間がかかるようになったためです。

これにより、決定が確定する前に複数の部門が関与するようになり、購入プロセスにおけるチェック項目と評価項目が増えました。

この章では、一般的な購入プロセスについて説明します。

上位の評価基準の説明から始め、機能を評価し、部門間の賛同を得るプロセスを示します。

新しいツールの選択にはさまざまなアプローチがありますが、目標は、個別のビジネスケースに適応できる一般的なフレームワークを提供することです。

購入決定の構造

評価プロセスは、さまざまな形で必要になる可能性があります。

マーケティングマネージャーが、アプリ内のユーザーアクションをほとんど把握できなかったり、顧客エンゲージメントを自動化する方法を必要としていたり、あるいは単に既存のMarTechツールに不満を感じていたりして、評価プロセスの必要性を認識している場合があります。

場合によっては、組織の半年ごとの予算編成と計画立案プロセスのタイミングで、新しいパートナーを評価するか判断することがあります。または、契約終了日が近づいたときや、競合他社からの魅力的な新しいプロダクトを確認するために、マーケターが既存のスタックツールを再評価することを選択する場合があります。

通常、1人のプロジェクトオーナーが評価プロセスを主導します。アトリビューションやマーケティングオートメーションなどの重要なMarTechツールの場合は、マーケティングマネージャー(またはディレクター)が担当し、プロダクト分析などの部門横断的ツールの場合は、プロダクトマネージャーが担当する傾向があります。

基本的な例としてマーケティングマネージャーについて考えます。

マーケティングマネージャーは、新しいツールを調査するように依頼されるか、ディレクターやバイスプレジデントに自発的にアイデアを提示し、そのアイデアを先に進める許可を得ます。

この時点で、マーケティングマネージャーは目標と要件のマッピングを開始します。また、オンラインでの情報収集と同僚とのディスカッションを組み合わせて、検討すべき有望なツールについて基本的な調査を実施します。

パートナーに関する考慮事項が練り上げられるにつれて、マーケティングマネージャーの当初の目標と要件が、より明確な基準と質問のリストへと具体化されます。

正確な質問にはさまざまなものがありますが、通常、新しいスタックツールに関連する一般的な基準が存在します。

これは通常、評価プロセスを最初に引き起こした問題点への直接的な対応として、プロダクトの特徴と機能の基本的な評価から始まります。基本的な機能が理解されると、同様に重要な解決すべき質問がいくつか現れます。

MarTechツールの評価基準の一般的な階層は次のようになります。

  1. 製品の特徴
    1. 機能/ユースケース
    2. インターフェイス/使いやすさ
  2. スタックの互換性
    1. パートナー連携
    2. 柔軟性と俊敏性(依存)
    3. スケーラビリティ
  3. 信頼とサポート
    1. 評判とケーススタディ(概念実証)
    2. カスタマーサービス
    3. 柔軟性と俊敏性(プロダクト)
  4. セキュリティとプライバシーのコンプライアンス
  5. 費用対効果分析
    1. 財務費用とROI
    2. 開発時間
    3. トレーニング時間とオンボーディング時間

上記のリストは、ほとんどのモバイルマーケターに見られるものを反映していますが、基準の正確な優先順位付けと分類には柔軟性と流動性があることに注意することが重要です。

多くのマーケターは、GDPRツールなどのコンプライアンスに関する問題やCDPとの連携互換性を機能評価に含めることを選択しています。これは、対象のツールの性質、およびマーケティング、プロダクト、データサイエンス、情報セキュリティ、エンジニアリングなどの主要な利害関係者からの意見にも依存します。

重要なポイントが完全な評価プロセスの一環としてとらえられているかぎり、問題ありません。

Taklのデジタルマーケティングディレクターであり、AppsFlyerのお客様であるAmy Nelson氏は、評価プロセスを次のように複数のステップに分解しています。

「マークテックスタック用の新しいツールを探す場合、私は必ずすべての調査を行います。このプロセスを数回経験しているので、会計から運用、データ共有、プライバシーに至るまで、あらゆる角度から忘れずに自分で確認するための質問リストがあります。

ツールを評価することが必要になったら、通常はスプレッドシートを用意して、最初に問題点と、新しいソリューションが必要だと思う理由を書き出します。

次に、各パートナーとの最初の電話、プロダクトウォークスルー、およびメールでのやり取りにもとづいて、すべての質問に対する回答を記入します。これらの回答のほとんどは自分で評価しますが、仕様と質問のリストを開発、法務、および情報セキュリティの各チームに送信するので、ビジネスケースを提示する前にすべての基本事項をカバーできます。

有望な案を絞り込んだら、通常、マーケティング担当バイスプレジデントに上位2つの選択肢を示し、客観的な視点で彼の考えを確認します。マーケティング担当バイスプレジデントの同意を得たら、そのツールをスタックに追加する必要があることをCEOに説明します」

質問、目標、プロセスが明確になったら、次のステップは、検討中のパートナーの評価を開始することです。

マーケティングマネージャーは、各パートナーとのミーティングを設定し、基本的な質疑応答プロセスに取りかかり、情報を集め、機能評価を行い、想定されるおおよその価格帯を把握します。

組織の規模とスタイルに応じて、マーケティングマネージャーは次の2つの方法のいずれかを選択します。

  1. 他の部門との質疑応答プロセスをさらに進める前に、どのツールが他のツールよりも有望であると思われるかについてディレクターと非公式に話し合います。
  2. 関連する部門間の利害関係者にすべての質問に回答してもらってから、より正式なビジネスケースを上位の管理職に提示します。場合によっては複数の承認フェーズが必要です(例:マーケティング担当バイスプレジデントへの提示 → プロダクト/開発/法務のチームリーダーからの承認/サポートの取得 → CMO/CEOへの最終的かつ完全なビジネスケースの提示)。

さまざまな部門リーダーの関与の程度は、評価の各段階によって異なり、多くの場合、評価は厳密には直線的なプロセスではありません。

購入の決定は、わずか4週間で下される場合もありますが、1年以上に長引く場合もあります。

ともかく、MarTechの評価の基本的な枠組みの概要は次のとおりです。

  1. マーケティングマネージャーが評価を開始する
    1. 複数のパートナーの評価やパートナーとのミーティングを実施する
    2. すべての機能とコストを比較する
    3. エンジニアリングから仕様と作業範囲の情報を収集する
    4. 他の部門(データサイエンス、プロダクト、法務など)からの任意のアドバイスを得る
  2. 上位の管理職に提示する
    1. 必要性を説明し、根拠を示す
    2. 考慮事項を提示する
    3. コストおよび開発時間の大まかな範囲とROI
  3. プロダクト、エンジニアリング、情報セキュリティとともに上位候補を審査する
    1. プロダクトマネージャーがアドバイザーとなり、考慮事項を絞り込む
    2. エンジニアリングが移行時間と、連携に関する不測の事態を評価する
    3. 情報セキュリティがプライバシーとセキュリティをチェックする
  4. 法務およびCEO/CFOが最終的な選択を承認する
    1. CEO/CFOが最終パートナーとパッケージを承認する
    2. 法務が最終的な契約を承認する

購入決定の基本的な構造を示したので、次に、その過程で必ず現れる特定の考慮事項について詳しく検討してみましょう。

機能評価の実施

評価プロセスの早い段階で、ツールの資金提供と購入を行う担当者が、自分のニーズを理解し、それらのニーズをプロダクトの特徴や機能にマッピングすることが重要です。

そうしないと、ニーズに合わないツールを使用するリスクがあり、必然的にそのツールを排除して交換しなければならない場合、再評価サイクルが生じたり、リソースの浪費につながったりします。

機能評価には、前述した最初の2つの評価基準であるプロダクトの機能スタックの互換性が含まれます。

この評価は、ユーザーの視点(マーケターとしてやりたいこと)から始め、ビジネスに不可欠なプロダクト、エンジニアリング、およびその他のチームからのフィードバックと意見を取り入れる必要があります。これは、ソリューションを連携させるには、これらのチームのサポートが絶対に必要であり、組織全体が賛同しているということは、どのチームも何らかの形で協力していることを意味するからです。これにより、そのようなツールの調整と連携のどちらについても、よりポジティブな結果が得られます。

これを実現する適切な方法の1つは、役割に固有の基準をプラットフォームに固有の機能から分離することです。

以下は、アトリビューションとディープリンクのニーズのために最終的にAppsFlyerを選択したお客様の例です。

最初に、マーケターは、実行する必要があるすべてのキャンペーンと期待される結果を評価しました。同様のマトリクス表は、さまざまなアクティベーションフローに導くリンクを探しているプロダクトマネージャー、プッシュとメールを送信するエンゲージメントマネージャー、またはアンインストール計測が必要なデータアナリストからも収集できると想像できます。

AppsFlyerを購入した実際のお客様のアトリビューションに関するビジネス要件の例

このビジネス要件を作成したのは、ユーザー獲得マーケターであり、キャンペーンに関する詳細なリアルタイムデータを取得することにもっとも関心がありました。

組織のニーズの全体像を確保するために、このマトリクス表は、プロダクト、エンジニアリング、およびコンプライアンスの各チームの作成した他のいくつかのビジネス要件文書とともにまとめられました。

さらに、このビジネス要件を各ベンダーに提示するプラットフォームや機能と調和させる必要がありました。

アトリビューションに関するビジネス要件

スタックの互換性に関する基準の例(部分)

もっとも重要な連携のカスタマイズ性を評価し、技術的な観点とユーザー体験の観点の両方から機能が堅ろうかつ効率的であることを確認することが重要です。

スタックの互換性に関する評価

提供される機能の評価に加えて、マーケティング技術スタックの他の要素との互換性を評価することも同様に重要です。

  • このツールは、現在使用している、または将来使用する予定の他のパートナーと正式に連携されているか?
  • 特定の連携が欠落している場合、パートナーは今後それらのギャップを埋める予定があるか?
  • いくつの連携がサポートされているか?

アトリビューションプロバイダーやCDPなどの特定のツールでは、それらのツールがサポートするパートナー連携の総数が、ビジネスに合わせた拡張の可能性を示している場合があります。

ニーズと期待される結果を評価するだけでなく、他のツールとの機能比較を行う必要があります。期待される成果につながる基本的なプラットフォーム連携や必要な機能はありますか?

たとえば、不正防止機能を必要としているが、あるベンダーがこの機能を提供していない場合、ベンダーの選択が大きく変化し、意思決定プロセスがより明確になります。

プロダクト機能マトリクスの例:

各ベンダーの販売者が勧めるバージョンには、偏りがある場合があります。必ず、自分たちでプロダクト機能マトリクスを作成してから、プロダクトチーム、エンジニアリングチーム、および自チームの他のメンバーと一緒に精査することをお勧めします。

価格の評価を始める前に、ツール間の実際の違いは何か、それらの違いがビジネス要件と期待される結果にどのように影響するかを包括的に把握してください。

プロダクト機能マトリクス

機能比較プロセスの一環として、提供される機能と連携がカスタマイズ可能で使いやすいことを確認することが重要です。

それらの条件が満たされなければ、チームのメンバーは必ずそのプロダクト体験に不満を感じるでしょう。

UIが複雑すぎると、最初にプロダクトを検討するきっかけになった多くの機能のうちごく一部しか使用しない結果になるかもしれません。

使いやすさについては、評価プロセスの早い段階で、いくつかの予備的な質問とプロダクトデモの第一印象を通じてチェックできます。後で考慮事項が絞り込まれるにつれて、組織のあらゆる職務にわたって使いやすさとアクセシビリティを確認するために、ドキュメントについての詳細なレビューを実施したいと考えることでしょう。

大規模な組織では顕著な課題となっていますが、経験が証明しているように、機能と結果の観点から普遍的な知識と賛同を求めることが、最終的なソリューションが本当に目標を達成し、組織が満足することを保証するのに役立ちます

FOXのグロースマーケティング担当バイスプレジデント、Mariela Stescobich氏は、この点についてさらに深く掘り下げています。

「新しいパートナーやベンダーについて検討し始めるのは、現在、私たちにはない非常に革新的なものをそれらのパートナーやベンダーが持っている場合です。私たちは大規模な組織に属しており、これらのツールのいくつかの機能は私たちが利用している他のパートナーにも見られるため、新しいパートナーについて調査することを決めた場合、そのパートナーに求める属性の1つは、最大限にカスタマイズできるかどうかです。それがもっとも重要です。2番目に重要な点はサポートのレベルです。優れたカスタマーサポートチームとテクニカルサポートチームがあることは私たちにとって非常に重要であり、それがAppsFlyerを選んだ理由の1つです。」

ベンダーは人の集まりであることを忘れないこと

機能評価は、本質的でどちらかというと客観的な幅広い基準をカバーしていますが、より主観的な目安、つまり信頼とサポートの重要性を過小評価することはできません。表面的には、信頼されているかどうかは、企業のクライアントリスト、ケーススタディ、および組織内と外部ソースの両方からの評判から判断できます。

ただし、信頼は単純なチェックリストで評価することはできません。

結局のところ、企業は人の集まりであることを購入担当者が忘れることが多いのは驚くべきことです。信頼は、ベンダーとの個人的なつながりと、顧客の成功をサポートするためのベンダーの取り組みのレベルの両方が含まれるため、カスタマーサポートの評価に関連しています。

重要なのは、機能が多いからといって、必ずしもサポートが優れているとは限らないということです。

これらの機能の使用方法に関する適切なガイダンスが得られない場合や、問題が発生したときにサポートチームを利用できることを期待できない場合には、最終的に、それらの機能は大した機能ではありません。サポートを評価する際には、選択したMarTech企業の関係者とうまくやっていけるかだけでなく、チームに一定レベルのサポートを提供するSLAがあることを確認する必要があります。

サポートについては、カスタマーサポート担当者の人数とその企業の他チームの従業員数の比率によっても推測できます。エンジニアとカスタマーサクセスマネージャーの割合がセールスやマーケティングに比べて低い場合、それは実際に内部で何が行われているかを詳しく知る手がかりになる可能性があります。

ケーススタディ、顧客からの評判、および選択したプロダクトを利用している他の有名企業のロゴの掲載は、業界のリーダーにサービスを提供し、その規模に対応できるという企業の能力を示している可能性があり、別のチェック手段になる場合があります。

会社の規模について言えば、サポートのレベルは規模によって多少変化します。

小規模なスタートアップ企業には専任のサポートチームがない場合がありますが、同社のプロダクトチームやエンジニアに問い合わせることができる場合があります。これらのスタートアップ企業が成長するにつれて、サポートのレベルも向上します。ただし、小規模な企業が、実績のあるエンタープライズソリューションまたはクラウドソリューションを選択する場合、豊富な機能に振り回されて苦労しないように注意する必要があります。

Stescobich氏は次のように注意を促しています。

「ツールが非常に高く評価されていても、それを買う余裕がない場合は、より小規模なベンダーやソリューションを選んでください。大海原でたくさんの大きな魚と格闘するよりも、小さな池で小さな魚になったほうが良いでしょう。もっとも注意を払ってくれて、もっともサポートしてくれるベンダーを選ぶべきです。」

同様に、中規模から大規模の企業で働いている場合、あらゆる規模のMarTech企業のプロダクトロードマップに影響を与える可能性があります。

これらの検討を事前に行うことは、ニーズに合わせてプロダクトソリューションをカスタマイズできるかどうかを理解するために重要です。プロダクトをすぐに変更できない場合でも、顧客とともに成長するという方針を確認できれば、大きな違いが生まれます。

これが真のパートナーシップの姿です。

賛同を得るために、企業では、数百万ドルに相当する労力をかけ、何か月もの時間を費やす可能性があります。決定を間違えることは戦いの半分に過ぎません。残りの半分は、決定が下されたら、その成功を保証するために、確実にあらゆる努力を払うことです。

MarTechスタックについての賛同

ここで、カスタマーサポート、オンボーディング、パートナーシップが非常に重要になります。

優秀なマーケターや意思決定者は、購入決定のこのような人間的側面を、保険契約と継続的メンテナンスに対応していると考えます。

車の場合、大きな問題が発生した場合に確実に保護されるように、保険契約に加入します。同様に、エンジンの適切な稼働状態を維持するために、途中で車のオイル交換に費用をかけます。

連携とオンボーディングは、事前に保険契約を結ぶようなものです。これにより、新車の初めての運転がうまく行くことが保証されます。カスタマーサポートとプロフェッショナルサービスは、継続的なメンテナンスを提供し、ツールを使用できること、バグや問題がトリアージされていること、および初期投資が保護されていることを保証します。

賛同プロセスのこの重要な要素を無視しないでください。特に、数百または数千の顧客にサービスを提供する実績のある企業と仕事をしている場合、どの種類のサポートモデルが必要であり、そのサポートモデルに喜んで費用を支払うことができるかを慎重に検討します(反対に、不安定な状態の数か月間に登録することがわかっている場合は、無料で提供される新しいテクノロジーを採用します)。ここでのポイントは、価格とサービスについては、どちらについてもベストなものを求めるのではなく、妥協点を探すべきだということです。

セキュリティとプライバシーのレビュー

期待事項

信頼とサポートの評価は、評判から個人的なつながり、社風の一致まで、人間に関する要素に集約されますが、プライバシーとセキュリティのコンプライアンスは、最終的にはプロダクトを使用する人間、つまり顧客を保護します。これは評価プロセスの重要かつ複雑な部分であり、軽視してはなりません。ヨーロッパでのGDPR規制と米国カリフォルニア州のCCPAが迫っているため、重要性はかつてないほど高くなっています。

企業にとって重要な問題の1つは、自社のシステムに投資することが多いですが、ベンダーに同じレベルの注意を払っていないため、知らないうちに機密データへの抜け道ができてしまうことです。

同様に、多くの場合、セキュリティは後付けであり、適切なマーケティングツールを選択するための貴重で必要な前提条件ではありません。

この考え方の問題点は、まず、セキュリティとプライバシーの要件が絶えず変化し、厳しくなっていることです。新しいベンダーに対して1回限りの情報セキュリティレビュープロセスを実施するだけでは不十分です。同様に、要件と機能に常に頼るのではなく、最終的にセキュリティリスクがあるかどうかだけを知りたいと考えることでしょう。

プロセスの最後ではなく早い段階でセキュリティおよびプライバシーチームを関与させることで、次のことが保証されます。

  • チームが必要なデューデリジェンスを実施する時間を確保できます。サービスの内容やサービスに関連するリスクのレベルにもよりますが、プライバシーとセキュリティのレビューは、通常1~2週間かかりますが、場合によってはそれより長くかかります。
  • 基本的なセキュリティ要件を満たしていないベンダーに全力で取り組んで時間を無駄にすることがありません。
  • 調達チームと法務チームは、必要なセキュリティまたはプライバシー条件をベンダーとの契約に追加できます。
  • ベンダーは、チームの懸念事項に対処し、必要に応じて是正するのに十分な時間を確保できます。

マーケターとして、上記の状況を検討すると、データプライバシーに関して、次の2つの点に注意する必要があることが明らかになります。

  1. 収集および使用しているデータは、規制やコンプライアンスの観点から保護されていますか?つまり、ユーザーに関する収集したデータにユーザーがアクセスしたり、それらのデータをユーザーが変更、削除、または移動したりすることを許可する法律に従っていますか?
  2. 消費者から入手して使用しているデータは、セキュリティの観点から保護されていますか?

幸いなことに、規制やコンプライアンスの問題を解決するのは、かつてないほど容易になりました。

マーケティングツールは、AppsFlyer、Braze、その他の主要なマーケティングツールによってサポートされているOpen GDPRフレームワークなど、GDPR法への準拠を容易にする、すぐに使用できる機能を提供します。

では、プライバシーとセキュリティのレビュープロセスとは正確にはどのようなものであり、何が必要でしょうか?

大まかに言えば、企業がサードパーティのアプリケーションを購入またはインストールすると、ソフトウェアとそれに関連するリスクについての評価が付属しています。この評価はセキュリティプロセスであり、さまざまな要素を含めることができます。

たとえば、セキュリティ評価では、API、使用するセキュリティ認証、データが(TLS 1.1またはhttps/ssl経由で)安全に送信されるかどうかについて理解しようとする場合があります。また、データを送信する方法だけでなく、リスクの可能性を制限または管理するために、どのプロトコルがなぜ使用されているかを理解しようとする場合もあります。

これは、ツールのUIにおける人的制御を理解し、文書化することを意味する可能性があります。悪意のある者が会社を辞めたときに、非公開のユーザーデータにアクセスできないようにするために、シングルサインオンが導入されていますか?プライバシーに関する権限はありますか?企業には、地位の低い従業員のアクセスを制限し、経験豊富で信頼できる従業員のアクセスを拡張または許可する能力がありますか?これらの質問はすべて、セキュリティレビュープロセスの一部となる可能性があります。

準備方法

最初のステップは、質問をセキュリティチームから提供される必要な質問に一致させることです。

すべての人に当てはまる一般的な質問があるかもしれませんが、多くの場合、チームでは、使用している特定のサービスに合わせて質問を調整する必要があります。

検討のきっかけとなる質問の完全なリストを付録に示しましたが、一般的な質問の例をいくつか挙げます。

  • サービスの説明(サービスを理解することは、他にどのような質問をする必要があるかを知るのに不可欠です)
  • ベンダーが企業のデータを受け取ることがありますか?
  • ベンダーがデータを受け取る場合、どのような種類のデータ(個人データ、機密データ、財務データなど)を受け取りますか?
  • ベンダーはそれらのデータをどのように受け取りますか(収集テクノロジー、自発的な提出など)?
  • ベンダーは会社のネットワークにアクセスできますか?
  • どこにデータを保存し、処理していますか?
  • サービスを提供するためにデータにアクセスする必要があるのはだれですか?
  • ベンダーは、どのセキュリティおよびプライバシーの認定または標準(ISO、SOC2など)を満たしていますか?(コピーを提供する必要があります)
セキュリティ認証コンプライアンスチャートの例
セキュリティ認証コンプライアンスの評価チャートの例

最初の一連の質問に対する回答を受け取った後、セキュリティおよびプライバシーチームは、拡大されたデューデリジェンスの質問表が必要かどうかを評価する必要があります。

このような質問により、組織のセキュリティとプライバシーの管理をより深く精査することができます。これらの質問には、次のような問題が含まれる可能性があります。

  • 組織内のアクセスコントロール
  • 職務の分離
  • ディザスタリカバリ
  • パスワードコントロール
  • 暗号化機能
  • ウイルス対策、ファイアウォール、およびマルウェアの実装侵入防止と検出機能、およびデータ損失防止
  • 論理データと物理データの分離
  • サーバーの強化
  • 脆弱性とパッチの管理と修復
  • データ漏えい通知プロセス
  • 消去やアクセスなどのデータ主体の権利のサポート

優れたベンダーはすべてのセキュリティ要件を満たす必要があり、意見の交換を通じて、適法契約の一部に変更が加えられる場合があります。

協力して取り組むと、より迅速かつ安全に、この状況を乗り越えることができ、大きな記事になったり、大きな罰金を科されたりするのを回避できます。

ビジネスケースの構築

1)プロダクトの機能、2)スタックの互換性、3)信頼とサポート、4)プライバシーとセキュリティを目標と基準に照らして全面的に評価した後、最後のステップはこれらの要素をすべて比較検討し、ビジネスに適したパートナーとパッケージを決定することです。

これにより、最終的に、ビジネスケースを構築し、最終承認を得るための戦略に踏み込むことになります。

賛同を得るための正しい公式はありませんが、ほとんどすべてのシナリオで、ビジネスケースの説得力は、議論の質と、主要な利害関係者とのコミュニケーションおよび関係の強さの両方で決まります。

主要な利害関係者やインフルエンサーとの関係の構築

私たちが目にした一般的な落とし穴の1つは、評価プロセスの早い段階で部門間の利害関係者を巻き込むのを怠ることです。マーケティングマネージャーが、特定のツールを使用すると効率が向上すると確信していても、エンジニアリングチームが、ツールの連携にかかる時間のコストよりもメリットが上回るとは考えていない場合、このツールを認めてもらうのが非常に難しい可能性があります。

どうすれば、これを回避できるでしょうか?

研究開発チームのメンバーや、プロダクトまたはデータサイエンスチームなどのエンジニアリングチームと密接な関係を持つ人物など、主要な利害関係者との関係を構築してください。

これらの関係は、新しいパートナーを審査するプロセスを自信を持って進めるのにも役立ちます。

fair.comのグロースマーケティング担当ディレクター、Shaan Rupani氏は顧客インタビューで次のように冗談めかして述べています。

「私たちは新しいツールの評価に関して分析責任者に大きく依存しています。スタックのすべてのコンポーネントにとってデータ衛生は重要であり、分析責任者はデータ衛生の最高責任者に任命されているからです。分析責任者とのコラボレーションは、悪い決定を引き起こす汚れたデータのリスクを軽減します。」

別の例として、FOXのマーケティングチームは、テクノロジー、動画、プロダクト、およびマーケティングのメンバーとともに、すべてのスタックツールについての意思決定を行う中核部門があることを説明しています。

組織はそれぞれ異なるため、評価プロセスを開始する前に、新しいツールを承認するための既存のプロセスを理解する必要があります。

結局のところ、上位の管理職にケースを提案する際にサポートしてくれる部門リーダーやインフルエンサーとの関係を構築することが、最終的な承認を得るには非常に重要です。

早い段階でだれを関与させることが重要か、ケースを完成させる際にだれを関与させることが重要かを検討してください。

FOXのグロースマーケティング担当バイスプレジデント、Mariela Stescobich氏は次のように述べています。

「私たちは、まず、監査から始めます。次に、連携の実装にどの程度の時間がかかるか、どのエンジニアが連携を実装できるか、QAプロセスがどのようなものになるかを考慮して、ソリューションがどれだけの費用を節約できるかを把握します。その後で、節約、影響、リソースを盛り込んだビジネスケースを文書化します。」

ツールの価値を定量化して、ROIがコストに見合うことを証明

重要な関係を構築することは、戦いの半分に過ぎません。

また、各関係者や上位の管理職にケースを提示する最善の方法についても考える必要があります。場合によっては、承認を比較的簡単に得ることができたり、決定が簡単であったりすることがあります。

たとえば、TaklのデジタルマーケティングディレクターであるAmy Nelson氏によると、マーケティングチームの間で、AppsFlyerをスタックの最初のツールの1つとして実装する必要があるという幅広い合意があったそうです。マーケティングチームは、アトリビューションがマーケティング業務に欠かせないツールになることを認識していたため、ケースの妥当性を正式に証明したり、技術チームに意見を求めたりする必要がありませんでした。

ただし、多くの場合、新しいツールを実装するという決定は、混乱を招く可能性があります。

大規模なスタックや確立されたスタックを持つチームにとって、新しいツールを追加するためのコストと必要性を正当化するのは難しいことがあります。この場合、より形式的で定量化可能なアプローチを取り、予算と人的資本(開発リソース、移行、オンボーディングなど)の両方の観点から、そのツールの価値がコストに見合うことを証明する必要があるかもしれません。

たとえば、Sliceのデジタル獲得担当ディレクターであるChris Winn氏は、クロスチャネルのマルチタッチ計測のためのソリューションが必要であることをチームに納得させるという課題に直面したことがあります。

それまで、Sliceはプロスペクティングやリマーケティングに投資することなく、マーケティング費用のほとんどすべてをブランド検索に集中させていました。

Winn氏の課題は、投資をブランド検索以外に拡大するのが理にかなっていることをチームに納得してもらうことではなく、その投資のコストを正当化する方法と、新しいテクノロジーと戦術が提供する価値を定量化する方法でした。最終的に、Winn氏は、業界と同社の成長傾向にもとづいてROIを予測することにより、この課題を克服しました。

Sliceのデジタル獲得担当ディレクター、Christopher Winn氏は、次のように述べています。

「私は、これらの投資を行わなければ、当社の成長は今後Yか月でXだけ減速することを主張して、ケースを正当化しました。この方法を試すと、今年の後半にマーケティング支出を40%増やすことができます。現在の方法よりも効率が悪いと仮定すると、テクノロジー支出と推定投資収益率は、このようになります。しかし、時間の経過とともに、これだけ改善すると期待でき、このようになることが理解できます。業界全体が同様の投資を行っているので、成長を続けるには、当社もこの方向に進むべきです。」

Winn氏の説明は経営幹部レベル向けの論理であり、容易に想像できるように、他の部門間の利害関係者に説明する場合は、それらの利害関係者が日々もっとも重視している課題に合わせて、議論の内容を修正したほうがよいでしょう。

しっかりとしたビジネスケースを構築する方法についてのヒントを得るには、付録に記載されている、MarTechの評価と賛同に関する質問の包括的なリストを参考にしてください。

まとめ

このガイドでは、定義からユースケース、戦略、評価基準まで、モバイルファーストのマーケティング技術スタックを構築するための基礎に関するさまざまな知識を提供しました。

最後に、主な内容を簡単にまとめます。

  • マーケティングテクノロジーは、効率、効果、拡張性を実現するのに役立ちますが、スタックが慎重に設計されていないと、妨げになる可能性もあります。
  • 新しいパートナーの評価を始める前に、マーケティングの成長に関する目標と、その目標を達成するのに役立つプロセスと計測インフラストラクチャをマッピングします。
  • 連携の順序は重要です。「nice-to-have」の前に「must-have」に取り組むべきです。 ベストインブリードツールの階層を理解し、それに応じた計画を立てます。
    • アトリビューションとマーケティングオートメーションは、有料キャンペーンやオウンドキャンペーンの顧客エンゲージメント、ディープリンク、アトリビューションをオーケストレーションするために不可欠です。
    • 有料のプロダクト分析ツールは、キャンペーンを向上させるための次の合理的なステップであり、これらのツールを使用すると、他のスタックツールに組み込むことができるカスタムオンボーディングフロー、UXテスト、コホート分析、および高度なオーディエンスセグメンテーションが容易になります。
    • 来年に2つ以上のツールをスタックに追加する予定がある場合は、CDPの連携を検討してください。絶対に必要というわけではありませんが、CDPを使用すると新しいツールの連携にかかる時間が節約され、アプリ内イベントマッピングが最新の状態に保たれ、スタック全体にリアルタイムデータフローを転送するプロセスが合理化されます。
    • マーケティングクラウドテクノロジーは、ウェブチャネルとオフラインチャネルで大きなプレゼンスを確保しているマーケターには役立ちますが、多大なコストがかかります。どのマーケティングクラウドプロダクトが目標に適しているか(そのようなプロダクトがある場合)、どのソリューションが、ベストインブリードのパートナーツールによって、より適切に実現できるかを慎重に検討してください。
  • 新しいMarTechツールを評価するときは、パートナーとのミーティングを開始する前に、このガイドのヒントを参考にして、目標、質問、評価チャートを調整してください。
    • 主要機能、スタックの互換性、サポート、概念実証、プライバシーとセキュリティ、および価格を評価する過程で、最終的な決定を下す前に、同僚に協力してもらい、主要な利害関係者と合意できていることを確認します。
    • ビジネスケースを構築する際に、社内の各部門のメンバーにとってもっとも重要なことを把握します。目標、基準、費用対効果分析のより正式なプレゼンテーションは、経営幹部レベルの賛同を得るのに役立ちますが、プロダクトマネージャーやエンジニアを説得する場合は、ツールがプロダクトの成長やUXフローをどのように実現するかを説明したほうが有効であることがあります。

以上の内容は出発点と考えてください。このガイドが、皆さんのMarTechの現状についての理解、より良い意思決定、新しいユースケースの作成に役立つツールとなり、最高のマーケティング技術スタックを構築するジャーニーのバーチャルアシスタントとなることを願っています。

ガイドの付録の画像
付録

機能評価のための質問の例

賛同プロセスを進める際の基礎として役立てていただけるように、新しいMarTechツールの評価に関連する質問の包括的なリストを以下に示します。

  • 解決しようとしている機能は何ですか?もっとも重要な機能は何ですか?
  • 要件と機能を定義します。「must-have」と「nice-to-have」の相違点を把握していますか?それぞれの優先度を評価しましたか?
  • 要件に関する意見を組織全体から徹底的に集めましたか?
  • この初期評価の後、他の主要な利害関係者に賛同を求め、賛同を得ましたか?
  • アイデア、計画、見込みのあるベンダーを関係者と共有しましたか?
  • 賛同を得るために、他の主要な利害関係者に参加を依頼しましたか?
  • チームの規模、複雑さ、要求の厳しさは、どの程度ですか?これを必要なサポートのレベルにマッピングするときは、慎重に行ってください。
  • エンジニアリングチームには、どの程度の24時間サービスが必要ですか?
  • 完全なRFPが必要ですか、それともベンダー選択の基準書が必要ですか?
  • 追加の年間契約によって価格は変わりますか?
  • 自社のロゴを使用するようベンダーに申し出たり、ベンダーのためにブログ、見積もり、会議への出席などの主要なマーケティングアイテムに登録したりすると、価格は変わりますか?
  • ベンダーはどのように課金しますか?月間アクティブユーザー(MAU)、イベントベース、またはセッションベースですか?MAUベースの場合、完了した特定のアクティビティまたはイベントにもとづいてMAUを制御する手段がありますか?
  • 価格がビジネスの収益にどのように影響するかをモデル化しましたか?価格をコスト削減、または(もっと良いのは)収益の増加や投資収益率に結び付けます。
  • 注目しているベンダーに関するセキュリティインシデントが報告されていますか?そのセキュリティインシデントが発生した理由は何ですか?ツールを推奨する前に、この質問に対する答えを必ず用意してください。
  • ビジネスケースに含めることができるケーススタディは何ですか?
  • 成功への障壁や障害になる可能性があるものを特定しましたか?

プライバシーとセキュリティに関する質問の例

以下の質問は、プライバシーとセキュリティの基準書を作成する際のヒントとして使用できます。

情報セキュリティチームに相談して、質問表を完成させ、対象のパートナー向けにカスタマイズしてください。

図/データフロー

  • 関連するすべてのネットワーク図、データフローチャート、および顧客システムとの連携ポイントを添付してください。
  • 顧客とプラットフォーム間でデータがどのように転送されるか、各システムでどのような構成を設定する必要があるかなどを説明してください。

一般的なセキュリティーの概要

  • ネットワークは3層構造にもとづいていますか?内部ネットワークをDMZから分離し、DMZを外部ネットワークから分離していますか?どのように分離を実施していますか?
  • 重要なシステムや機密データを保護するために、ファイアウォールやIDS/IPSなど、どのネットワークセキュリティデバイスを使用していますか?
  • ログファイルは、(1)セキュリティデバイス、(2)システムホスト保護システム、および(3)仮想プライベートネットワークで使用できますか?
  • ファイアウォールのルールをすべて定期的に見直していますか?
  • すべてのプラットフォームを強化していますか?どのベストプラクティス基準に従っていますか?
  • (1)ネットワーク、(2)インフラストラクチャ、(3)アプリケーションの変更管理手順の実装について説明してください。
  • パッチ管理プロセスについて説明するしてください(ネットワーク、アプリケーション、データベース(ハードウェアとソフトウェア))。パッチが利用可能になってから適用されるまでの期間はどれくらいですか?
  • すべてのサーバーとソフトウェアは、現在のパッチレベルに相当し、完全にサポートされていますか?
  • どこに顧客のデータを保持していますか?ラップトップ、モバイルデバイス、またはリムーバブルメディアに顧客データを保存しますか?
  • 顧客のデータを、その機密性/分類にもとづいてどのように保護していますか?顧客の機密データを保護するために実施しているすべての制御について説明してください。
  • データ漏えいや異なる顧客のデータの混合をどのように防いでいますか?
  • (1)アクセス制御管理について説明してください(ロールベースのモデルですか?)。(2)データアクセスのポリシーをどのように適用していますか(関連するすべてのレイヤー、プラットフォーム、ネットワークデバイスなどで)。
  • 顧客データを処理するシステムには、どのような強力な二要素認証メカニズムを導入していますか?
  • アプリケーションは、SAML 2.0または同等の標準にもとづくSSOフローをサポートしていますか?
  • 顧客データを処理/保存するシステムにアクセスできる可能性があるのは、どのタイプのユーザーで、何人いますか?DBレベルでの顧客データへの直接アクセスに関するリスクシナリオも説明してください。
  • 顧客のデータにアクセスできるベンダーやサードパーティがありますか?
  • 顧客データへのアクセスや顧客データを含むサーバーへのアクセスを識別するために、どのような監視機能を実装していますか?
  • 転送中のデータと保存中のデータの両方に対して、どのような暗号化メカニズムを導入していますか?
  • 保存中のデータをどのように暗号化していますか?
    • どのような暗号化キーを使用していますか?
    • どこにどのように暗号化キーを保存していますか?
    • だれが暗号化キーにアクセスできますか?
    • 暗号化キーを交換できますか?
    • デュアルコントロールと知識分割をサポートするために、どの手順を実施していますか?
  • 顧客のデータをどのくらいの期間保持しますか?契約終了時に機密データを破棄/消去するために、どのようなオプションがありますか?
  • 過去6か月間に顧客のデータを処理する環境のぜい弱性評価または侵入テストを受けましたか?サードパーティの侵入テスト調査結果(重大な問題や中程度の問題が発生していないもの)を提示してください。
  • セキュリティコードレビューとセキュアな開発ライフサイクルについて説明してください。
  • 本番環境は、開発環境とテスト環境から物理的および論理的に分離されていますか?顧客のデータを開発/テスト環境で使用しますか?
  • 顧客のデータをホストするシステム、または顧客のデータを保存/処理するシステムへのアクセスを許可するシステムのパスワードポリシーについて説明してください(OSのパスワードポリシー、DBのパスワードポリシー、アプリケーションなど)。
  • すべてのパスワードは、業界のベストプラクティスの標準暗号化アルゴリズムを使用して暗号化されていますか?
  • ユーザー管理のプロセスと運用を詳しく説明してください。これには、(1)内部ユーザーの管理手法と(2)顧客のユーザーアカウント管理機能の両方が含まれます。だれがアクセス要求を承認するかと、ポリシーを適用するために、どのような制御が実施されているかを示します。
  • 最小特権とNeed-to-Know(知る必要がある人にだけ知らせる)の概念がどのように実装されているかを説明してください。
  • ユーザー(内部ユーザーと顧客のユーザー)のアクセスレビューやその他のプロセスを定期的に説明し、ユーザー権限が職務の要件に対応していることを確認してください。ユーザーの退職時の手順とタイムラインを説明してください。
  • 監査証跡とログ記録の機能について説明してください。特に、(1)顧客のユーザー、および(2)自社のスタッフ/請負業者について、ユーザーアクセスを(インフラストラクチャレベル(DBを含む)とアプリケーションレベルの両方で)個々のユーザーまたはデバイスにどのように結び付けることができるかを説明してください。
  • 監査証跡をどのように保護していますか?監査証跡を中央サーバーに送信しますか?
  • 監査証跡は顧客のために抽出できますか?SIEM連携を使用していますか?顧客のデータにアクセスできるベンダーやサードパーティがありますか?
  • 顧客データへのアクセスや顧客データを含むサーバーへのアクセスを識別するために、どのような監視機能を実装していますか?
  • 転送中のデータと保存中のデータの両方に対して、どのような暗号化メカニズムを導入していますか?
  • 保存中のデータをどのように暗号化していますか?(1)どのような暗号化キーを使用していますか?(2)どこにどのように暗号化キーを保存していますか?(3)だれが暗号化キーにアクセスできますか?(4)暗号化キーを交換できますか?(5)デュアルコントロールと知識分割をサポートするために、どの手順を実施していますか?
  • 顧客のデータをどのくらいの期間保持しますか?契約終了時に機密データを破棄/消去するために、どのようなオプションがありますか?
  • 過去6か月間に顧客のデータを処理する環境のぜい弱性評価または侵入テストを受けましたか?サードパーティの侵入テスト調査結果(重大な問題や中程度の問題が発生していないもの)を提示してください。
  • セキュリティコードレビューとセキュアな開発ライフサイクルについて説明してください。
  • 本番環境は、開発環境とテスト環境から物理的および論理的に分離されていますか?顧客のデータを開発/テスト環境で使用しますか?
  • 顧客のデータをホストするシステム、または顧客のデータを保存/処理するシステムへのアクセスを許可するシステムのパスワードポリシーについて説明してください(OSのパスワードポリシー、DBのパスワードポリシー、アプリケーションなど)。
  • すべてのパスワードは、業界のベストプラクティスの標準暗号化アルゴリズムを使用して暗号化されていますか?
  • ユーザー管理のプロセスと運用を詳しく説明してください。これには、(1)内部ユーザーの管理手法と(2)顧客のユーザーアカウント管理機能の両方が含まれます。だれがアクセス要求を承認するかと、ポリシーを適用するために、どのような制御が実施されているかを示します。
  • 最小特権とNeed-to-Know(知る必要がある人にだけ知らせる)の概念がどのように実装されているかを説明してください。
  • ユーザー(内部ユーザーと顧客のユーザー)のアクセスレビューやその他のプロセスを定期的に説明し、ユーザー権限が職務の要件に対応していることを確認してください。ユーザーの退職時の手順とタイムラインを説明してください。
  • 監査証跡とログ記録の機能について説明してください。特に、(1)顧客のユーザー、および(2)自社のスタッフ/請負業者について、ユーザーアクセスを(インフラストラクチャレベル(DBを含む)とアプリケーションレベルの両方で)個々のユーザーまたはデバイスにどのように結び付けることができるかを説明してください。
  • 監査証跡をどのように保護していますか?監査証跡を中央サーバーに送信しますか?
  • 監査証跡は顧客のために抽出できますか?SIEM連携を使用していますか?
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